志望校を考える前に、まず向き合ってほしいこと
少し前、中学受験を考えている小学5年生のお子さんを持つお母さんから、ご相談をいただきました。
相談内容は、このようなものでした。
「塾が子どもに合っていないのでしょうか。成績がまったく上がりません。学校の成績も思うように伸びず、子どもは頑張る気持ちはあるのですが、塾のクラスも落ちてしまいました。
さらに塾の先生からは、『志望校のランクを下げたほうがいいですね』と言われてしまいました。このまま受験を続けていいのでしょうか。」
お話を伺っていると、お母さんにとってはまさに八方ふさがりの状態でした。
塾に通っているのに成績は上がらない。
クラスは下がる。
子どもは「頑張る」と言っている。
それなのに、志望校まで見直したほうがいいと言われてしまった。
何を信じて、何を変えればいいのか分からなくなっていたのです。
私は、まずこうお聞きしました。
「お子さんの『頑張る』というのは、具体的にどんな様子ですか?」
ここで確認したかったのは、成績のことだけではありません。
お子さん自身が受験にどう向き合っているのか。
そして、親子で同じ方向を向いて進めているのか。
受験を支える土台ができているかどうかを確認したかったのです。
次に確認したのは、学校生活についてでした。
「学校の成績はどうでしょうか」
「当たり前に取れる問題は、きちんと取れていますか」
ここで見たいのは、応用問題が解けるかどうかではありません。
基礎がしっかり身についているかどうかです。
そして、もう一つ確認したことがあります。
それは生活習慣です。
「忘れ物はありませんか?」
「提出物は期限までに出せていますか?」
忘れ物や提出物の遅れは、単なる学校生活の問題ではありません。
決められたことを期限までにやり切る力。
自分で管理する力。
受験に必要な力と大きく関わっています。
さらに、一日の過ごし方についてもお聞きしました。
何時間勉強しているのか。
どの時間に勉強しているのか。
そして、その中で本当に集中できている時間はどれくらいなのか。
生活全体を見ることで、今必要なのが勉強時間の確保なのか、勉強方法の見直しなのか、それとも別の課題なのかが見えてきます。
話を聞いていく中で、少しずつ状況が分かってきました。
実は、お子さんは学校でも塾でも、提出物や宿題の忘れ物が多いとのことでした。
そして、お母さんがおっしゃる、
「子どもは頑張っています」
という言葉。
詳しく確認すると、それはお子さん本人が「頑張っている」と話している、ということでした。
もちろん、子どもを疑う必要はありません。
小学5年生になれば、自分で勉強する時間も必要です。
ただ、
「部屋にいる=勉強している」
ではありません。
机に向かっている時間と、本当に集中して学習している時間は違います。
だからこそ、まずは親子で今の状態を見えるようにすることが大切です。
私はお母さんに、
「まずは宿題を確実に提出すること。それを当たり前にしましょう」
とお伝えしました。
これは受験以前の大切な土台です。
難しい問題に挑戦することももちろん必要です。
でも、その前に、
決められたことをやる。
期限を守る。
基本を積み重ねる。
その力がなければ、受験勉強を最後まで走り抜くことはできません。
そして、勉強の進み具合については、もう少し塾の先生と会話をしてくださいとお伝えしました。
これは親が過干渉になるということではありません。
お子さん自身が見ている姿と、先生から見えている姿をすり合わせるためです。
「本人は頑張っていると言っている」
「でも、実際の提出状況や理解度はどうなのか」
そこを確認することが大切なのです。
例えば、
宿題をするとき。
一日の復習時間。
その時間だけは、リビングなど親の目が届く場所で取り組む。
それだけでも、実際の学習量や集中できている時間が見えてきます。
そして、もう一つ大切なことがあります。
それは、
「なぜ、この時期に志望校を下げたほうがいいと言われたのか」
その真意を考えることです。
小学5年生。
受験までまだ1年以上あります。
今の時点で届いていなくても、
「ここから頑張って目指しましょう」
と言える時期です。
だからこそ、早い段階で志望校の変更を勧められたということには、何か理由があるはずです。
塾の先生は、成績だけを見て判断しているわけではないかもしれません。
授業中の様子。
宿題への取り組み方。
課題を提出する姿勢。
日々の積み重ね。
そういった部分から感じたことがあったのかもしれません。
もちろん、5年生の段階で子どもの可能性を決めつける必要はありません。
子どもは、ここから大きく変わることがあります。
でも、
「ひどいことを言われた」
で終わらせるのではなく、
「なぜそう言われたのか」
「今、見直すべきことは何なのか」
そこに向き合うことが大切なのだと思います。
そして、もう一度親子で確認してほしいことがあります。
それは、
受験をするということは、どういうことなのか。
ということです。
中学受験は、決して簡単な道ではありません。
毎日の勉強。
思うように結果が出ない時期。
周りとの比較。
悔しさや不安。
そうしたものと向き合いながら進んでいく道です。
だからこそ、
「受験する」
と決めるだけでは足りません。
なぜ挑戦するのか。
そのために何を変える必要があるのか。
今の自分たちに、その覚悟があるのか。
そこを親子で考える必要があります。
志望校を考える前に。
まず向き合うべきものがあります。
今の子どもの姿を見ること。
今の家庭の取り組みを見ること。
そして、変えるべきところは変えること。
そこまでできて、ようやく本当の意味で受験へのスタートラインに立てるのだと思います。
【免責事項】
本記事は筆者の実体験に基づく内容であり、すべての方に同様の結果を保証するものではありません。
進路や受験戦略については、学校や塾などと相談のうえご判断ください。【著作権について】
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