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私がうなぎを食べない理由
私はうなぎを食べないことにしている。
もちろん大好物だ。あの香ばしいタレの匂い、ふっくらとした身の旨味と脂の乗った味わい。どれほど美味しいか、私はよく知っている。
それでも、自分からは食べない。理由はシンプルで、ニホンウナギが絶滅危惧種だからだ。
今やスーパーや専門店でいくらでも売られているが、養殖と言ってもマリアナ海溝の深海から渡ってきた天然の稚魚(シラスウナギ)を捕まえて育てているのが現状だ。国産だろうが外国産だろうが、人間が野生の資源を削り続けていることに変わりはない。
「自分が1人食べなくなったところで、何も変わらないかもしれない」
そう思うこともある。人に対して「食べるな」と強要するつもりも毛頭ない。伝統的な食文化を否定したいわけでもない。
けれど、絶滅の危機にあると知ってしまった以上、自分の「美味しいものを食べたい」という欲望のためだけに、その消費へ加担したくなかった。ただそれだけの、自分なりの小さなこだわりと矜持だ。
もちろん、これは「絶対のルール」ではない。もし誰かの贈り物や会席などで目の前に出されたら、その時は喜んでいただく。もう調理された命を無駄に捨ててしまうことこそ、一番の不敬だと思うからだ。
自分からは買いに行かない。けれど出された命には感謝して美味しく食べる。
美味いものを自ら断つのは少し寂しいけれど、今日も私はうなぎ屋の香ばしい煙を横目に、静かに通り過ぎる。
もちろん、完全養殖化に成功したり、資源量が回復したら、また舌鼓を打ちたい。
