ロマンディアの女王──ラルフ・エドワーズ・ミドリ
ロマンディアの女王:ラルフ・エドワーズ・ミドリについて、
その歩みと背景をまとめました。
ラルフ・エドワーズ・ミドリが
“王”という存在を意識したのは、
幼い頃のことだった。
彼女の世界の中心には、
常にひとりの男がいた。
祖父──大王(たいおう)様。
民から畏敬を集め、王宮の誰もが
その背中に従った人物である。
幼いミドリは、
祖父の歩く姿を追いかけるのが好きだった。
背筋はまっすぐで、声は低く、
決して怒鳴らない。
しかしその一言には、
誰も逆らえない重みがあった。
父を早くに亡くしたミドリにとって、
大王様は“家族”であり“師”であり
“王”そのものだった。
王宮の廊下を歩くとき、
祖父は必ず彼女の手を取り、
「王は強くある必要はない。
ただ、民の前で決して背を向けてはならぬ」
と静かに語った。
その言葉の意味は幼い彼女には難しかったが、
祖父の横顔の厳しさと優しさが、
何よりの教科書だった。
しかし、時は残酷だ。
大王様が老い、病に伏したとき、
王宮はまるで光を失ったように静まり返った。
ミドリは毎日のように祖父の寝室を訪れ、
弱々しい声で語られる
“帝王学”を必死に胸へ刻んだ。
「王は孤独だ。
だが、孤独を恐れてはならぬ。
孤独を抱えたまま歩ける者だけが、
国を導ける」
その言葉を最後に、
大王様は静かに息を引き取った。
祖父を失った悲しみが癒える間もなく、
ミドリは王冠を受け取ることになった。
まだ若く、心の準備などできていなかった。
だが、祖父の教えが彼女の背中を押した。
即位式の日、
大広間には大王様を知る者たちの
視線が集まった。
「大王様の孫娘は、どんな王になるのか」
その期待と不安が渦巻く中、
ミドリは震える手で王冠を受け取り、
祖父と同じように背筋を伸ばして言った。
「私は、この国を守ります。
祖父がそうしたように。」
その声は決して強くはなかったが、
確かに“王の声”だった。
──そして、あれから十年が経つ。
ミドリは今、王としての十年目を迎えていた。
大王様のような偉大さにはまだ遠い。
だが、民は彼女を信じていた。
彼女が“人の心を分かる王”であることを、
十年の歳月が証明していた。
ミドリは決して完璧ではない。
迷うこともあるし、悩む夜もある。
それでも、民の声に耳を傾け、
一つひとつの問題に誠実に向き合ってきた。
その姿勢が、民の支持を
静かに積み上げていった。
「女王は、我らの話を聞いてくださる」
「女王は、決して逃げない」
そんな声が、王都のあちこちで
囁かれるようになった。
彼女を支えたのは、家族だった。
寡黙な夫は、言葉少なに寄り添い、
「キミは間違っていない」
と静かに背中を押してくれた。
息子は炎を纏う
“インフェルノホース”と心を通わせ、
王家に新たな時代の兆しをもたらした。
娘は自由奔放で、
「お母さま、今日は笑って」
と無邪気に言っては、
女王の張り詰めた心をほぐしてくれた。
だが、世界は再び動き始めている。
大王様の時代には沈黙していた“古い力”が、
各地で微かに脈動を見せていた。
王宮の地下に眠る遺跡もまた、
祖父が語っていた
“世界の深層”と呼応するように、
淡い光を放ち始めていた。
ミドリはその変化を見逃さなかった。
玉座に座る彼女の瞳には、
大王様の教えと、
十年の歳月で培った
“自らの意志”が宿っていた。
ラルフ・エドワーズ・ミドリ。
彼女の物語は祖父の時代を継ぎ、
新たな時代を切り開くために続いていく。
<用語解説>
・カウントダウン
ミドリ女王の夫であり、
ロマンディア王家を支える穏やかな王配。
民からの信頼も厚く、
王家中枢の一人とされる。
・大王(たいおう)
ロマンディア建国の中心となった前王。
ミドリの祖父。
・王宮の帝王学
大王がミドリへ授けた“王としての哲学”。
彼女の判断基準の核となる教え。
──読んでくださった方へ──
インスタでは国やテーマごとにBGMを設定しています。その音楽を聴きながら物語に触れていただけたらとてもうれしいです。
