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「生活習慣を見直しましょう」という意味があるようでない言葉について

「生活習慣を見直しましょう」

医師になってから何万回も言ってきた言葉。でも、言った直後に反省する。そんなことみんなわかってる。

病気を予防しましょう、生活を整えましょう、規則正しい生活をしましょう。そんなことみんなわかってる。どうしたらそれができるのかを、その人その人の生活に合わせて一緒に考えなければ意味がない。

そして、生活習慣を見直したその先に、どんな効果があるのかを知らない。なるべく数値で表現して、伝えたいと思う。

日本国内で心筋梗塞などの冠動脈疾患で亡くなる方の割合は、1980年から2012年の間に、61%も激減している。実数にすると、約7万5,700人もの方々の命が救われた計算だ。

最新の医療機器が開発されたから?素晴らしい新薬が登場したから?

もちろん、それもある。データを見ると、減少した理由の約半分(56%)は、そうした医療や治療の進歩によるものだ。

では、残りは?

命が救われた理由の35%(実に2万6,300人分)は、何か特別な治療を受けたからではなく、ひとりひとりの「上の血圧(収縮期血圧)が下がったこと」や「タバコを吸う人が減ったこと」など、日常の危険因子が改善したおかげだったと推計されている。

高度な手術や日々内服している薬と同じくらい、みんなが今日「お味噌汁の汁を少し残したこと」や「思い切って禁煙にをしたこと」が、確かな力となって命を救っている。あなたの日々の小さな選択には、医療の進歩に匹敵するほどの大きな力が秘められている。

最近の2001年から2019年までの国レベルのシミュレーション研究でも、この「小さな習慣の力」が証明されている。

寿命が伸びても、健康じゃなきゃ意味ないのでは?と思うこともあるだろう。もちろん、血圧を下げたり、喫煙を控えたりすることは、単に寿命を延ばすだけではない。「QALY(質調整生存年)」と呼ばれる、健康で質の高い豊かな時間を増やし、さらには将来かかるはずだった直接的・間接的な医療費の負担まで大きく減らしてくれることが分かっている。

動脈硬化は、自覚症状のないまま静かに進んでいく「サイレントキラー」と呼ばれている。痛くも痒くもないからこそ、私たちはつい、自分の血管をないがしろにしてしまう。

生活習慣を改善するというのは、「迫りくる病気を怖がって我慢する」ということではない。

今後も、何十年後も、おいしいご飯を笑って食べたり、自分の足で好きな場所へ出かけたりするための、未来の自分への温かい「贈り物」のようなもの。別の考え方だと、ひとつの「投資」のようなもの。私はそう捉えている。

1日でやめても、3日でやめても、途中でやめたっていい。気づいたらまたやり直せばいい。今日できるほんの小さなことから、一緒に、未来の自分を労わる習慣を始めてみよう。

参考
International Journal of Cardiology. 2019. Ogata S, Nishimura K, Guzman-Castillo M, et al.
The Lancet Regional Health. Western Pacific. 2025. Ogata S, Kiyoshige E, Yoshikawa Y, et al.

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