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博士課程2年8月|最近読んだ本

公開するか迷っているうちに涼しい季節になってしまいました。備忘録(=外部記憶装置)として残しておきたいと思います。

8月は暑くてバテていたのと、論文のイントロをうんうん唸りながら考えていたら過ぎ去っていきました。ミリしか進んでいなくてしょんぼりです。

人生については、自分で経験する以外にも、過去に多くの人々が残してくれた知識がたくさんあると思っています。生活圏にあってすぐに駆け込める本屋は、人生を救ってくれるんだなと思いました。ここ数年で読んだ本の記録です。


夫婦 カップルのためのアサーション: 自分もパートナーも大切にする自己表現

どうしても自分を理解してほしい!と人に押し付けをしたくなってしまう瞬間があって、これはまずい!と思ったので本屋に駆け込みました。

他人との親密さについて悩み事があり、ドラマ「逃げ恥」を思い出して心理学のセクションを見てみることに。大学の授業で「アサーション」という言葉は知っていたのですが、本を読んだのははじめてでした。

親密に人と関わろうとするときに現れるパターンを知ることができた気がします。「どのような子ども時代を過ごして何を体験してきたか、親との関係がどのようにして心の中に生き続けているのか、どのような価値観を身につけてきたのかを理解する」ことを改めて意識しました。「自己分化度」「依存」「人間関係維持志向・問題解決志向」といった「それぞれが独立した個人であることと二人のユニットであることをうまく両立させていく」ためのポイントを洗い出してくれているようで、安心感を得られました。

また、関連して「バウンダリー」についての文章を読んだりもしました。

過去に嫌なことがあったとき、相手に伝えようとせず、自分の中に溜め込んでしまった経験があります。相手の反応を予想して諦めてしまっていました。また、話し合う機会を設けようと思っても「嫌だ!」という気持ちに囚われてしまって、冷静に状況を分析したり伝えたりするのが難しくなる自覚がありました。思ってもみなかった自分の攻撃性に気がついたりもしました。アサーション「自分も相手も大切にする自己表現」の枠組みを使って、なんとかやってみようともがいている最中です。

状況の分析に役立つ知識、自分を見つめることの促し、実際にどうするかのヒントの流れがとてもありがたい本になっています。


私の身体を生きる

幼い頃から身体の造形には興味があって好きでしたが、「他人から見られるもの」としての自分の身体については好きではないような、曖昧な気持ちを抱えてきたように思います。

「女性」である自覚はあるものの、他人から「女性」として扱われることと自分の気持ちとでズレがあるなと思っていました。自分の身体性・女性性が元々すごく苦手で、年齢とともにその気持ちも変化していると感じています。

周りの目を気にして好きな服を着れなかったこと、大学に入ってからほぼ男子校状態で自分が異常値であると思わされ続けていた経験など、自分の身体については何かとと思うことがありました。その感覚を家族に話したくてもうまく話せなかったり、ましてや他人には話そうとも思えないことも多く、日記のような形で心のうちを整理するようにしてきました。

思い悩むほどではありませんでしたが、ずっと心の中にあった話題について、1人の著者だけではなく様々な方が文章を書いているのが気になって手に取った本です。

語らされている筆者の方々に思いを馳せつつ、とても個人的な話をその筆の力でここまで昇華させられるのかと感嘆しました。当たり前のことですが、それぞれにそれぞれの人生があるのだと実感できたのが、自分を応援してくれているようで、読んでよかった一冊になりました。

これに関連して、村田沙耶香の『地球星人』も読んでよかったです。ふらっと入った複合商業施設の一角にあった本屋さんで、本当はおまけでもらえる小物欲しさに、平積みにされていたこの本を手に取りました。家に帰って読んでみたら面白すぎて、本当に久しぶりに本の一気読みをしました。


赤ずきんとオオカミのトラウマ・ケア: 自分を愛する力を取り戻す〔心理教育〕の本

ひょんなきっかけで思い出したくない過去を思い出して、すごく気分が落ち込んでいちにち動けなくなってしまう、ということがありました。短期的でしたが、かなり心身に影響が出たので、まずい!と感じて本屋に駆け込みました。

