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雨の日の靴は、玄関で反省している。- 週末の雨とタオル一枚 -

雨の日に帰ってきた靴は、玄関でちょっと反省しているように見える。

もちろん靴は悪くない。悪いのは、朝の私の判断である。天気予報を見たのに、たぶん平気だろうと思った。雲の色も見た。風の湿り気も分かった。それなのに、いちばん濡らしたくない靴を選んでしまった。

駅から家までの道で、雨は急に本気を出した。傘を差していても足元にはあまり効果がない。水たまりを避けたつもりで、別の浅い水たまりに入る。靴下の先が冷たくなった瞬間、もう今日は負けだと思った。

玄関で靴を脱ぐと、つま先の色が濃くなっていた。タオルを一枚出して、外側を押さえる。拭くというより、水に謝ってもらう感じに近い。靴の中に丸めた紙を入れようか迷ったけれど、そこまでの気力はなかった。

濡れた靴を前にすると、暮らしは急に現実的になる。カフェで飲んだラテの写真も、雨の街のきれいさも、全部いったん横に置かれる。問題は明日この靴が履けるのか。乾くのか。玄関の匂いは大丈夫なのか。

でも、こういう後始末は嫌いではない。予定外に濡れたものを拭く時間には、妙な落ち着きがある。外で乱れた一日を、家の入口で少しずつ戻していく。タオルに水が移って、靴が少し軽くなる。そのぶん、こちらの気持ちも軽くなる。

雨の休日は、うまく過ごそうとすると難しい。出かけるには面倒で、家にいるにはもったいない。けれど、濡れた靴を拭いていると、今日の正解はもうこれでいいような気がしてくる。無事に帰ってきた。タオルもあった。靴もたぶん明日には乾く。

玄関に新聞紙を敷いて、靴を少し斜めに置いた。きちんと並べるより、風が通りそうだった。靴ひもはほどいたまま。今日はもう、ちゃんとしなくていい。

乾かしているあいだ、玄関が少しだけ占領される。出入りするたびに靴と目が合う。早く乾いてください、と声をかけたくなる。用事を増やされた気もするのに、家に帰ってきた証拠がそこにあるのは悪くない。

部屋に入ると、足だけがまだ雨を覚えていた。靴下を替えて、温かいお茶を淹れる。窓の外では雨が続いている。さっきまで面倒だった音が、家の中から聞くと悪くない。

玄関の靴は、しばらく黙って乾いている。私も今日は、無理に何かを取り返さない。濡れたものを拭いて、乾くのを待つ。週末には、そういう過ごし方もある。

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