第十五話 他の人|新しい春
第三章 ユウ先輩編
第十五話 「他の人」
ユウ先輩に彼女がいることを、
ナナとユリにも話した。
いつものように、
三人でお昼を食べていたとき。
「え、彼女いたの?」
ナナが驚いた顔をした。
「うん。高校の頃からだって。」
「そっか……。」
ユリが、
少し心配そうに私を見る。
「リオ、大丈夫?」
「うん。」
思ったより、
普通に返事ができた。
「まだ好きになったばっかりだし。」
そう言って、笑った。
まだ、
好きになったばかり。
今ならまだ戻れる。
そんなふうに思っていた。
彼女がいる人を、
追いかけるつもりはなかった。
だから、
これ以上、
好きにならなければいい。
……のはずだった。
サークルに行けば、
やっぱりユウ先輩を探してしまう。
笑い声が聞こえれば、
そっちを見てしまう。
忘れようって決めただけで、
気持ちまで消えてくれるわけじゃなかった。
そんなある日。
授業が終わって、
ショウタと教室を出た。
「その後、どう?」
「何が?」
「ユウ先輩。」
一瞬、言葉に詰まる。
「……本人にも聞いた。」
「やっぱ彼女いた?」
「うん。」
「そっか。」
ショウタは、
それ以上何も聞かなかった。
「だから、もうやめる。」
「何を?」
「好きなの。」
そう言ってしまえば、
本当にやめられる気がした。
「……やめれるの?」
「やめる。」
そう言うと、
ショウタが少し笑った。
「じゃあさ。」
「ん?」
「他の男とも遊んだら?」
「え?」
「ユウ先輩だけじゃないじゃん。」
「……。」
「大学なんて、
他にも男いっぱいいるんだから。」
「別に、
他の人を好きになりたいわけじゃないし。」
「そういう意味じゃなくて。」
ショウタが笑った。
「ていうか、
三人、結構人気あるよ。」
「三人?」
「リオとナナとユリ。」
「なんで?」
「学部内の男連中が、
あの三人なら誰がいい?って
話してた。」
「え、なにそれ。」
思わず笑った。
「ユリかナナのことでしょ。」
「なんで?」
「だって私から見ても可愛いし。」
「リオって言ってるやつもいたよ。」
「……え、私?」
思わず聞き返した。
まさか、
自分のことをいいと言ってくれる人がいるなんて、
思ってもいなかった。
「ほら。」
ショウタが笑う。
「ユウ先輩だけじゃないじゃん。」
「うん….。」
「だからさ。
もっといろんなやつと遊んでみたら?」
ショウタは、
私を励ますみたいに笑った。
「今度、クラスのやつら誘って
みんなでどっか行こうよ。」
「ナナとユリも?」
「もちろん。」
「……それなら行く。」
「じゃ、決まり。」
ショウタが笑った。

確かに、
ユウ先輩しか
男の人がいないわけじゃない。
他の人とも話して、
遊んで、
大学生活を楽しんでいたら。
いつの間にか、
この気持ちも薄れていくのかもしれない。
だったら、
少しくらい、
他の人を見てみてもいいのかもしれない。
第十六話へ続く
私の高校生の頃の恋は
こちらから🌸
