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【2025年新作童話】ステーション#1〈箱〉

そこは
通信回旋も無い世界

在るのは
落ちて行ったわたしの叫び

窮屈な箱の中で
確かにわたしは助けを求めた

この声が
もしも女神に届いたなら

わたしの魂が泣き叫ぶ
この狭い狭い
小さな世界に閉じ込められてーー

東の地平線から
新しい顔をした朝日が昇る。
朝の列車を待つ黄色い線の内側で
わたしはヘッドホンを外した。

駅の中の列の人々は
皆同じブルーのスーツを着て
中々来ない乗り物を苛々として待っている。

貧乏揺すりを始めた横の人が
わたしの身体にぶつかると

「ステーションへようこそ!
ステーションへようこそ!

ようこそ、ブルーマンデーへ。

ダイレクト行き、
順行の方は出口Dへ。
レトログレード行き、
逆行の方は出口Rへ…」

奇妙なアナウンスに反応したわたしは

レトログレードって?」

中学生の問いに
大人達は見向きもしない。

「ねえ、ブルーマンデーって?
ここがそうなの?」

ブルーのスーツを着たサラリーマン達は
ブツブツと苛立ちながら
時間が惜しそうに時計ばかりに
気を取られている。

「タナトスだー!!!!」
誰かが叫んだ。
駅のホームに黒くて巨大な
化け物が現れた。

列車のように滑り込んで来た
化け物は
一口で大きな舌と歯肉を使い
ブルースーツの男達を飲み込んで行く。

これが、わたしにとっての
破滅のカウントダウンだったーー。


#1〈箱〉

箱だった、巨大な箱。

大人も子供も老人も
皆が入れる大きさの箱。

わたしは
気付いた時、その箱の中にいた。
沢山の人間達が
その中で列を作って順番を待っている。

わたしはそれの最後尾にいて
果てしない列の
後ろに立った中学生は退屈した。

箱の天フラップ(上の部分)は
解放されているが、
そこから上は真っ暗で何も見えない。
宇宙のようにも思えるし
見える世界のこちら側とは
何か境界線でもあるのかとすら思えてくる。

「アナベル・ハイドレインジア…」

突然、わたしの名前を呼ばれた気がして
目をパチクリやると
際限なく広がる上の方から
美しい音楽が輝きながら落ちてくる。

その金粉はまるで星屑で
風が吹いただけで何処かへ
飛んで行ってしまいそうなくらい
細かい粒子だ。

その一粒を
わたしは両手で挟んで捕まえた。

単音だった音が
手の中で和音に変わる。
きっと、こうやって音楽は
生まれるんだろうな。

その時
急に手の中に圧力を感じた。
真空になって
手の中へ
どんどん吸い込まれる。

引力が全て
手の中にあるみたいに
時空の歪みを感じた。

するとわたしは
列の先頭に立っていた。

手の中の圧力は抜けて
今度は手のひらが
燃えるように熱い。

とても怖かったけど
手を広げてみる。
神秘十時のある辺りに
一文字ずつ
カタカナが光る。

「ジカンノススミカタガチガウ」

「時間の進み方って何?」

気付くと知らない場所にいて
怖い思いもした
わたしは泣いてしまいそうだった。

涙を浮かべたわたしは
列の先頭に立ち
後ろに並ぶ人の舌打ちで
ハッとする。

受付の人はずっと
「乗り物はどうされますか?」
をリピートしている。

「乗り物って?」

受付の人はAIのようで
会話が成り立たない。

突然、その箱の後方から
銃声が響く。

「乗り物をよこせー!!!
宇宙海賊が
このフロアをジャックした!」

列の人々は逃げ惑い
次々と銃◯されていく。

背が発達途中の中学生は
大人達の隙間にすっぽり隠れて
幸運にも免れた。

怯えて、しゃがんだ中学生は
静かになった箱の中で
赤く染まった自分の服を見て
恐怖を覚えた。

思わずワッと泣いていると
宇宙海賊は中学生に気付き
銃口を向けた。

バアアンと物凄い音がして
背中からやられたのに
少しも痛くない。

「??」

立ち上がるわたしを見て
12人の海賊達が驚いて集まってくる。

リーダーらしき
星座のタトゥーまみれの黒い肌に
ヤケに顔のデカい親父は
途端に笑い出した。

「コイツ!◯なねえとは!
オイ!俺らと同じ
ワルモンだ!」

スンスン匂いを嗅ぐと
「ホラよ!ワルモンの匂いだ!
コイツ悪党だゼ!
オイお前!俺らの仲間にならねえか?」

「匂いって?
わたしワルモンなの?」

「ああ、お前はココへ来る前
何かしたんだ!
例えば、人を◯したとか!」

大罪の罰として
閉じ込められた箱の中。

わたしは聞き返した。
「わたしが、人を◯した??」ーーー


#1〈箱〉END

お正月からヘヴィーな物語でごめんなさい🙇‍♀️
(六花ちゃんはROCKですね🔥)
でも、最終回まで読んだ貴方を
絶対に後悔させない。

だから来週水曜日もお楽しみに!

コメント喜びます🥲
六花💌

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