【最大10回】無料で専門家に相談できる制度、使ってますか
いつもは ClaudeCode やAIの話ばかり書いているのですが。
今回は、道具ではなく「制度」の話です。
先に結論だけ書いておきます。
条件に当てはまる会社なら、外部の専門家に相談する費用が、実質ゼロになります。 条件から外れても、1回あたり6,000円〜1万円程度です。
「そんな都合のいい話があるか」と思われるでしょうから、
どういう制度で、何が頼めて、何が頼めないのかまで、順に書きます。
(回数は年度内で最大10回。ただし予算の枠がありますので、そこも後述します)
補助金の申請をお手伝いした会社様から、しばらく経ってから、 ふとご相談をいただくことがあります。
「実は、補助金とは別で、経営のことでも聞きたいことがあって」
これは本当にうれしい瞬間です。 書類を作る人ではなく、相談していい相手として見ていただけたということですから。
そして、こういうときに本当によく聞かれる質問があります。
「顧問って、何をしてくれるんですか」
これは、いじわるな質問ではありません。
まっとうな質問です。
顧問契約は、買う側からするとかなり買いにくい商品です。
何が納品されるのか分かりにくい
月にどれくらい来てくれるのか分からない
効果が出るまでどのくらいかかるのか分からない
そして、毎月お金が出ていく
そのうえで、こう言われます。
「正直、あまり予算は割けないです」
これも、まったくその通りだと思います。
補助金の申請では役に立てたとしても、それは
「顧問料を毎月払う価値がある」の証明にはなっていません。
ここで無理に売り込むこともできるのですが、
私はそういうやり方が得意ではありません。
代わりにご案内しているのが、専門家派遣制度です。
専門家派遣制度とは、ざっくり言うと
専門家に払う謝金を、会社の代わりに公的機関が負担してくれる仕組みです。
会社が直接コンサルタントと契約するのではなく、
県や公的機関が「うちの登録専門家を、この会社に派遣します」という形をとる。
だから、会社側の持ち出しがほとんど、あるいはまったくなくなります。
名前は自治体によってさまざまです。
「専門家派遣事業」
「エキスパート派遣」
「エキスパートバンク」(商工会議所系)
呼び名は違っても、中身の発想は同じです。
愛知県の場合(2026年9月時点)
私の地元、愛知県の例で具体的に書きます。
窓口は 公益財団法人あいち産業振興機構 の
「経営・技術外部専門家派遣」という事業です。
通常の自己負担

年度内で、必要に応じて最大10回まで。
対象は、県内に派遣する事業所がある中小・小規模企業、中堅企業、創業予定者です。
1回あたり1万円で、外部の専門家に来てもらえる。
これだけでもかなり安いと思います。
さらに、いま「無料」になる会社があります
現在、こういう条件の事業者は自己負担ゼロで受けられます。

ポイントは2つあります。
ひとつは「直接・間接」と書かれていること。
アメリカに直接輸出していなくても、
取引先が輸出企業で、そこからの受注が減っている、というケースも入り得ます。
もうひとつは「減少する見込み」も対象だということ。
もう落ちてしまってからでなくても、相談していい制度になっています。
条件に当てはまるかどうかの判断は窓口がしますので、
「うちは関係ないかな」と自分で決めてしまう前に、
一度電話してみるのが早いです。
※制度の中身は年度ごとに変わります。金額も条件も、
必ず公式サイトか窓口で最新をご確認ください。
「タダの専門家」で大丈夫なのか、という不安
正直、ここを気にされる方は多いです。
無料と聞くと、質を疑うのが経営者として普通の感覚だと思います。
ただ、この制度の「専門家」は、名乗れば誰でもなれるものではありません。
愛知県の場合、登録するには、
専門分野での実務経験とコンサルタント経験が、おおむね3年以上
中小企業に対して実践的な支援ができること
代表的な実績を3件、書面で提出すること
書類審査(必要に応じて面接)を通ること
が求められます。
つまり、「中小企業診断士の資格を持っている」だけでは登録できないということです。
資格ではなく、「何の専門家か」を実績で示せた人だけが載っている。
登録された専門家は、希望すれば分野や業界、保有資格で検索できるデータベースにも公開されます。
会社側から「この人に来てほしい」と指名することもできます。
外部専門家データベース:http://pro.aibsc.jp/
何を相談できるのか
ここは大事なところなので、公式に挙がっている例をそのまま並べます。

