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みんなちがって、みんないい

初めまして、こんにちは。
第9回noteを執筆させていただきます、元大阪大学吹奏楽団所属のアポロと申します。

「来世では違う楽器がやってみたい」
吹奏楽経験者なら一度は考えたことがあるのではないでしょうか?
実際、人生で2種類以上の楽器を演奏する機会は、それにかかる費用や練習量など様々な障壁に阻まれてしまいなかなか訪れないものです。
このnoteは、2つの楽器を兼任したことがある人間の、ちょっとした体験記です。
読みにくい文章かもしれませんが、お付き合いいただければ幸いです。


本業について:アポロとは何者か

ご存知ない方のために、そして後の話題を導入するにあたり、私の音楽経験をお話しします。

不純なきっかけ
私が吹奏楽の世界に足を踏み入れたのは小学4年生の頃でした。
幼い頃から音楽を聴いたり歌ったりするのが大好きだった私は、転入した学校にあった金管マーチングバンドに興味津々。
実をいうと希望していたのはガード(ポンポンやフラッグなど楽器演奏をしない演出チーム)での入団だったのですが、何があったか、オーディションで音すら出なかったコルネットパートへ配属されます。

今でこそこの出会いを喜べますが、想像だにしない配属を言い渡された当時の失望たるや…

やめてやろうか、しかし入団早々にやめるのも体面が悪いしな。
そんな感じで不本意ながら練習をはじめたわけですが、3年間、週3の練習に明け暮れ小学校を卒業するころには、配属が希望通りにいかなかったことなどきれいさっぱり忘れて演奏を楽しんでおりました。

小学生の私、なんとも単純ですね。
しかし楽器の音が鳴り、曲を吹ききることができるようになる楽しさや達成感は皆さんも知るところでしょう。

この時点で結構吹奏楽を好きになっていた私は、当然中学校でも吹奏楽部に入部。
今度は希望通りトランペットパートに配属され、敷かれたレールの上を走るように高校卒業までトランペットを続けてきました。

初めての脱線
高校卒業後もずっとトランペットを続けたいな、と思っていた矢先。私の吹奏楽人生に最大の転機が訪れます。
大学のサークル(某阪吹)でトランペットの入団希望が殺到し、他パートへの異動を打診されたのです。
私はマイ楽器も持っていなかったので違う楽器をやってみるのもアリか、とコンバートをあっさり決意。
長年連れ添った?トランペットを離れ、ホルンを吹くことになりました。

(注:当時の関係者の方もいらっしゃるので明言しておきますが、コンバートした後悔、未練等は一切ございません!)

ホルンで音出し。Runwayでは第2回演奏会にホルンで出演しました。

その後なんだかんだホルンでの演奏活動にいそしみ、トランペットに戻ってきて現在に至ります。


ここまで長々と私の楽器遍歴を記しましたが、ここからが本題です。

なんか、吹けないかも。

同じ金管だし、前にホルン貸してもらった時わりと吹けたから大丈夫だろう。
異動を決めた時の私はそう考えていました。
予想より厳しい現実が待っているとも知らずに。

ホルンを始めて直面した困難その1、楽器が違いすぎる。

そもそもですが、トランペットとホルンとではマウスピースの形から管体の構造、出せる音域までほとんどすべてが違います。
本格的にホルンの練習を始めてすぐ、実音でいうところのチューニングB♭の下のF以下がまともに吹けず焦りを覚えました。
トランペットと音域が重なるような高音はいとも簡単に吹けるのに、基礎の音階すらできないとは。なんということでしょう。

ここからはもうできないことオンパレードです。
「ホルンは右手をベルの中にそえて演奏するが、この時の右手の位置やベルのふさぎ具合で音程や響き方が変わる。」
なんだそれ、不安定すぎる。
「さらに右手をベルの奥まで突っ込んで鋭い音色を出すゲシュトップなる奏法があって…」
初めて聞いたんですけど?!

ラッパを9年吹いてきたなどという経歴はホルンの前ではまるで無意味で、初心者さながらに練習してギャップに体を慣らす日々でした。

ホルンを始めて直面した困難その2、役割が違いすぎる。

皆さんはトランペットと聞いてどのような事柄を連想しますか?
吹奏楽の花形、直線的でよく飛ぶ音色、メロディー吹きがち…といったところでしょうか。
これまで吹いてきた感覚を述べると、(高音直管楽器の性質上必然ですが、)やはりバンドの前線で主役を担うことが多いです。

では、ホルンと聞けば何を思い浮かべるでしょう。
裏打ち、やわらかなハーモニー、時々吠える音。
例外はあれど、主役というよりかは音楽に厚みを持たせるための伴奏を任されやすいです。
それもそのはず。
ホルンはあのカタツムリのような見た目の中に約3メートルの管を有していて、しかもぐねぐねと長い道のりを経由した音は後ろを向いたベルから出ていくのですから。
むしろ伴奏向きに設計されているとさえ言えます。

そこで皆さんに問題です。
長くラッパを吹いてきた人間が深く考えずにホルンを吹くと、どのような音が鳴るでしょうか?

