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Googleで探るロケハンが行われた場所~TVアニメ『クジマ歌えば家ほろろ』

『クジマ歌えば家ほろろ』は、謎の生物「クジマ」と鴻田家の温かな交流を、淡々と描いた作品でした。どこか牧歌的な地方の風景と作品全体の雰囲気がよく合っており、懐かしさを感じさせる空気感がありました。

そこでこの作品の舞台となった場所は、実在するのだろうかと思い、少し調べてみることにしました。ファンタジー作品ということもあり、具体的な舞台となった地域は明示されていないようでしたが、エンディングに「協力 福岡フィルムコミッション」のクレジットがあることが分かりました。さらに、原作者が福岡市出身であることから、おそらく福岡周辺でロケハンが行われたのではないかと考えました。

そこで、Google EarthとGoogle マップを使い、福岡市周辺で作中に登場する風景と一致しそうな場所を探してみました。ChatGPTとも会話しながら、いくつかの地域に絞られることが分かりました。具体的には、福岡市西区から糸島市にかけての地域、福岡県糟屋郡粕屋町から篠栗町にかけての地域、そして福岡市早良区の南部地域です。

その中でも、田園風景が広がっていること、山が近いこと、住宅地があること、電車が走っていることなどを考えると、もっとも有力なのは福岡市西区から糸島市にかけての地域ではないかと見当をつけました。作中に登場する新が通う比較的大きな中学校の校舎、たびたび映る特徴的な円錐形の山、小河川が流れる風景などを手がかりに、さらに詳しく調べてみました。

エンドクレジットには九州大学の協力も記載されていたため、当初は九州大学伊都キャンパス周辺が最有力だと思っていました。近くには中学校もあり、整備された田畑も広がっているため、おそらくこの周辺でロケハンが行われたのだろうと考えていました。

ただ、一つだけ疑問がありました。作中に頻繁に登場する、きれいな円錐形の山が、この周辺には見当たらなかったのです。最初は、あくまでロケハンであり、山だけは別の地域の風景を借用したのかもしれないと思っていました。しかし、どうしても気になったため、もう少し範囲を広げて調べてみることにしました。

すると、第11話で新の通う学校とその周辺の風景が映し出された際、あることに気づきました。学校の掲揚台です。掲揚台には一般的に、国旗、自治体の旗、校旗などが掲げられますが、国旗の左側に掲げられていた自治体の旗と思われるものが、糸島市の市旗に酷似していたのです。

そこで、糸島市内の中学校をGoogleマップで調べてみたところ、新が通っている学校のモデルは、糸島市立前原西中学校と思われることが判明しました。

さらに、中学校から北側を眺めると、作中で何度も登場していた美しい円錐形の山が見えます。この山は「可也山」といい、標高365メートルの独立峰です。その美しい山容から「糸島富士」や「筑紫富士」とも呼ばれ、糸島半島のシンボルとして親しまれているそうです。

その後、周辺をさらに調べていくと、ロケハンに使われたと思われる場所が次々と見つかりました。主にモデルになっているのは、糸島市のJR筑肥線・美咲が丘駅周辺の地域だと思われます。

美咲が丘駅は、新とクジマが初めて出会った場面のモデルになったと考えられます。前原西中学校はもちろん、ランドマークとなっている荻浦神社近くの丘に立つ鉄塔も、作中のいくつかの場面に登場しています。また、クジマが泳いでいた川は、多久川という小さな河川ではないかと思われます。

こうして調べてみると、なかなか楽しいものです。まるで聖地巡礼を、パソコンの画面上で行っているような感覚になります。

最後に、作品のいくつかのシーンと、実際のGoogle Earthの画像を並べてみます。


1 可也山

第11話より。このカットがこの企画を始めてみようと思うきっかけとなりました。美しい黄昏時の風景がとても印象に残りました。©紺野アキラ/小学館/クジマ製作委員会
背後にそびえるのが可也山です。中央右には前原西中学校の校舎と校庭が見えます。右手前のマンションは改修中で黒い覆いがかけられています。左手前に作品によく出てくる鉄塔(電波塔?)があります。 ©Google Earth