価格転嫁の進め方の相談もここに入ります。
(愛知県の関税対策の案内にも、価格転嫁対応が明記されています)

そして、ここは頼めません(重要)

主語は「企業の自助努力」です。専門家はそこに助言をする立場。
なので、次のものは対象外とはっきり書かれています。
「ホームページや就業規則の作成、補助金や借入金の申請書、各種計画書の直接の作成等、実務の代行」
「従業員を対象とした研修形式での講義」
「取引先等のあっせん」
つまり、こうです。
「タダで書類を作ってもらえる制度」ではありません。
自分たちで動く会社が、その動き方を相談する制度です。
ここを勘違いして申し込むと、双方が気まずくなります。
もうひとつ、見落としやすい条件
派遣申請者と診断助言に関する顧問契約等の長期継続の有償契約を結んでいる専門家は、派遣の対象となりません
すでに顧問契約している人を、この制度で呼ぶことはできません。
順番としては「制度で来てもらう」→(必要なら)「その後あらためて契約」であって、
その逆はできない、ということです。
申込みの流れ
愛知県の場合、こうなります。
まず窓口に電話して、自社が対象になるか相談する
課題を整理し、どんな専門家に来てほしいかを伝える
(データベースで自分で探して指名することもできます)要請書類を提出する
様式1、別紙1・2
無料枠(米国関税措置・中東情勢)で申し込む場合は、別紙3も
郵送またはメールで提出
機構が専門家を選定・調整し、日程を決める
派遣
問い合わせ先(あいち産業振興機構 経営アドバイスグループ)
電話:052-715-3070
メール:info-advice@aibsc.jp
正直に言っておきたい、この制度の限界
いいことばかり書くのはフェアではないので、
弱点も書いておきます。
1. 作業の代行はしてもらえません
上に書いたとおりです。
「相談」と「助言」の制度だと割り切ってください。
2. 回数と予算に上限があります
年度の後半になると、予算の枠が埋まっていることがあります。
「申請時期や予算の状況に応じて認められない場合があります」と明記されています。
使うつもりがあるなら、年度の前半のほうが確実です。
3. 相性はあります
人間同士なので、当然あります。
合わないと感じたら、遠慮なく窓口にそう伝えていいと思います。
そのための公的窓口です。
4. 国の無料派遣制度は、いま縮小しています
かつて国が運営していた「ミラサポ」から続く専門家派遣事業
(後継の「中小企業119」)は、2024年3月末で終了しています。
いま現実に使えるのは、都道府県の公社・振興機構、商工会議所・商工会、
よろず支援拠点といった、地域側の制度が中心です。
「昔あった無料の派遣制度、まだあるでしょ」と思っている方は、
一度、今の地元の制度を調べ直したほうがいいです。
まとめ ― 顧問の前に、一度会ってみればいい
顧問契約が重いのは、当たり前です。
会ったことのない人に、毎月お金を払い続ける判断を、
いきなりしろというほうが無理があります。
専門家派遣制度は、その手前にある段差を埋めてくれます。
会社にとっては、負担ほぼゼロで、審査を通った専門家に相談できる
しかも、合わなければそれで終わりにできる
私自身、この制度をご案内するとき、
「そのあと必ず顧問契約をしてください」とは申し上げていません。
まず一度、外の人間と話してみて、
それで役に立ちそうなら続ければいいし、
必要なさそうなら、それはそれで正しい判断だと思うからです。
お住まいの地域の公社・振興機構、あるいは商工会議所に電話して、
「専門家派遣の制度って、うちでも使えますか」
と聞いてみてください。
だいたい、5分で分かります。
この記事は2026年9月時点で公開情報を確認して書いています。
制度の内容・金額・対象条件・様式は年度ごとに変わりますので、
申込みの前に、必ず公式サイトまたは窓口でご確認ください。
特定の補助金の採択や、経営判断の結果を保証するものではありません。
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