トラウマの一種なのかな、と考えて本を探してみることにしました。いくつかのサイトで紹介されていたので手に取った本です。本を読む前は「トラウマ」というと、虐待や被災などの生死に関わる出来事を指すと思って気が引けたのですが、まえがきには「トラウマの受傷は、生きていれば誰にでも起こり得る」と書いてあり、寄り添うような文体で安心して読み進めることができました。

「日常とは違う異常な体験をした」と自覚がある災害や犯罪被害、一度だけ起きた体験によるトラウマだけでなく、虐待やDVといった慢性的な体験による複雑トラウマ、地域全体での災害トラウマなど、多様な形があることがわかってきました。

  1. トラウマへの気づき
    記憶想起の過程の主体者になる。自分に起きている症状はフラッシュバックや「調節の障害」に関連していることを知る(正常化)。トラウマとは何か、それがどう現在に影響するかを知る。「過去の傷」を治すのではない、「傷に影響を受ける今」を変える方向性を見出す。

  2. 安全・安心の確保
    「記憶の解凍」は安全が確保されて初めて起きる。人間は、安心できる関係の中ではじめて、感情を表出することができる。
    「安全で安心ではなかった体験」「コントロールできなかった、大切にされなかった体験」をトラウマ記憶という形で心身に刻印されている。自分の体験に感情のラベルをつける。

  3. 再体験(安心できる関係の中で、語ったり書いたりして過去を再体験する)
    「今は安全な場所で、つらかった過去の話をしているのだ」という状態として新たに固定され、トラウマ体験は、あのときのまま凍りついたものではなく「過去の出来事」として再編集される。「まるごとの記憶」(体験が冷凍保存されている状態)が言葉として語られ、物語記憶という形で整理される。
    記憶は常に改変されている。語るたびに細部が変化したり、焦点が移ったり、自分にとっての意味が変わったりすることが起こり得る。トラウマ記憶も、安心できる場で安全な相手に向けて何度も語っているうちに、それにまつわる感情や感覚などが整理されて、今を侵食することのない過去の物語記憶になっていく。だから、話したり書いたりして表現することはとても大切。思い出しても安全だった、という体験を重ねるうち、過去の記憶にまつわる感情が感じられるようになる。特に涙を流すことによって、記憶と感情の統合が起こる。

  4. 社会的再結合(社会的なつながりを作る)
    自分の弱さだけでなく、生き抜いた強さにも気づき、「今・ここ」の、人の助けやつながりの中にあることが実感できるようになるうちに、加害者の存在は遠くなり、過去にとらわれにくくなる。自分を大切にするセルフケアの方法を身につける。
    最初の被害によって、防衛反応(逃走・闘争・凍結)が起きやすくなり、同じような状況にあったときにフリーズしてしまうため、再被害を受けやすくなる。回復途中に症状の嗜癖が起きることもある。生きていくための多様なスキル(感情表現や人間関係など)を身につけて再被害を受けないようにする。自分を大切にしてくれる人とつきあえること、助けを求められるようになること、危険を避けられること、自分にも相手にも100パーセントを求めずに「折り合いをつけられる」「妥協点を見つけられる」ことが大事。

回復についての章では、アサーションの本に出てきた「怒り」や「境界」の話も出てきました。どちらの本にも共通しているのは、自分が感情的になって過剰な反応を起こしてしまう場合(怒りや憤りなど)は、背景に過去の経験や無意識の理想があり、それを自分で自覚して整理していくこと、過剰な反応の代わりになるスキルを身につけていくことで、持続可能な人間関係を築いていける、ということかなと思いました。

今はまだ必要に至っていませんが、親子関係についても知見を深めるといいのかなと思っています。本を読んだりしていると、家庭という親密な関係性がその他の人間関係に大きく影響を与えているのは確かなのかな、という気がしています。



大学院の話では、以前こんな話を書きました。ラボにおける先生と学生の関係は少し特殊なのではないか、といった内容です。

院生をやっていると友人からいろんなラボの話を聞きます。友人自身の話や、友人が聞いた友人の話などなど。サークルで仲間を募ってプロジェクトをやるのに多少は慣れた気がしていたのですが、研究室というのはまた何か違うものを感じます。

ここらへんの知見も深めていきたいと思っているところです。


雑多な話になってしまいますが、ぼちぼち趣味で描いていた4コマ漫画を同人誌イベントに持っていくことにしました。9月7日のCOMITIA153で売ります。

暑さが続きますが、生き延びていきましょう〜

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