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【シロクマ文芸部】水たまり|エッセイ
タイトル:水たまりが教えてくれたこと
水たまり。
子どもの頃は、見つけると飛び込みたくなる存在だった。
長靴で思い切り踏めば、水しぶきが上がる。それだけで笑えた。
でも、大人になるとどうだろう。
服が汚れないように避ける。
靴が濡れないように遠回りする。
いつの間にか、水たまりは「邪魔なもの」になっていた。
ある雨上がり、何気なく足を止めた。
小さな水たまりに、青空が映っていた。
雲が流れ、街路樹が揺れ、まるでそこだけにもう一つの世界があるようだった。
普段なら見過ごしていた景色。
急いでいたら気づかなかった景色。
人生も少し似ている気がする。
思い通りにいかない日や、遠回りしなければならない出来事は、水たまりのようなものかもしれない。
できれば避けたい。
早く通り過ぎたい。
それでも、立ち止まった人だけが見つけられる景色がある。
だから最近は、水たまりを見つけると少しだけ足を止める。
濡れない距離から、空をのぞき込む。
そこには今日も、小さな世界が静かに広がっている。
案外、幸せは空の上ではなく、足元に映っているのかもしれない。
了

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