大正餅煎茶餡越後姫大福 江口だんご 新潟県長岡市 和菓子なスクチャイ268 2026.03.14
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※くまの身長は7.5cm。大きさの参考に。
大正餅煎茶餡越後姫大福 江口だんご 新潟県長岡市
※注1.今回の和菓子は市販の予定がない特別なものだ。
※注2.当日の写真はソーシャルメディア等に出してどんどん紹介して欲しいとのことなのでそうする。

1.長岡のお茶フェスティバル

長岡のお茶フェスティバルという催しで吾輩は「江口だんご」の和菓子付きお茶会に参加した。(2026/03/14)
そこでこのたび、無理矢理名前を付けるならば「大正餅煎茶餡越後姫大福」という至高の和菓子をいただいたのでそれを以下に記す。
2.「大正餅煎茶餡越後姫大福」

それは4代目店主(株式会社江口だんご代表取締役江口太郎氏)が当日朝に、そのお茶会のためだけに製作したという非常に貴重なものだった。
今の季節、「江口だんご」各店ではいちご大福を販売しいているが、ここでいただいたいちご大福は特別中の特別だ。
何が特別なのかと言うと・・・先の名前を少し砕いて言うと「大正餅で作った餅で粕雪茶の粉末煎茶を混ぜ込んだ白餡と越後姫を包んだ大福」となり、それぞれの素材が以下の通りに曰く付きなのだ。
2.1.幻の「大正餅」
大正時代に誕生し当時「餅米の王様」と称えられ圧倒的な美味しさがある餅米だが、現在主流の「こがねもち」などに比べて栽培が非常に難しく収穫効率も悪いため、戦後の食糧難や効率重視の農業の中で次第に作りやすい品種に取って代わられてきた経緯のある幻の品種だ。
現在は新潟県、山形県、栃木県などの一部の熱心な農家や地域によって復活栽培が行われてきており、そのような幻の餅米で作った和菓子をその日不肖吾輩が試食できるという幸運に恵まれたのだった。
吾輩は大正餅を食べるのは初めてで、身震いが出るほどの感動だった。
2.2.粕雪(はくせつ)茶
「粕雪」という名前はお茶の木の根元に酒粕の粉を肥料として撒く様子に由来する。撒いた直後の茶畑がまるで雪が降り積もったように真っ白に見えることから名付けられた。
酒粕を肥料として与えることで茶葉にアミノ酸が豊富に含まれ、そのためほんのりとした甘みと深いコクが生まれる。
(補足:アミノ酸が根から直接葉に行くわけではないのでここでの説明はあくまでイメージ)
商品としては煎茶、ほうじ茶、紅茶などの種類があるが、今回の特製大福で特別なのは白餡に「煎茶」を混ぜ込んだ点だ。
和菓子で餡に練り込むなどして使うのは一般的には「抹茶」だが、そこで敢えて粉末にした「煎茶」を採用したのだ。
吾輩は、いつもながらに食べる時は偏見や思い込みを無くすために事前情報なしに「素」の状態でいただいたのだが、最初、中の餡から吾輩好みのお茶の香りを強く感じ、なんじゃこりゃ!?と驚くに至った。
その時点では吾輩は抹茶と思っていたのだが、後で種明かしのように「煎茶」と聞いて二度びっくりだったのだ。
ちなみにこの粕雪茶は新潟県下の以下の企業が一緒になって組んで作り上げているもので、
酒蔵として吉乃川(長岡市):日本酒を作る際に出る良質な酒粕を提供。
茶園として冨士美園(村上市):北限の茶処村上でその酒粕を肥料としてお茶を栽培。
そして今回の大福を作った和菓子店として「江口だんご」がこの粕雪茶をプロデュースし、お茶の製品自体は各自店舗(特に摂田屋店)で提供販売している。
2.3.新潟名産いちご「越後姫」
冬の寒さが厳しく日照時間が短い新潟の気候を逆手に利用し、低い気温で時間をかけてゆっくり育成熟成させることで作られた品種だ。
果肉が非常に柔らかくジューシーな反面、衝撃に弱いため長距離の輸送が困難でほとんどが地元で消費されている。
ちなみに吾輩が今のところ最も気に入っているいちごはそのまま食べる場合埼玉の「あまりん」だ。
「越後姫」は酸味がある点と中の色彩の点で「あまりん」や福岡の「あまおう」には敵わないといつも感じているのが吾輩の嗜好ではあるが、いちご大福などの甘い和菓子にするなら適度な酸味がある点で「越後姫」の方が合うかもしれないとは思った。
3.食べた



先に書いたように真っ先にお茶の香りを強く感じ、なんじゃこりゃ!?と驚き、その時点では抹茶と思っていたのだが後で煎茶と聞いて二度びっくりだった。
包んでいる大正餅餅は福井の羽二重餅さながらのたおやかで白くきめの細い柔らかさで、微かに米のふくよかな香りを感じた。
この手の大福ではあまり感じない特徴で、吾輩はそれも最初不思議に思っていた。
その餅の口触りを楽しみつつ齧ると、今度は中の程良く甘い煎茶餡を通じて果汁たっぷりな越後姫を一緒に味わえるという段取りだ。
至高の食経験とはこのことだった。
その時点では、吾輩、餅も餡も正体は知らなかった。
唯一吾輩にわかっていたことは、越後姫だけだった。
越後姫が美味しいのは当然として、餅と餡は他で経験したことのない素晴らしさだった。
なお、「大正餅煎茶餡越後姫大福」と一緒にいただいたお茶は江口店主直々に淹れてくれた「粕雪(はくせつ)茶のほうじ茶」だった。
そのお茶がまたとても薫り高く、「大正餅煎茶餡越後姫大福」と完璧な相性を示していた。
4.今日だけの、今日の素材による、今日のための和菓子

店主の江口氏によると、いかに素晴らしくてもこれを商品化することは考えていない、というか、素材や作業の点で現実的に量産できそうもないのだそうだ。
従って、今日これを食べて気に入って「また食べたい!」と何人(なにびと)が叫ぼうとも、それは叶わぬ夢なのだ。
江口氏も、(色々な事情で)今日と同じものはもう作らないと言い切った。
「今日だけの、今日の素材による、今日のための和菓子」
なのだった。
そんな刹那な幻の和菓子をいただけたことは、吾輩、至高の喜びだった。
5.地域の素材の組み合わせ
今回の大福の素材の組み合わせもそうだが、江口だんごでは地域的な発酵食品の現場との関係性も考え、例えば餡に味噌を混ぜ込むなどの試行も続けているらしい。
そしてそれが案外とても良いとのことなのだ。
吾輩はそれを聞いてひとくちでいいので試食してみたくなった。
さらに、長岡駅からひとつ隣の信越本線と上越線との分岐駅である宮内駅前に「青島ラーメン」があり、吾輩も新潟に来た当初物珍しさでわざわざ食べに行ったが、そこのラーメンは生姜醤油のスープが特徴なのだ。
宮内駅は「江口だんご」の摂田屋店の最寄り駅で徒歩圏内だ。
生姜を入れた醤油味が「地域の味」ということで、江口だんごではみたらし団子の「生姜醤油版」も試作してこれも上々の味であったとのことだ。
6.地域と連携する「江口だんご」
このように江口氏の発想は地域とのつながりを忘れず、発酵産業が集まる静かな中越地域の一郭で土地の利を生かした美味しい和菓子をどんどん提案し続けてくれそうな気配だ。
そんな「江口だんご」にはますます目が離せない。
なお、もうひとつの「江口だんご」の記事は以前書いたこちらにもあるので参考にしてほしい。
(おわり)
