【3つのお題に空想のひらめきを第65回】虹を渡れないユニコーン.魔法使いになった野良猫.手紙を届けるフクロウ|ショートショート
タイトル:虹の向こうのマシュマロ
森のはずれに、虹を渡れないユニコーンがいた。
雨が上がるたび、空には大きな虹がかかる。
ユニコーンは虹の向こうにある世界を見てみたかった。
けれど、何度走っても虹に足をかけることができない。
「どうして僕だけ渡れないんだろう」
そんなユニコーンの前に、一匹の野良猫が現れた。
「虹を渡りたいの?」
「うん」
「じゃあ、魔法を使えばいいよ」
「魔法?」
「私、魔法使いになった野良猫なの」
猫が杖を振ると、空から一羽のフクロウが舞い降りてきた。
「手紙を届けに来ました」
フクロウは一通の手紙をユニコーンに渡した。
差出人は、虹の向こうに住む小さな女の子だった。
『虹を渡れないあなたへ。
虹の向こうには、ふわふわのマシュマロが実る木があります。
あなたにも食べてもらいたいです』
ユニコーンは目を輝かせた。
「マシュマロって、木になるの?」
「なるわけないでしょ」
魔法使いになった野良猫が呆れた。
それでもユニコーンは、虹の向こうへ行ってみたかった。
「どうしても行きたい!」
猫は少し考えてから、杖を振った。
すると虹がゆっくりと低くなった。
「これなら渡れるかも」
ユニコーンが一歩踏み出す。
ところが、やっぱり足が浮いてしまった。
「駄目だ……」
そのとき、手紙を届けるフクロウが叫んだ。
「マシュマロを持ってください!」
「え?」
フクロウが袋を落とした。
中には、白くて丸いマシュマロが入っていた。
ユニコーンが一つ口に入れる。
ふわり。
身体が軽くなった。
そして今度は、虹の上にちゃんと足がついた。
「渡れる!」
ユニコーンは虹の上を走った。
向こう側には、本当に女の子が待っていた。
二人は笑いながら、マシュマロを分け合った。
魔法使いの野良猫とフクロウも一緒に食べる。
「結局、虹を渡れた理由って何だったんだろう?」
ユニコーンが尋ねると、フクロウが答えた。
「誰かが、あなたを待っていたからですよ」
ユニコーンは虹を振り返った。
虹はもう、渡れない壁には見えなかった。
誰かのところへ会いに行くための、
七色の道に見えた。
おしまい

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