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【風まかせ文芸部】秋の空|エッセイ


タイトル:秋の空より、冷蔵庫

秋の空は高い。

そんなことを思いながら、ベランダから空を眺めていた。

夏の空よりも青くて、雲は少しだけ薄い。

風も涼しい。

「秋が来たなあ」

そう呟いて、私は部屋に戻った。

そして、冷蔵庫を開けた。

……何もない。

正確には、何もないわけではない。

調味料。

水。

いつ買ったのか分からない小さな瓶。

そして、奥のほうに忘れられたチーズ。

「秋の味覚を楽しもう」

そう思っていたのに、冷蔵庫の中は季節感ゼロだった。

ふと、思った。

空にはちゃんと季節があるのに、私の冷蔵庫には季節がない。

それなら、少しだけ秋を連れてこよう。

スーパーへ行って、梨を買った。

ぶどうも買った。

さつまいもも買った。

ついでに、秋限定のお菓子まで買ってしまった。

帰宅して冷蔵庫を開ける。

さっきまで寂しかった場所が、急に秋になった。

梨を冷やす。

ぶどうを並べる。

チーズの隣に、秋のお菓子を置く。

「……いいじゃん」

なんだか嬉しくなった。

そこで気づいた。

私は、秋の空を見て秋を感じていたわけじゃなかったのかもしれない。

季節を感じるというのは、もっと小さなことなのだ。

冷蔵庫を開けたときに、梨がある。

お茶を淹れたときに、秋限定のお菓子がある。

夕方、少し涼しくなった窓を開ける。

そんな小さな変化が、「秋だな」と思わせてくれる。

ちなみに最近は、冷蔵庫の中を整理するために小さな保存容器を使うようになった。

透明な容器に果物や作り置きを入れておくと、中身が見えるから忘れにくい。

何より、冷蔵庫を開けたときにちょっと気分がいい。

こういう「暮らしの小さな改善」は、意外と侮れない。

高価なものを買わなくても、毎日使うものを少し変えるだけで、生活の景色が変わる。

そう考えると、秋の空も同じなのかもしれない。

いつもそこにある空を、少し立ち止まって見る。

それだけで、一日の景色が変わる。

夕方、もう一度ベランダに出た。

空は少しずつオレンジ色になっていた。

私は梨をひと切れ食べながら、空を見上げた。

「やっぱり、秋っていいな」

……でも、明日は冷蔵庫を掃除しよう。

秋の空より先に、賞味期限が迫っているものがある。🍐



*下記企画に参加させて頂きました*




前回の作品はこちらです↓↓↓


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