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第二十九話 辞めるの?|新しい春

第三章 ユウ先輩編
第二十九話 「辞めるの?」

サークルが終わったあと。

人が少なくなったタイミングで、
私はユウ先輩に声をかけた。

「先輩、ちょっといいですか?」

「ん?」

少し緊張していた。

告白するわけじゃない。
今日はただ、
伝えるだけ。

そう言い聞かせた。

「私、サークル……
辞めようと思ってて」

ユウ先輩が、
少し驚いたように私を見る。

「え、辞めるの?」

「はい」

「なんで?」

思っていたよりすぐに聞き返されて、
少し戸惑った。

「帰りが遅くなること多いし、
ユリとナナも辞めようかなって」

「そっか……」

ユウ先輩は、
考えるように前を見た。

「まあ、リオたち遠いもんな」

「そうなんです」

「帰るの大変だよね」

いつもの、
何でもない会話。

なのに。

この人と、
こうやって話すことも
もうなくなるのかな。

そう思ったら、
急に胸が苦しくなった。


沈黙が続いたあと、
ユウ先輩がぽつりと言った。

「じゃあ、
あんまり会わなくなるかもね」

「……そうですね」

ユウ先輩は、
すぐには何も言わなかった。

ほんの少し視線を落として、
何かを考えるように黙っている。

その沈黙に、
少しだけ期待してしまった。

辞めるって聞いて、
少しは寂しいと思ってくれたのかな?

そんなことを聞けるはずもなくて、
私はただ、
先輩の次の言葉を待った。


「いつ辞めるの?」

「もう少ししたら」

「そっか」

ユウ先輩は、
いつも通りの顔で笑った。

「まあ、
辞めても見かけたら声かけるよ」

「ありがとうございます」

「そん時は無視すんなよ」

そう言って笑うから、
私もつられて笑った。

でも。

それだけじゃ、
足りなかった。

見かけたら、
声をかける。

それだけの関係になってしまう前に、
ちゃんと伝えたい。

今度こそ、
何も言えないまま終わりたくない。

次に二人になれたら。

ユウ先輩に、
好きだと伝えよう。


第三十話(最終話)へ続く



私の高校生の頃の恋は
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