太平記 現代語訳 12-5 御所上空に怪鳥が出現、その鳴声は、「イツマデ、イツマデ」
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この現代語訳は、原文に忠実なものではありません。様々な脚色等が施されています。
太平記に記述されている事は、史実であるのかどうか、よく分かりません。太平記に書かれていることを、綿密な検証を経ることなく、史実であると考えるのは、危険な行為であろうと思われます。
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元弘4年(1334)1月に、年号が、「建武(けんむ)」に改められた。中国・後漢王朝を開いた光武帝(こうぶてい)が王莽(おうもう)を打倒して漢王朝を再興した時に用いた年号である、という佳き例に則り、その年号をそのまま使用した、と聞いている。
この年、国中に伝染病が蔓延、病死者の数は膨大。
のみならず、その秋の頃より、御所・紫宸殿(ししんでん)の上空に怪鳥が出没。その鳴き声はといえば、「イツマデ、イツマデ」と聞こえるのだ。雲に響き、眠りを覚ますその声を聞いた人々は、ことごとく忌み恐れる。
さっそく、諸卿会議が開かれた。
公卿A 昔、中国では、堯帝(ぎょうてい)の御世に、太陽が9個も空に現れるという大異変があったんやとか。そこで、羿(げい)という者が帝の命を受けて、9個のうちの8個を射落としたんやそうですわ。
公卿B そないな前例やったら、わが国にかて、ありまっせ。堀川上皇がまだ天皇位におられた時にな、化け物が御所に出没して、陛下を悩ましよったんですよ。ほいでな、源義家(みなもとのよしいえ)が陛下の命を承ってな、清涼殿(せいりょうでん)の入り口で、弓の弦音(つるおと)を3回響かして、その化け物を鎮めよったんですわ。
公卿C 近衛上皇が天皇位に御在位の時にも、ヌエという鳥が、雲の中を翔けまわって鳴きよりましたなぁ。その時は、源頼政(みなもとのよりまさ)が、陛下の命を受けて、それを射落としたんでした。
公卿D そういう前例から考えますとですなぁ、今回もまた、源家に所属の者に命じてね、あれを射落とさせるべきでしょう。誰か適当な人間、おりませんかいなぁ。
しかし、射損じたら生涯の恥になると思ってか、「自分がやってみましょう」と名乗り出る者が全くいない。
公卿A もぉ、しゃぁないなぁ。ほなら、院とか公卿の家とかに仕えとるもんの中に、彼ならば、というようなん、いませんかいなぁ?
公卿E 藤原道平殿が召し使ぉておられるもんの中にな、隠岐廣有(おきのひろあり)いうのがおりますでぇ。あの男やったら、うまいことやりますやろ。
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