53歳で仕事を辞めるまで。「FIRE」に憧れた普通の会社員の5年間
退職後の生活について書く前に、そもそも「なぜ53歳で仕事を辞める決断をしたのか」
今回は、その背景を少しお話しします。
時計の針を少し戻します。
2021年2月。
当時の私は、「楽してお金持ちになりたい」と思って、ギャンブルや宝くじを買っているような人間でした。
特別な才能があるわけでもない。
だから、自分も周りの人たちと同じように、普通に定年まで働くんだろうな。
そんなふうに思っていました。
ただ、一方で、
「ギャンブルで稼げれば、仕事なんてしなくていいのにな」
そんな夢物語りを、けっこう真剣に思い描いていました。
そんなことを漠然と考えているだけで、具体的な行動は何ひとつ起こしていませんでした。
そんなあるとき、こんな言葉を耳にしました。
「運も必要だけど、1%くらいの努力は必要だよ。最低でもNISAやiDeCoを知る努力くらいはしないと」
「NISA……って、なに?」
恥ずかしながら、当時の私はそんな状態でした。
でも、その言葉にハッとさせられました。
「知らないままではダメなのかもしれない」
そう思った私は、すぐにNISAについて調べ始めました。
そしてYouTubeで投資やお金について情報を漁っているうちに、ある言葉に出会います。
「FIRE」
早期リタイア。
画面越しに見るFIRE生活は、当時の私にはとても眩しく見えました。
「いいなぁ……」
「いつか自分も、FIREしたい!」
そう思いました。
……とはいえ、現実はそう甘くありません。
すぐに仕事を辞められるはずもありません。
まずは手元の貯蓄を増やそう。
そう考えて、NISAだけでなく米国ETFなども買い始めました。
すると、これが思っていた以上に増えていきました。
もちろん、自分に投資の才能があったわけではありません。
たまたま投資を始めた時期が良かっただけです。
それでも、初めて経験する資産の増え方に、
「投資って、こんなに増えることがあるんだ」
と、少し驚きました。
そして、正直に言えば、ちょっと味をしめました(笑)。
それまで「お金を増やす」といえば、働くか、ギャンブルや宝くじくらいしか思いつかなかった私にとって、投資でお金が増えていくという経験は大きなものでした。
「もしかしたら、仕事を辞めた後も、資産を運用しながら生活できるんじゃないか」
そんな考えが、少しずつ現実味を帯びてきました。
お金について調べるようになると、それまで何となく働いていたことについても、少しずつ考えるようになりました。
「好きで続けられる仕事って、なんだろう?」
「このまま定年まで働くのかな?」
そんなことを考えながら過ごすうちに、
「早期退職したい」
という気持ちは、少しずつ大きくなっていきました。
そして、あるとき思いました。
「よし、退職しよう!」
ただ、そのためには一つ問題がありました。
仕事を辞めた後の収入です。
「働いているうちに、副収入の柱を作らなきゃ」
そう思って、仕事をしながらできることを探しました。
ブログ、YouTube、ネットを使った仕事……。
いろいろ考えてみました。
でも、結局、
「自分にできそうなもの」
そして、
「これなら無理なく続けられそうだ」
と思えるものが見つかりませんでした。
やってみても続かなそう。
そもそも、自分にできるのかも分からない。
そんなことを考えているうちに、時間だけが過ぎていきました。
結局、新しい収入源を作ることはできませんでした。
それでも、
「仕事は辞めたい」
という気持ちは消えませんでした。
そこで最後に私が選んだのは、
「これまで貯めた資産と、投資運用で乗り切る」
という、かなりストレートな方法でした。
もちろん、自分一人の判断で決めるわけにはいきません。
ここからは、妻との本気の話し合いです。
「本当にやっていけるの?」
心配する妻を相手に、これからの生活費や資金計画を何度も考え、必死に説明しました。
「これだけの資産がある」
「年金はこうなる」
「投資についてはこう考えている」
自分なりに計算しながら、何度も話しました。
それでも、妻は当然ながら不安です。
53歳で仕事を辞めるというのは、妻にとっても簡単に「いいよ」と言える話ではありません。
何度も話し合った末、
最後は、妻が渋々納得してくれました。
「本当に大丈夫なのかな……」
そんな不安を残したままの了承だったと思います。
それでも、妻が認めてくれたことで、ようやく決心がつきました。
こうして私は、53歳で仕事を辞めることになりました。
FIREという言葉に憧れたのが、2021年。
実際に仕事を辞めたのが、2026年。
約5年。
最初から計画通りだったわけではありません。
副収入も作れませんでした。
投資だって、最初からうまくできたわけではありません。
たまたま始めた時期が良くて、思った以上に資産が増えた。
その経験に背中を押された部分もあります。
それでも、少しずつ「仕事を辞める」という現実に近づいていきました。
そして今、私は本当に仕事をしていません。
53歳で仕事を辞めた生活が、始まっています。
では、実際に仕事を辞めてみて、どうだったのか。
次は、退職したその後の生活について書いてみたいと思います。
