侍タイムスリッパーはなぜ日本アカデミー賞作品賞を受賞できたのか
作品賞発表はビックリした。声が出た。
それまでが予想通りに進んでたが故に余計。
何かとんでもないことが起きたのではないか?
疑問に思わなかった人のためにまずこれまでの日本アカデミー賞(日アカ)をざっくり解説する。
前提として、
日アカは本当に良い、優れたその年のナンバーワン映画を決めるものでは無く、ライト層に大手配給会社の作った自分たちの映画を宣伝するエンタメ
映画ファンならある程度理解しており、あまり異論は出ないと思うほどの通説だ。
投票者のたったの2割が映画人(監督や俳優などの映画そのものに携わる人)で8割が映画会社の社員。これは本家アカデミー賞(オスカー)の真逆である。
映画会社の社員は一応映画に関わってるは言え、普通のサラリーマンと何ら変わらない。
映画を作ったことはないだろうし、2024年観た映画の数で言えばただの大学生の自分より少ない人がたっくさんいると思う。
さらに、投票者4052人のうち1271人つまり30%が大手配給会社(東宝、松竹、東映、KADOKAWA)の社員。
そんなことから日アカでは他の公平で権威のある映画賞
キネマ旬報ベストテン
毎日映画コンクール
と比べ遥かにノミネートの多くを大手配給が占めている。
大体3倍程度多い。
今年も例に漏れずキネマ旬報ベストテンや毎日映画コンクールでも多くノミネートされ、2024年の日本映画の顔と言っても過言じゃない
『悪は存在しない(インテイク)』
『ナミビアの砂漠(ハピネットファントム)』
は大手配給会社では無いため完全に無視された。
ノミネートが発表された時から落胆し、
あぁ今年も大手配給会社の宣伝祭りかと作品賞発表までは思ってた。
(正直俳優面は割とまともな結果で全予想的中となった)
作品賞は大手配給かつ主演男優賞、助演女優賞、監督賞と受賞していた
『正体(松竹)』
がかなり優勢ではないかと予想していた。
衝撃が走った。
それこそ劇中で落ちた雷のような。
俺はタイムスリップしたのか?
未来の公平な日アカを見ているのか?
『侍タイムスリッパー(未来映画社)』
大手配給の対義語インディーズの中のインディーズ。
未来映画社なんてマジで聞いたことない。
いよいよ本題の
なぜ侍タイムスリッパーが授賞できたのか。
先に断っておくが映画ド素人大学生のお粗末な妄想考察です。
あまり本気にならないように。
1️⃣
侍タイムスリッパー、ナミビアの砂漠、悪は存在しない、はいずれも同じインディーズ映画ではあるのだが、
異なるのは
物語の分かりやすさ
ナミビアの砂漠と悪は存在しない、は
映画ファンでもかなり難解
対して侍タイムスリッパーは
分かりやすく、コメディもあり、幅広い世代に受け入れられやすい
上述したように日アカは映画ファンに向けたガチ映画賞では無く、
ライト層に向けたエンタメ。
その点難解な映画は避けられ、わかりやすい侍タイムスリッパーがここまで躍進したのではなかろうか。
2️⃣
そして次に
インディーズ過ぎた
無名の監督、俳優で最初は1館のみの上映でスタート(インディーズ映画を
幅広く受け入れ、数々の名監督を排出している池袋シネマ・ロサ)。
それが結果的には大手シネコンも含め全国350館以上で上映。
華々しいシンデレラストーリーだ。
ハッピーエンドのアノーラ。
言ってしまえば
作品そのもの評価というより、それまでの努力や情熱を評価し、
そして自己の利益より未来の映画界のため、映画界の微かな希望に大手配給会社の社員は投資
したのではないだろうか。
ここに関しては本家アカデミー賞と似ている気がする。
アノーラだってセックスワーカーという社会的マイノリティを扱った映画だからこそ選ばれたのだと私は思っている。
これは作品そのものではなく(勿論両作とも作品はある程度優れているのは前提)、この映画が授賞したら何か社会的に良いことが起こるのではないかという希望が込められてると思ってる。
大サブスク時代。
ショート、コスパ時代。
物価上昇時代。
明らかに映画界には逆向きの強風が吹き付ける日々。
そんな中、一人で何役もこなし、ミニシアター1館から全国350館以上で公開させた熱き情熱を持った映画人が現れた。
以上がお粗末な私の妄想考察。
侍タイムスリッパーが授賞して映画界が好転するかは分からない。
ただ末端の1映画ファン、映画館ファンとして
日本アカデミー賞で侍タイムスリッパーが作品賞を授賞したのは
何か特別な意義があったのはないだろうか。
いや、あったと言わせてくれ。
「エポックだ」
