愛は盲目?|Love Is Blind: UK Season 3
どこにそんな時間があるの?と聞かれるくらい、寝る間も惜しんでハマってしまうのが恋リア、恋愛リアリティショー。これまでに覚えている限りで、テラハ(映画も観た笑)、バチェラー、バチェロレッテ、Cheat、The Ultimatum、Love Is Blind、The Later Daters、Age of Attraction、REA(L)OVE、脱出おひとり島、オフラインラブ、あいの里、ラブトランジット、ラブデッドライン…など、多くの恋リアを観てきたワイ(だいたい全シーズン観てる)。ここはNetflix感想文、ということで、もちろん、ネトフリ作品に焦点を当てて書いていきたい。
恋リアの何がいい?と尋ねられれば、いちばんには人間観察。華やかそうな演出の上で、ものすごく酷な実験が繰り広げられる。”仕掛けられること”に同意して彼らは、自分自身のすべてを差し出している。
というわけでホヤホヤのやつを書く!と意気込んで、この8月に配信された『Love Is Blind』(LIB)UK版シーズン3を拝観した。この番組の何がすごいかというと、ローカル版への展開が早い。2020年に始まったばかりで、十数カ国に”ポッド”を増殖させている(日本版もありマス)。
Love Is Blindってどんな番組?
① ポッドでのデート、からのいきなり婚約
この番組は文字通り、愛は盲目かどうかを試す実験。「ポッド」と呼ばれる個室に入って、壁越しに顔も知らない相手と何時間も話して、声や言葉だけでデートを重ねる試練(!笑)からスタートする。そして、相手と壁越しの会話を重ねるだけで求婚し、婚約することになって初めてお互いの顔を合わせる。
② 婚前旅行、まだちょっと夢の中
めでたく壁が取り払われ、ポッドから出たあとはまだ少し非日常が。結ばれた相手との夢のような婚前旅行(イビサ島とかに行く)。そこで初めて、相手に触れる。ポッドで2番手だった相手にそこで初めて会う機会もある。多少ぶつかる場面も出てくる。そういうことも含めて「自分が選んだ相手」の確認作業は続く。
③ 共同生活、日常への揺り戻し、そして祭壇へ
婚前旅行から戻ると2週間、現実に戻る。ここでやっとスマホを返却されて、番組が用意した場所での共同生活。友達や親に会ったり、リアルとのすり合わせがキツくなる。それを経て、お待ちかねの結婚式が待っている。見たこともない人と会話だけで恋に落ち、そしてその想いと共に、その世界の外側にある「結婚」という覚悟を持つことができるだろうか。
④ 実はこれがいちばんの楽しみ、再会編
LIBは最終話にReunion(結婚式から1年後に、婚約したカップルたちが集まって現状報告をする回)があるので、それも楽しみのひとつ。本当にうまくいってんの?えーやっぱそうなの?視聴者側の期待に応え、実験結果をより現実的なものにしてくれる回。
Love Is Blind: UK - Season 3
今回のLIBで私が注目したのは、いい具合にチャラい感じを放ちながら、アルパカのような面立ち、悪気がないのにガキ扱いされるJack。彼の「誤解を生んじゃう言動」は番組の中でも程よいスパイスとしてあちこちに散りばめられる。危なっかしい彼は、でも、ありったけの愛を与えるタイプ。
恋リアによく聞くセリフ(自分調べ)は、「ありのままの自分を愛してほしい」。Jackは、不器用にも愛を振り撒く。与えるからそれにちゃんと呼応する愛があるのよな、と思う。まず愛しなさい、だ。そしてそれもきっと、彼がたっぷりと愛されて生きてきたことでもあるなとは思う。メビウスの輪。
楽しみだったReunion(再会編)は、今回いい意味で予想を裏切られた。ネタバレしたくないので詳細は書かないけれど、夢見るっていいことじゃない?と思わせてくれたから。
ポッドでは相手を知る手段がほぼ会話だけに制限されるとはいえ、おそらく、声色、沈黙、会話のリズム、質問、誘導、など、限られた環境下に全集中する。人は想像の生き物。限られた情報から相手を想像し、その人との未来までを想像する。Love Is Blindは、その人間の性質を少し乱暴なくらいに増幅させる。なので、「質問」にも着目すると、一層この番組が面白くなる。
「どうしてこの実験に参加したの?」「失恋したことある?」「コンプレックスはある?」「一生食べ続けるとしたら、どんな食べ物がいい?」「あなたにとって理想の結婚生活ってどんな感じ?」「僕が君の近くに住んでたとしたらどんな週末を過ごす?」「子供は欲しい?」「異性に対して何を求めてる?」「オリンピックに出るならどの競技を選ぶ?」
何を尋ねるかには、意図がある。そしてお互いに、そこから引き出される『本音』を求めている。
学べること - Love yourself, then love someone.
内面は外面に現れる、と思う。顔立ちの美醜という話ではなくて、表情、視線、匂い、身振り、触れ方、人への接し方、その人との空気感。人間はそういう情報も含めて相手を知っていく。でもこの番組は、結婚する相手を見極める条件が「会話」だけ。ちょ待てよ、これって、アプリでメッセージのやり取りするのと何が違うの?とも思ったりする。
でも、はたと気付かされるのが、そもそも恋リアに出演しようと思うだけで出演者たちの意気込みは違う。だって全世界に放映されるんだもの。人生を変える賭けに出ている。本気だし、覚悟を持っている。だからおそらく出演者たちは、番組に出る!と決めてから相当準備している。そう、肝心なのは、その「準備」。だから質問されても皆、気持ちいいくらいエネルギーを持って真っ直ぐに回答している。
その準備とはまず、自分をハッピーにすることだ。そしてそのための信念を貫くこと。自分が求めるものがクリアになると、迷うことが少なくなると思う。その準備があった上で、運命だと思う人を見つけたら今度は、耳を傾けること、違いを理解すること。あとはそれを続けていく、そうやって乗り越えていく。
恋愛ってそもそも、相手について知っている事実だけでできているわけじゃない。想像も、期待も、「この人となら」という未来像も入っている。
ポッドで育まれたものが外の世界でどうなっていくのか。
“Still in the bubble”
ずっとあの泡の中にいるつもりで。
そうやって二人だけのファンタジーを大切にできるのだって、悪いことじゃない。
そして恋愛は、「する」より「していく」方がもっとずっと楽しいのかもしれない。
