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令和スーパー物語〜誤発注のスター⭐️A子編〜第2話「魔法の指のキャラメル地獄、ハロウィンのイタズラ!?」

フレッシュマートはざまは、築30年以上のチェーンスーパー。

棚はガタピシ、冷蔵ケースはカラカラ鳴る。
「今日こそ壊れるかも」と、毎朝がスリル満点。

でも、毎日通ってくれる常連さんがいる私たちの店。
その裏側には、今日も静かなドタバタ劇があります。


■キャラメル、どこから来たの?

朝、バックルームに入った私は、足が止まった。。
積み上がる茶色いダンボール箱の群れ。そこには……

「キャラメル」と、堂々たるフォント。

「え、A子さん……」

A子、静かにうつむきながらつぶやく。
「……指が、滑ったの……たぶん…」

あっ副店長が登場。

「ええっ!!!また〜???💢」


■大した数の220袋

1ケース20袋入り。それを11ケース。


合計220袋。


220袋と聞くと、大した数ではないのでは?と思うかもしれない。


しかしここは地方の1日客数1000人足らずのスーパー。

この時このキャラメルのPI値は1日0.3個

PI値(Purchase Index)とは、「客数1,000人あたりに何個売れたか」を示す販売指標。

つまり、我が店で普通に220袋を売り切るには、2年かかるということになる。この数がいかに膨大かがお分かりいただけるのではないだろうか…

さすが誤発注シリーズのヒロイン、期待を裏切りらない。

「なんで11ケースなん?」と私が聞くと、
A子:「いや、1しか押してないよ〜!でも……たぶん…また…」
副店長:「何してるんだよおーーーー」
A子:「すいませんーーーーーーー💦」


■キャラメルという呪いの品

このキャラメル、どこからどう見ても「キャラメル」でしかない。
“汎用性”という言葉からは、最も遠いところにいる存在。

ハロウィンが近かったのが、せめてもの救い。
私たちは急遽、店頭のハロウィン特設コーナー中央にキャラメルタワーを設置。
POPも描いた。「Trick or キャラメル!!」のコピーに、
副店長はボソッと一言。

「……これ、なんかのトリック(いたずら)だよね?」


■香ばしさ、漂う戦場

キャラメルの「キャラメルとしか使えなさ」が心配されたこの事態。

「レシピだ!」

私はキャラメルの可能性を引き出すべく、レシピを探した。
見つけたのは「かんたんフロランタン」!

キャラメル+市販の安価なサブレorパイ+アーモンドで、香ばしくておしゃれな焼き菓子が作れる。


ハロウィン用
ハロウィンが過ぎてしまってから用

それからは、キャラメル実験室 in バックルーム。

何度もキャラメルをレンジでチンしては焦がし、

バックルームは香ばしいというより“こげた匂い”で充満。

ついに精肉担当から風を起こすべく、スイングドアをバッタンバッタンされ、無言の圧をかけられながらも完成させたレシピPOPと見本を展示した。

サブレやパイ、ウエハースの上に載せた見本
店頭の催事コーナーど真ん中にキャラメルを積んだ!レシピと見本も添えて。


■なぜか売れる。でもなぜか誰もわからない。

展示した見本のフロランタンに、お客さんが足を止める。

👵「これ、キャラメルでできてんの?あら、いい匂い〜」
👨‍🦳「わしの入れ歯でもいける?」
👩‍🦰「孫のハロウィン会に持ってくか〜」
👩‍🦳「昔これ、好きだったのよね。もう見かけないけど」
👧「なにこれ、かわいい!いっぱい入ってるから配れるね」

普段は見向きもされなかったキャラメルは

気づけば、じわじわ減っていく。

副店長、売上報告を見ながらつぶやく。

「……なんで売れてんの?」
「A子さん、なんかもってる?」

2年かかるはずのキャラメルはクリスマスも終わり、お正月が来るころには売り切ることができた。


■そして定番へ

そして今、あのキャラメルは再び定番の棚の下段に、落ち着いた顔で鎮座している。
まるで「最初から大人気でここにいましたけど?」みたいな顔で。

たくさんのお菓子に囲まれても、
人はなぜか、あの懐かしい味を手に取る。

キャラメルには、時を超える魅力があるのかもしれません。

副店長が、

「いやほんとさ、A子さんの誤発注、なんかもうマーケティングの一種なんじゃないの?」

A子「いや…指が…💦」

私たちの店には、バックルームのキャラメルの焦げくさい匂いと、
即席のPOPがあり、そして、なぜか売れる商品を大量発注する魔法の指を持つA子がいる。

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次回第3話▶︎
クリスマスも近い12月、届いたのは大量のみかんの缶詰!
A子の指が、またやらかした。
次回『みかんと誤発注と聖なる夜』お楽しみに!


✏️編集後記

記事内の言葉・POP・展開方法は、すべて実際の売場での出来事をもとにしています。
事実に基づいていますが、登場する人物・団体・店舗名などはすべてフィクションです。
実在のものとは一切関係ありません。

こんなスーパーの舞台裏が、どこかで誰かの参考になれば嬉しいです。
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