塩辛と酒盗、ひと皿を広げる食卓
塩辛を買ったはいいけれど、「そのまま出すだけでは少し塩気が強いかも」と思うこと、ありませんか。そんなときは小鉢ひとつで完結させず、食卓の“味の芯”として使うのがおすすめです。
塩辛は、もともと魚介を保存するために塩をしっかり使った食品。だからこそ、少量でも旨味と塩気がきゅっと濃く、白いごはんにもお酒にも寄り添ってくれます。昔ながらの製法では塩分が10〜20%ほどになることもあるそうで、まずは「ちょっとずつ」がおいしい付き合い方です。
塩辛は、やわらかい味を呼ぶ役に
合わせたいのは、塩辛と同じくらい強い味のものより、受け止めてくれるやさしい食材です。

たとえば、じゃがいもを蒸すかレンジで加熱して、塩辛とバターを少量。ほくほくした甘みと脂が塩気をまろやかにして、箸が止まらない一皿になります。絹豆腐にのせ、刻みねぎや大葉を添えるのも手軽。豆腐の淡い味があるから、塩辛の旨味がきれいに立ちます。
もう少し食べごたえがほしい夜なら、クリームチーズも好相性です。塩辛をほんの少しのせて、黒こしょうをひと振り。濃厚なのに量は控えめで済むので、ほかの料理も並べやすいのがうれしいところです。
酒盗なら、薬味で食卓を軽やかに
鰹の腸を使う酒盗は、10〜13か月ほど熟成させるものもあり、旨味の密度が高い珍味です。ここまで味が濃いものは、薬味をたっぷり使うとぐっと食べやすくなります。

きゅうりの薄切り、みょうが、青じそ、すりおろし大根。どれかひとつでも十分ですが、冷蔵庫にあるものを合わせて小皿に盛ると、香りとみずみずしさが加わります。酒盗そのものを主役に据えるというより、野菜を食べるための旨味だれのように考えると、食卓が広がります。
日本酒には塩気のあるもの、というイメージはたしかに頼もしいもの。でも、塩味だけに寄せなくても大丈夫です。塩辛や酒盗のような濃い旨味を少し置いて、横に甘みのあるじゃがいも、脂のあるチーズ、さっぱりした薬味を添える。ひと口ごとに組み合わせを変えられると、一杯の楽しさも自然にふくらみます。
今夜は塩辛を小鉢で終わらせず、家にある食材をひとつ足してみませんか。ほんの少量でも、立派なおつまみ皿になりますよ。
このあたりは動画でももう少し詳しく話しているので、気になったら本編ものぞいてみてください。
今夜のお酒に、旨味のひと皿をそえてみませんか。
── 担当・柚(ゆず)
