指導とハラスメントの境界線で、管理職はいま何に悩んでいるのか~三匹の子ブタの話~
ここ数年、登壇依頼が特に多い研修のひとつが、
ハラスメント研修です。
「ハラスメント」という言葉を、知らない人はほとんどいない。
それほど、この言葉は世の中に浸透しました。
でも、私が会社員だった30年以上前には、ハラスメントという言葉はありませんでした。正確に言えば、
ハラスメントがなかったのではなく、
それを表す言葉がなかったのです。
嫌がらせ、いじめ、理不尽な指導。
今なら「それはアウトでしょう」と言われることも、当時は「仕事だから」「新人だから」「女性だから」
そんな空気の中で、受け止められていました。
もし、あの頃に「ハラスメント」という言葉があったら。
私はきっと、あれも、これも、それも――
たくさんの出来事を、その言葉のボックスに放り込んでいたと思います。
今は、そのボックスができた。
嫌だったこと、不快だったこと、納得できなかったことを、「これはハラスメントかもしれない」と
言語化できるようになった。
つまり、
ハラスメントが急に増えたのではなく、
見えるようになった、健在化した
そう考えることもできるのではないでしょうか。
「昔はもっと厳しかった」という声の裏側で
管理職向けのハラスメント研修をしていると、
よく耳にする言葉があります。
「昔はもっと厳しかった」
「自分もこうやって育てられた」
「今の若者は、根性がない」
気持ちは、分からなくもありません。
でも私は、こんな話をします。
ウォークマンやポケットベル(管理職はこの時代の方)。世の中に出たとき、画期的で、便利で、
「すごい時代になった」と感じたはずです。
では今、それを使っていますか?
使っていませんよね。
世の中は、確実に変わっています。
価値観も、仕事の進め方も。
昭和の価値観が悪いわけではありません。
私自身も、昭和の人間です。
ただ、そのまま令和を生きようとすると、
どこかでズレが生じてしまう。
それが、今、職場で起きていることなのだと思います。
三匹の小豚と、ある管理職のため息
最近、40代後半の管理職の方から、こんな話を聞きました。上層部に提出する資料を、部下に依頼したところ、
驚くほど短時間で仕上げてきた。
ただ、内容を見ると、どう見ても抜け漏れが多い。このまま出せば、上から指摘が入り、差し戻されるのは目に見えています。
そこで、その管理職は作り直しを指示しました。
すると部下は、こう言ったそうです。
「どうしてですか?どうして作り直さなければいけないんですか?」
その上司は、
「一発で通す」「質問が来ても答えられる」
そんな完成度を求めるタイプでした。
一方、部下は、
「まず出す。指摘されたら直す」
効率重視の考え方。
どちらも、間違っているわけではありません。
そこで上司は、
三匹の小豚の話をしたそうです。
「今の君の資料は、藁の家だ。狼が来たら、吹き飛ばされる」
すると部下は、こう返しました。
「どうして狼は藁から来るんですか?レンガの家を作ってる途中だったら、時間がかかって、その間に食べられちゃいますよ」
……なるほど。
そう来たか、と私は思いました。
現場だったら、
笑えない人も多いかもしれません。
さて、あなたならどう対応しますか?
よろしければ、皆さんの意見を聴かせてください。
