夕暮れの散歩で気づいた。AIは増やすものじゃなく、育てるものなのかもしれない。
最近、毎日続けていることがあります。
夕方になると、一時間ほど近所の田園地帯を歩くことです。
健康のためでもありますが、それ以上に、自分の頭の中を整理する時間になっています。
ポケットにはiPhone。耳にはイヤホン。
音楽を流す日もあれば、YouTubeを音声だけで聞きながら歩く日もあります。画面を見るわけではありません。ただ歩きながら最近のJ-POPで人気の曲集や、都市伝説動画やAI関連動画の演者の話を聞いているだけです。

ところが不思議なもので、そういう時間ほど、ふとアイデアが浮かびます。
「あ、これ面白いかもしれない。」
そう思ったら立ち止まり、メモ帳を開いて音声入力したり、そのままChatGPTへ話しかけたりして記録を残します。最近では、この散歩が一日の反省会であり、翌日の作戦会議のような時間になってきました。
そんな散歩中によく聞くのが、AI関連の動画です。
最近は「Claude Codeを使わないと損ですよ」という話をよく耳にします。もちろん興味はあります。新しい道具を見るのは嫌いではありません。
でも、そのたびに思うのです。
『本当に今の自分に必要なんだろうか?』
私は今、ChatGPTとCodexを中心に作業を進めています。本を作ったり、記事を書いたり、市場調査をしたり、写真を整理したり。必要に応じてCanvaを使い、画像の修正で別のAIを少し借りることもあります。
けれど、今のところ大きく困ってはいません。
だから、「流行っているから」という理由だけで新しい道具を増やす気にはなれませんでした。若い頃なら、とりあえず触ってみようと思ったかもしれません。でも今は、増やすことより、今ある道具をちゃんと使いこなしたい。そんな気持ちのほうが強くなっています。
それでも、動画の中で一つだけ引っかかった言葉がありました。
「AIの分身を何人も動かして、同時に仕事を進められる。」
その瞬間、田んぼ道を歩きながら思いました。
「あれ……これってCodexでもできるんじゃない?」
家に帰るまで、そのことばかり考えていました。そして帰宅してすぐCodexに聞いてみると、答えはあっさり返ってきました。
「できます。」
だったら試してみよう。そう思いました。
せっかくなら、それぞれに役割を持たせることにしました。
中心で全体をまとめる「コア」。
調査を担当する「リサ」。
制作のたたき台を作る「プロ」。
矛盾や抜けを確認する「アド」。
別の見方や対案を出す「アルタ」。
名前を付けると、ただの機能ではなく、一緒に仕事をする相手のように感じるから不思議です。

実際に動かしてみると、予想以上でした。
リサが市場を調べ、プロが資料の形にし、アドが危ないところを確認し、アルタが「別の道もあるのでは」と視点を変えてくる。そして最後にコアが全体を整理する。
正直、一番追いついていなかったのは私の頭でした。
『ちょっと待って、みんな一度落ち着こう。(…心の声)』
そんな気分になるくらい、情報が次々に返ってきます。
でも、ただ増やしただけではありません。役割を決めたことで、AIたちの動き方が少し見えるようになりました。誰に何を頼むのか。どこで止めて、どこで自分が判断するのか。その線引きが、前よりはっきりしてきたのです。
今のところ、運用ルールはそれほど難しいものではありません。
まず、思いついたことをコアに渡す。次に、調べることはリサへ、形にすることはプロへ頼む。少し不安があるときはアドに確認してもらい、行き詰まったらアルタに別案を出してもらう。最後に、戻ってきた材料を見て、採用するかどうかを私が決める。
たったそれだけです。
けれど、この「たったそれだけ」が意外と大きいのです。頭の中でぐるぐるしていた考えが、役割ごとに分かれるだけで、少し扱いやすくなります。
最近は、AIチームが市場調査をしている間に、私はChatGPTと一緒にAmazon向けの本を作っています。以前なら順番にしか進められなかった仕事が、今では並行して動いています。

もちろん、最後に判断するのは私です。
AIは責任を取ってくれません。けれど、考える材料を集める速さは、人間だけでは到底かなわないところまで来ています。
最近思うのです。
AIを使うということは、新しいツールを増やすことではないのかもしれません。
今ある環境をどう組み合わせ、自分に合った形へ育てていくか。
そのほうが、ずっと大切なのではないでしょうか。
世の中では、新しいAIが毎週のように登場します。「これを使わないと遅れる」という言葉もよく聞きます。
でも私は、少し違う景色を見ています。
自分に合った道具を選び、少しずつ役割を与え、毎日の仕事の中で育てていく。その積み重ねの先に、自分だけの仕事のやり方ができていくのだと思います。
今日も夕方になったら、また田んぼ道を歩きます。
何も考えずに歩いているつもりでも、きっとまた何か思いつくはずです。
その小さなひらめきが、次の本になり、次の記事になり、また新しい挑戦につながっていく。
そんな毎日も、悪くないなと思っています。

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