料理をすると、頭の中が少し静かになる
わたしは、料理が苦手です。
正確に言うと、今も得意ではありません。
献立を考えるのが苦手で、買い物に行くと、
何を買えばいいのか分からなくなります。
野菜売り場の前で立ち止まり、
キャベツを見つめながら、
キャベツもまさか自分がこんなに見つめられるとは
思っていなかっただろうな、と思うことがあります。
料理上手な人は、冷蔵庫を開けると、
そこにあるものでささっと作るとよく聞きますが。
私は冷蔵庫を開けると、そこにあるものを確認して、静かに閉めます。
見なかったことにするわけです。
頭の中が忙しい日
普通に生活しているだけなのに、頭の中が忙しい日がありますよね
仕事のこと。
お金のこと。
これからのこと。
人間関係のこと。
あのとき、ああ言えばよかったかな、と過去のことを思い出したり、
まだ起きてもいないことを心配したりします。
ひとつ考え始めると、別のことが出てきます。
それを考えているうちに、また別のことが気になってくる。
頭の中で、会議が開かれているような状態です。
しかも、議長がいません。
誰も話をまとめてくれないので、
いろいろな考えが好きなように発言しています。
静かにしてほしいと思うのですが、そう簡単には静かになってくれません。

そんな日に、料理をする
ある日、そんな状態で台所に立ちました。
特別な料理は作れないので
冷蔵庫にあったものを出して、野菜を切って、鍋に入れる。
ただ、それだけ。
包丁を持つと、少しだけ意識が手元に戻ってきます。
野菜を切る音が
トントン、とします。
その間、頭の中の会議は、いつの間にか静かになっていました
料理をしている間だけ、考えなくていい
あれって思いました。
頭の中が無の世界。。
料理をしている間だけは、余計なことを考えずにいられる
これは、私にとって新たな発見でした。
( このときは、ナスの煮びたしとカボチャのサラダ作りました。)

ご飯を作って、お腹を満たす
温かいものを食べると、体が少し落ち着きます。
お腹が空いていると、考えごとも大きくなりやすい気がします。
小さな心配が、立派な心配に育ってしまう。
だから、まず食べる。
問題は解決していなくても、今日のご飯を食べる。
温かいものをお腹に入れる。
それだけで、少しだけ現実に戻ってこられることがあります。
「明日のことは、明日考えればいい」
そう思えたらいいのですが、私は明日のことを今日考えます。
明後日のことまで考えることもあります。
先のことを考えるのが好きなのか、心配するのが好きなのか、
自分でもよく分かりません。
無になれることは、特別じゃなくていい
以前は、気持ちを整えるためには、何か特別なことをしなければいけないと思っていました。
趣味を見つける。
運動をする。
旅行に行く。
新しいことを始める。
もちろん、それができたら素敵です。
でも、疲れているときは、
そのための準備をすることさえ難しい日があります。
そんなときは、台所に立つ。
簡単なものを作る。
買ってきたものを温めるだけでもいい。
お味噌汁だけでもいい。
お惣菜をお皿に移すだけでも、食事にはなります。
料理をしたというより、食べられる状態にした、くらいでも十分です。
大事なのは、立派なものを作ることではなく、頭の中のぐるぐるから、
少しだけ離れることなのかもしれません。
大切な人と食べること
自分で作るご飯もいいけれど、誰かと一緒に食べるご飯もいい。
「これ、おいしいね」と言うだけで、
少し気持ちがほどけることがあります。
料理をすることも、食べることも、ひとりで頑張るためだけのものではないのかもしれません。
自分を落ち着かせるために作る日があってもいい。
大切な人と楽しむために食べる日があってもいい。
疲れている日は、作らない日があってもいい。
自分の生活を大切にするというのは、毎日きちんとすることではなく、
その日の自分に必要なものを少し考えてあげることなのかもしれません。
今まで料理が苦手だった私が、今になって、
料理をすると無になれることを知りました。
もっと早く知っていればよかったと思う気持ちもあります。
でも、今気づいたなら、それでいいのだと思います。
人は、必要なときに必要なことに気づくのかもしれません。
料理が得意でなくてもいい。
毎日作れなくてもいい。
包丁を使わない日があってもいい。
それでも、ご飯を作って、食べる。
温かいものをお腹に入れる。
その時間だけ、考えることを休む。
それも、自分を大切にする方法の一つなのだと思いました。
今日も、頭の中で会議が始まりそうになったら、
台所に行ってみようと思います。
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