【アマノ文筆クラブ】魔女刈り|エッセイ
タイトル:魔女を刈る
「魔女刈り」という言葉を見た。
一瞬、何の違和感もなく読んでいた。
でも、しばらくしてから、ふと手が止まった。
「……あれ?」
正しくは「魔女狩り」だ。
「狩る」と「刈る」。
たった一文字違うだけなのに、意味がまるで違う。
魔女を狩る。
魔女を刈る。
後者になると、まるで草を刈るように、人を切り取ってしまうような感じがした。
そして、なぜか私は、その違和感が他人事に思えなかった。
私は昔から、人の言葉や表情を気にしすぎるところがある。
何気ない一言を何度も思い返したり、
「あの言い方は、どういう意味だったんだろう」
と考え続けたりする。
自分では気にしないようにしているつもりでも、心のどこかに引っかかっている。
だからこそ、人が簡単に誰かを決めつけてしまうことに、少し敏感なのかもしれない。
「あの人はこういう人」
「きっとこう考えている」
そんなふうに一度決めてしまうと、その人の別の一面が見えなくなる。
私自身も、誰かから決めつけられたように感じて、苦しくなったことがある。
そのときは、
「本当の私は、そんな人じゃないのに」
と思った。
でも、相手から見えている私も、きっとその人にとっては本当の私なのだろう。
そう考えると、人と人との間には、見えているものと見えていないものが、いつも同時に存在しているのだと思う。
だから、「魔女刈り」という誤字を見つけただけなのに、妙なことを考えてしまった。
人は、知らないものを怖がる。
分からないものを、分かりやすい形にしたくなる。
そして、ときには誰かを一言で分類してしまう。
でも、人間は草みたいに、不要だからと簡単に刈ってしまえるものではない。
その人には、その人にしか分からない過去がある。
言葉にできない気持ちもある。
外から見ただけでは分からない傷もある。
私も、全部を分かってもらうことはできない。
だからこそ、私も誰かを簡単に決めつけない人でいたい。
「魔女刈り」という間違った一文字から、そんなことを考えた。
誤字は、ときどき不思議なところへ連れていってくれる。
たった一文字の間違いが、
「人を簡単に刈らないで」
と、私に教えてくれた気がした。
了

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