2 美咲が丘駅

第12話より。新たがクジマと出会った近くの駅です。
©紺野アキラ/小学館/クジマ製作委員会
JR筑肥線美咲が丘駅 ©Google Earth

3 自動販売機(美咲が丘駅)

第1話より。 ©紺野アキラ/小学館/クジマ製作委員会
クジマと新が初めて出会った美咲が丘駅近くの自動販売機の前です。作中では色だけを変えているのでしょうか。それとも、ロケハン後に自動販売機が入れ替わったのでしょうか。
©Google Earth

4 前原西中学校

第1話より。作中では、架空の地名として「天海」が使われています。「あまみ」と読むのでしょうか。それとも「てんかい」でしょうか。中学校だけでなく、車のナンバープレートや大学にも「天海」という名称が使われています。現時点では、特別な意味は見いだせませんでした。
©紺野アキラ/小学館/クジマ製作委員会
糸島市立前原西中学校 ©Google Earth

5 糸島市旗

第1話より。新が通う中学校の掲揚台です。左側の旗が糸島市旗とよく似ています。
©紺野アキラ/小学館/クジマ製作委員会
糸島市立志摩中学校の掲揚台です。右側の旗が糸島市旗。糸島市ホームページより

6 信号機(前原西中学校前)

第1話より。中学校付近にある信号機です。 ©紺野アキラ/小学館/クジマ製作委員会
前原西中学校南西の交差点にある信号機。交差点の中央上部に1台だけ設置され、四方向の交通を制御しています。©Google Earth

7 多久川

オープニング映像より。クジマと新が座っているのは、川の土手に設けられた階段です。
©紺野アキラ/小学館/クジマ製作委員会
多久川の土手の階段 ©Google Earth

8 多久川と可也山

第12話より。まだ暗い早朝の場面のため少し分かりにくいですが、下の画像とほぼ同じ構図です。手前に橋があり、その奥には白い倉庫のような建物が見えます。その奥には、山の裾野がわずかに確認できます。©紺野アキラ/小学館/クジマ製作委員会
多久川河畔から可也山を臨む。 ©Google Earth

9 糸島市荻浦地区

第1話より。中学校から新の自宅までの通学路です。中央奥に新の姿が小さく描かれています。
©紺野アキラ/小学館/クジマ製作委員会
糸島市荻浦地区。ファッションセンターしまむら前原店とマルキョウニュー前原店の間を通る道路で、正面奥に可也山が見えます。©Google Earth

10 泉川河口と弁天橋

第12話より。クジマと新の別れの場面です。©紺野アキラ/小学館/クジマ製作委員会
多久川は下流で長野川、泉川と合流し、玄界灘へと注ぎます。奥に見える橋が弁天橋です。
©Google Earth

11 九州大学伊都キャンパス

第12話より。新の兄・英が通う大学です。
©紺野アキラ/小学館/クジマ製作委員会
九州大学伊都キャンパス ©Google Earth

いかがだったでしょうか。多くのアニメには、背景や建物のモデルとなった実在の場所があります。ご当地アニメであれば、その場所は比較的簡単に特定できますが、本作のように舞台となった地域が明示されていない作品も少なくありません。

モデルとなった学校や施設が、九州大学のように協力先としてクレジットされていれば比較的見つけやすいのですが、それ以外の場所を特定するには、背景に描かれた山や建物、道路などを一つずつ手がかりにする必要があります。

聖地巡礼は楽しいものですが、遠方の場合は気軽に訪れることができません。そこで、パソコンの画面上でモデルとなった場所を探してみるのも、一つの楽しみ方ではないでしょうか。

興味があれば、皆さんもGoogle EarthやGoogleマップを使って、作品の舞台を探してみてはいかがでしょうか。

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