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第1章 補足版①:なぜ現代人は高カロリーでバテ、江戸の庶民は「冷飯」で走り続けられたのか?

豊かさの中で慢性疲労に陥る現代人

24時間いつでも温かく高栄養な食べ物が手に入る現代。

高タンパク食やサプリメントを積極的に取り入れ、栄養的には満たされているはずの私たちが、なぜこうも「慢性的な疲労感」や不調に悩まされているのでしょうか?

一方、四足の肉すら満足に口にせず、朝炊いた「冷めきったご飯」を昼も夜も食べていた江戸の庶民。

一見すると質素で栄養不足に見える彼らが、なぜ一日中歩き・走り続けられる驚異的なスタミナを誇っていたのか?

そこには、現代人が無意識にハマっている「一見豊かな食の罠」と、冷飯が生み出す「持続型エネルギー」の決定的な差がありました。

現代人がハマる「一見豊かな食の罠」

「常に温かい主食」によるレジスタントスターチの消失

電子レンジや保温ジャーの普及により、現代人は「冷めた米」を食べる機会をほとんど失いました。

米は冷えることでデンプン構造が変わり、「レジスタントスターチ(難消化性デンプン)」へと変化します。

温かいご飯ばかり食べる現代人は、腸内細菌の最高のエサを自ら手放しています。

精製炭水化物や添加物が引き起こす「エネルギーの乱高下」

精製された砂糖や小麦、化学添加物が溢れる現代食は、急激な血糖値の上昇と降下(血糖値スパイク)を招きます。

食べた直後は一瞬元気になっても、すぐに激しい倦怠感が襲う「エネルギーのジェットコースター」に体が疲弊しています。(所謂栄養ドリンクやエナジードリンクも同じ構造です)

カロリー数値の「量」と「腸内利用率」の乖離

数字上の高カロリー・高栄養な食事は、必ずしも体内で効率よくエネルギーに変わるわけではありません。

むしろ消化吸収に余計な消化酵素を消耗し、内臓疲労の原因になっています

江戸の庶民を支えた「冷飯×腸内発酵」の仕組み

江戸の庶民が冷飯を食べたとき、腸内では現代人とはまったく異なる化学反応が起きていました。

冷えることで難消化性となったデンプン(レジスタントスターチ)は、小腸で吸収されずにそのまま大腸まで届きます。

これを腸内細菌が分解・発酵させることで生み出されるのが「短鎖脂肪酸(酪酸・プロピオン酸など)」です。

この短鎖脂肪酸こそが、血糖値を乱高下させず、長時間にわたって全身へ持続的にエネルギーを供給し続ける「クリーンな持続型燃料」でした。

史実が証明する驚異のスタミナ(ベルツ博士の実験)

この「お米と冷飯」がもたらすエネルギーの凄まじさを裏付ける有名な史実があります。

明治時代に東京帝国大学の教授として来日したドイツ人医師、エルヴィン・ベルツ博士の実験です。

ベルツ博士は、東京から日光までの約110kmを14時間余りで走り抜ける人力車夫の体力に驚嘆し、彼らに高タンパク・高カロリーな「西洋の肉食」を提供して走らせる実験を行いました。

しかし、肉を食べた車夫たちはすぐに疲弊し、かえってスタミナが激減してしまったのです。

車夫たちを元の食生活――すなわち「冷飯、麦、味噌汁、漬物」に戻したところ、彼らは再び驚異的なスタミナを取り戻し、連日長距離を走り切りました。

「貧しさ」の中に隠されていた最高の腸内環境

一見すると貧しく見えた江戸の食卓。しかし「保温ジャーのない暮らし」が生んだ冷飯と、漬物や味噌などの植物性乳酸菌の組み合わせは、図らずも最強の腸内発酵システムを作り上げていました。

現代の私たちが手放してしまったこの仕組みを取り戻すことこそ、慢性疲労から脱却し、バテない体を作る最短ルートなのかもしれません。

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