身から出た錆、迷惑掛けてごめんなさい
我が家の外壁と屋根の塗装工事が終わった。
築24年になる。
屋根の耐用年数は10年から15年らしい。
軽く超えてしまった。
業者さんに聞くと、限界の一歩手前だったらしい。
もう少し遅かったら、雨漏りでもしていたかもしれない。
この家には、まだまだ住み続けなければならない。
還暦のぼくがあと何年生きられるか。
80歳か、85歳か、とにかくあと20年は、この家のお世話になる。
ちゃんとメンテナンスする必要がある。
それなのに、お金がないと言う理由で、ずいぶん後回しにしてしまった。
工事費は高い買い物になってしまった。
退職金を充てることで、やっと実現した。
今から思えば、そうせざるを得なかったのか、そんな気がする。
この家を建てた時から、メンテナンス工事が必要になることは聞かされていた。
あの頃、ぼくは30歳代。
まだまだ遠い未来の話だと思っていた。
だから、いつ間にかそんなことが、頭の中から消え去っていた。
ある日、我が家を建ててくれた住宅メーカーの方がふいに訪ねてきた。
屋根と外壁の点検を無料でしてくれると。
この結果は散々なもの。
屋根のタイルにはカビが生え、外壁のタイルにはひび割れが・・・。
今すぐにでも工事をした方がいいと言われた。
その時、すでに20年が過ぎていた。
突然突きつけられた工事費の見積書は、とても払える額じゃない。
だから、退職金を支給してもらうまで、この家には頑張ってもらうことにした。
よく耐えてくれたと感謝している。
あの時から・・・、いずれ工事が必要になると聞かされた時から・・・、なぜ貯金をしておかなかったのだろうか。
必要になるとわかっていた費用なのに、ないがしろにしてきたツケが回ってきた、そんな気持ちだった。
日々の生活に追われて、大切なことが後回し。
後に回された方は、理由なく耐え続ける。
なんと理不尽な話だ。
もう一度、工事をする時が来るだろうか。
その頃、ぼくはもういないかもしれない。
いなくなったら工事をしてくれる人が、誰もいない。
いっしょに人生の幕を閉じるかな。
ずいぶん迷惑を掛けたから、最後くらい看取ってやらなきゃね。
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小説を読んでいただきありがとうございます。鈴々堂プロジェクトに興味を持ってサポートいただけましたらうれしいです。夫婦で夢をかなえる一歩にしたいです。よろしくお願いします。