#4 インドネシアの歩き方_ジャカルタのSuica
ジャカルタで最近整備された地下鉄のラインに乗ってみる。
地上では、車とバイクが入り乱れ、道路も人も常に動き続けている。
そんなジャカルタの街を地下から支えているのが、この新しい地下鉄だ。
ホームに降りると、地上の喧騒が嘘のように静かになる。
駅は新しく、案内表示も整っている。
そして改札を通るときに、ちょっとした「日本」を感じた。
ジャカルタ地下鉄の乗車カードには、JR東日本のSuicaなどでも使われている、ソニーの非接触型ICチップ「FeliCa(フェリカ)」方式が採用されている。
カードをタッチすると、改札機が「ピッ」と反応する。
この反応が、とにかく速い。
タッチして、一瞬で通れる。
日本の改札機の速度に慣れている身としては、このスムーズさが妙に嬉しい。
海外の交通機関に乗ると、改札で少し戸惑うことがある。
カードをかざしても反応しない。
もう一度やり直す。
後ろに人が並ぶ。
そして焦って進もうとすると、改札の扉に足を強打する。
海外旅行あるあるである。
ところがジャカルタでは、その心配がない。
「おお、ちゃんと日本と同じくらい速い。」
遠く離れたインドネシアの地下鉄で、日本の技術に助けられている。
なんだか不思議な感覚だ。
旅をしていると、国と国の違いばかりに目が向く。
言葉も違う。
食文化も違う。
街の匂いも違う。
でも、こういう何気ない瞬間に、世界が繋がっていることを感じる。
ジャカルタの地下鉄のホームに立ちながら、ふと思う。
都市は、それぞれ違う歴史を持っている。
それでも人が増え、街が大きくなれば、地下鉄が必要になり、効率よく人を運ぶ仕組みが必要になる。
そして、その仕組みの一部に、日本で生まれた技術が使われている。
地上では、昔ながらのジャカルタの喧騒。
地下では、最新の都市交通。
その改札を、日本の技術でスムーズに通り抜ける。
昔の東南アジアと、これからのアジアが、一つの街の中で同時に動いている。
そんなことを考えながら、ジャカルタ地下鉄のホームで次の列車を待っていた。
2023.8.19 ジャカルタ地下鉄のホームにて

ジャカルタの地下鉄の改札は、Suicaと同じようにタッチして通るタイプ。
そして、反応が早い。
カードを「ピッ」とかざすと、ほとんど間を置かずに扉が開く。
この何気ないスピードが、なんだか気持ちいい。
東南アジアの交通機関では、タッチしてから少し間があったり、改札の反応がゆっくりだったりすることもある。
その感覚でいると、反応する前に「もう行けるだろう」と思って進み、自動改札の扉に足を強打する。
あの一瞬の油断は、地味に痛い。
でも、ジャカルタでは大丈夫。
ピッ、スッ。
迷う時間も、足をぶつける時間もない。
改札というのは、普段は意識もしないほど小さな仕組みだ。
でも、こういう「待たされない」という小さな快適さの積み重ねが、都市の暮らしやすさを作っているのかもしれない。
遠く離れたジャカルタで、日本と同じようにスムーズに改札を抜ける。
旅をしていると、意外なところで「日本、ちゃんとしてたんだな」と気づかされる。
そして何より――
足をぶつけなくて済む。これは素晴らしい。

ジャカルタの地下鉄に乗っていると、車内を埋め尽くす広告が目に入る。
壁も、柱も、窓まわりも、広告、広告、また広告。
まるで地下鉄そのものを企業が買い取ったかのようだ。
「地下鉄をジャックする」とは、まさにこのこと。
でも、よく考えると面白い。
乗客は毎日この電車に乗り、同じ景色を見ながら移動する。
企業にとっては、そこに毎日必ず人が集まる。
だから広告は、街の隙間に入り込んでくる。
人が集まるところには広告が集まり、広告が集まるところにはお金が集まる。
地下鉄が新しくなる。
人が増える。
企業が広告を出す。
街が成長していくと、その成長を映すように広告も増えていく。
そして今日も、乗客は目的地へ運ばれながら、企業のメッセージまで一緒に運ばれている。
……無料で乗せてもらっているわけではない。
運ばれているのは、乗客だけではないのかもしれない。

ジャカルタの地下鉄ホームは、明るくて綺麗だった。
地上のジャカルタといえば、車やバイクが行き交い、クラクションが響く、エネルギーに満ちた街という印象がある。
でも地下に降りると、その喧騒が嘘のように消える。
明るい照明。
整然と並んだ案内表示。
静かに列車を待つ人々。
「ジャカルタ=混沌」という自分の先入観が、また一つ崩れていく。
都市が成長すると、街は少しずつ整っていく。
ただ綺麗になるだけではない。
人が安全に移動でき、迷わず目的地へ行ける。
そういう当たり前を積み重ねることで、街の未来が作られていく。
地上には、これまでのジャカルタがある。
そして地下には、これからのジャカルタがある。
そんな対比が、この明るく綺麗なホームを見ていると、なんとなく感じられた。

開通予定の駅まで描かれた、ジャカルタ地下鉄の路線図。
今はまだ線路のない場所にも、未来の駅が描かれている。
そして実際に、あちこちで延伸工事が進んでいる。
完成した路線だけを見れば、ただの交通網に見える。
でも、建設中の線を眺めていると、少し違って見えてくる。
これは単なる路線図ではなく、これから大きくなっていく街の設計図なのかもしれない。
人が増える。
街が広がる。
新しい駅ができる。
そこに新しい店や仕事が生まれる。
地下鉄は、人を運ぶだけではない。
人の流れを変え、街の形まで変えていく。
そして面白いのは、路線図にはまだ存在しない「未来」が普通に描かれていること。
完成していないのに、もう地図には載っている。
未来は、まず線一本から始まる。
ジャカルタは今、その線を少しずつ現実のものに変えている途中なのだ。

地上に出れば、車とバイクが入り乱れ、狭い道には人が溢れている。
あの雑然としたジャカルタからは、少し想像しにくいほど整っている。
でも、この綺麗さを見ていると、単に「新しい地下鉄だから綺麗」というだけではない気がしてくる。
街が成長すると、人々の移動も変わる。
車だけでは追いつかなくなり、道路の上だけでは足りなくなる。
だから地下へ線路を伸ばし、街の未来を少しずつ作っていく。
この明るいホームに立っていると、ジャカルタが今まさに変わっている途中なのだと感じる。
地上では昨日までのジャカルタが走り、地下では明日のジャカルタが走っている。
その間に立っているような、不思議な感覚だった。
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