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bluewaters
【せりふ三題噺】調べないほうがいいよ|合皮.シーグラス.将棋|ショートショート
タイトル:シーグラス盤の王様
海辺の森には、地図に載らないキャンプ場があった。
そこでは満月の夜だけ、波に磨かれたシーグラスが将棋の駒へ姿を変えるという。
ある日、古びた合皮のリュックを背負った少年は、その噂を確かめるため一人でアウトドアへ出かけた。
浜辺には、緑や青のシーグラスが星のように散らばっている。
その中央には、不思議な将棋盤が置かれていた。
盤面は白い砂。
駒は光るシーグラス。
少年が一枚手に取ろうとすると、背後から白いキツネが現れた。
「調べないほうがいいよ」
キツネは静かに言った。
「どうして?」
「この盤は、勝負の結果ではなく、心を映す盤だから。」
それでも少年は駒を並べ始める。
一手指すたびに、森の木々が並び替わり、海岸線がゆっくりと形を変えていく。
攻める気持ちが強ければ山道が険しくなり、誰かを信じる気持ちが芽生えると、新しい橋が現れた。
最後の一手を置いた瞬間、王様の駒は一羽のカモメとなって空へ飛び立つ。
盤も、駒も、砂浜へ溶けるように消えてしまった。
キツネは微笑む。
「この世界はね、調べることで見えるものと、歩いた人だけに見えるものがある。」
少年は空になった将棋盤を背に、朝日に染まる海を歩き出した。
合皮のリュックの中では、小さなシーグラスが一粒だけ、旅の続きを約束するように淡く輝いていた。
了

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