瑠璃の宝石 番外編~作品の舞台~
「瑠璃の宝石」の感想記事を毎回書いていますが、回を重ねるごとに文章量が増えてしまい、書ききれなくなってきています。それだけこの作品で語りたいことが多いのですが、直接作品と関係のないことだったりします。そこで今回は、これまで書いた感想記事に加えて、作品の舞台にまつわる話を「番外編」として、まとめてみたいと思います。
作者の出身地は群馬県とされていますが、おそらく桐生市周辺に縁があるものと思います。瑠璃たちが通っている高校、凪と伊万里の研究室のある大学、廃鉱山、鉱山鉄道、ダムなど桐生周辺をモデルにしていると思われる描写が数多く登場しています。
私はこの夏、桐生八木節祭りを見に桐生に行って来ました。私が以前書いた記事で漫画「惡の華」に関するものがありますが、その「惡の華」の中学生編の舞台となった「ひかり市」は、桐生市がモデルとなっています。桐生の町並みや風景描写などはほぼそのまま作品に描かれています。拙敲「11年越しの聖地巡礼~惡の華 中学生編~」で惡の華の作品の内容とともに、桐生のことに少し触れていますのでご一読ください。


本当に偶然になのですが、桐生に行った年に桐生にまつわるアニメが放映され、こうして感想記事を書くことになるとは思ってもいませんでした。
それでは、作品の舞台について触れていきます。
まず、瑠璃たちが通っている高校は「霧生東(きりゅうひがし)高校」という名前です。おそらく、桐生市内にある高校をモデルにしているのでしょう。しかし第4話で登場した校舎は桐生市内の高校にはなく、別の地域の学校をモデルとしているのでしょう。
桐生は高等学校の多い町です。人口10万人の町にかつては高等学校が8校ありました。現在は統合により6校になっていますが、それでも人口規模から考えると多いと言えるでしょう。
また、桐生は高校野球がとても盛んな町でもあります。「球都桐生」と呼ばれるほどで、「球都桐生公式WEBサイト」というホームページも存在します。
市内からは、これまでに5校が甲子園に出場しており、特に桐生第一高校は、1999年の夏の甲子園で全国制覇を成し遂げています。また桐生高校は、旧制の桐生中学時代を含めると春夏通算26回(春12回、夏14回)甲子園に出場し、準優勝2回(1936年春、1955年春)、ベスト4が2回(1947年春、1978年春)という輝かしい成績を収めています。
私が桐生高校のことで記憶しているのは、1978年の春の選抜に出場したときのことです。大会屈指の好投手である木暮洋投手を擁して準決勝まで勝ち進みました。しかしこの大会で最も注目を浴びたのは、同じ群馬県から出場した前橋高校のエース、松本稔投手でした。松本投手は初戦の比叡山高校戦で、甲子園史上初の完全試合を達成しました。
松本投手は、その後群馬県内の公立高校の教員となり、赴任した中央高校と前橋高校では、監督としても甲子園出場を果たしています。定年退職後は再任用教員として桐生高校に赴任し、現在野球部監督を務めています。
桐生市を流れる渡良瀬川の上流には、かつて足尾銅山がありました。足尾銅山は、江戸時代の1610年ごろに発見され、幕府の財政を支える重要な鉱山として発展しました。明治時代になると古河財閥が経営を引き継ぎ、日本の近代産業を支える大規模な銅産地に成長しました。
しかし採掘・製錬に伴う煙害や鉱毒が渡良瀬川に流れ込み、農地の荒廃や住民の健康被害を引き起こしました。これが有名な「足尾銅山鉱毒事件」で、日本初の本格的な公害問題として知られています。
その後も、戦前戦後を通じて採掘は続きましたが、資源の枯渇などにより1973年に閉山しました。現在は「足尾銅山観光」として坑道跡が公開され、歴史を学べる施設になっています。
また、桐生駅が起点とする「わたらせ渓谷鐵道」は、足尾銅山からの産出される銅の輸送のため、民営の足尾鉄道として建設されました。その後国有化され国鉄足尾線となりましたが、1987年の国鉄民営を経て、過疎化による利用客の減少から第三セクター「わたらせ渓谷鐵道」に継承され、現在に至っています。

第10話で登場した鉱山鉄道は、わたらせ渓谷鐵道がモデルと思われます。実際に運んでいたのはマンガンではなく銅ですが、アニメでの描写のとおり、銅の輸送には蒸気機関車が使われていました。
今回調べて初めて知ったのですが、現在の終点である間藤駅は旅客駅の終点であり、かつてはさらにその先の足尾本山駅まで1.3kmの貨物専用線がありました。閉山後も輸入された銅の精錬が続けられていたため、貨物専用線として使用されていましたが、国鉄民営化の際に間藤ー足尾本山間は廃線となりました。

第10話で出てきた廃線跡は、この区間のイメージがあったのかもしれません。この区間はアニメの描写とは異なり、松木川沿いの谷合いを走っています。下のストリートビューは間藤ー足尾本山間の廃線跡です。廃線から40年あまり経った現在でも、レールや枕木、橋梁などがそのまま残っています。
桐生周辺には、かつて数多くのマンガン鉱山が存在していました。ほとんどは零細な鉱山でしたが、その中でも上菱鉱山や茂倉沢鉱山は比較的生産量の多い鉱山でした。特に上菱鉱山は、群馬県最大級のマンガン鉱山であったとされています。第9話のマンガンの話も、大学や高校の近くで採集できるという点でテーマにしやすかったのだと思います。
さらに、桐生市には群馬大学理工学部があります。鉱物学に関する専門課程はないようですが、瑠璃の高校から凪の大学までの距離感を考えるとモデルとするには十分でしょう。下は校門付近の写真ですが、アニメの「前芝大学」とは全く異なりますが、構図は似ていなくもありません。「前芝大学」は群馬大学の本部のある「まえばし」をもじっているものと思われます。

また、渡良瀬川上流には「草木ダム」がありますが、第9話で「くさばダム」と名前を変えて登場します。「くさばダム」は「草木ダム」と同じ群馬県にある「八ッ場ダム」を組み合わせた架空の名称だと思われます。また、瑠璃たちがオパールを発見したダムは、サブタイトルにある「190万トン」をダム湖の貯水量と仮定すると、桐生市に隣接する栃木県足利市の「松田川ダム」が該当します。ダム本体も松田川ダムに似ています。一方、ダム湖は草木ダムに似ていることから、両方のダムをモデルにしているものと思われます。


以上、瑠璃の宝石 番外編~作品の舞台~でした。作者の日常が垣間見えるようで面白いのですが、残りあと3話の中からも新しい情報が得られるかもしれません。それでは、また。
廃線跡とマンガン鉱~瑠璃の宝石 第10話~
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