―正解は、音色が固く、それでいて前に飛ばない音が鳴ります。

そんな音でホルンの役割である厚みのある伴奏を奏でるとどうなるか。
身の丈に合っていないちぐはぐな音は伴奏の和から1本浮き、足並みもそろわず悪目立ち。
控えめに言って大問題です。

そうはなるまいと思いつつ、これまでの感覚で息を吹き込むと音割れ必至、周囲に溶け込むように吹こうとすると情けない弱々しい音がポヘェとなる。
ホルンらしい音、ホルンに求められる音を追求するのにたくさんの時間を費やしてきましたが、ついぞその課題が解消することはなく…
楽器とは、ままならないものですね。だからこそ、沼なんですが。笑



脱線推奨(?)

楽器を変えて苦労したことは、ここまでに記した内容に収まりません。
しかし、複数の楽器に挑戦して多くの気づきがあったこともまた事実です。

話の本筋とずれますが最初に述べたいのは、ホルンの魅力。
トランペットのように1本まっすぐ通る音とは違い、層をなして徐々に場の色を塗り替えていくような音。
そのやわらかい音色は繊細な場面で脚光を浴び、壮大な場面では主役を輝かせる。
本業にホルン奏者を名乗りたくなるくらいにはホルンのことが好きになれました。このnoteで紹介できなかったのが惜しいです。
(どなたかホルンの魅力を徹底解剖する記事を出してください。切実に。)

そして、こちらが本当に言いたいこと。
演奏を俯瞰する目を持てたことです。
音楽を長くやっていけばそのうちに身に付く技術ですが、一つの楽器を極めてきた奏者と複数の楽器を経験した奏者とでは、その質が異なってくると私は考えています。

いろんな楽器に籍を置くと、抵抗なく耳に入ってくる音が増えます。
言い換えると、人より聞き慣れた音が多い分、少ない負担で多くの情報を得ることができるということです。
(合奏中にあそこのホルンめっちゃかっこいいよなーとか、トランペットのハイトーン大変そう、、とか気を散らすこともしばしばですが)
そうした感覚をつかむことで、以前より演奏中の連携がとりやすくなったように思います。

「脱線」という少々ネガティブな言葉を用いてしまいましたが、もし自分の吹いている楽器以外に挑戦できる機会があるなら、ふらりと立ち寄ってみるのはいかがでしょうか。

上手に吹けても、てんでダメでも、今知覚している世界が一段鮮明になるということはお約束できます。

第1回演奏会にて、翡翠のoffstage trumpet
久しぶりの「本業」だったので、吹くだけで精一杯です


脱線者の多いまち、大阪

余談ですが、大阪には複数の楽器を演奏している人が多いように感じます。
私の属するコミュニティがそういった挑戦へのハードルを下げているのがもしれませんが、周囲を見てみると

・金管(木管)楽器なら大体やったことがある
・大学ではそれまでと違う楽器を演奏している
・夏休みの間だけ本業じゃない楽器を借りて演奏している

なんて人がごろごろいます。
それこそ当団指揮者のミヤモトさんも高校まではバスクラリネット、大学ではトランペットを吹いていたそうですし。

そういう人に出会うと、自分も同じような人間なのにびっくりしてしまいます。
が、それと同時に自由で縛られていない感じがいいなとも思います。
一から楽器を始めることは自分の知らない世界に飛び込むようなものなので、相当勇気と根気が必要なはずですが、不思議と気後れをさせない、
そんな空気感が大阪には漂っているのでしょうか。



みんなちがって、みんないい

結局のところ何が言いたいかというと、音楽の味わい方は人それぞれでいい。

一つの楽器と向き合ってきた人、いいじゃない。
たくさんの楽器を吹ける人、いいじゃない。
今から音楽を始めようという人、いいじゃない。

楽器の音には奏者自身のこれまで歩んできた足跡が色濃く出ます。
前段では楽器それぞれに求められている音があるなんて書きましたが、その人にしか出せない音色というのもとても素敵だと思います。
いろんな音色が聴こえた方が、むしろ面白いというものです。

終わりに


Runwayには、本当にいろんな奏者がいます。
そして、それぞれがよい歌を奏でています。
十人十色の音色が織りなす、そこでしか聴くことのできない音楽。私はそれがとてつもなく楽しみです。
皆さんもぜひ、当日届けられる音に思いを馳せてみてください。

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〈演奏会情報〉

日時】2026年9月27日(日) 
    13:30開場 14:00開演
会場】池田市民文化会館 アゼリアホール

指揮者】宮本琉伊
吹奏楽】Runway Wind Orchestra

プログラム】
 C.T.スミス/華麗なる舞曲
 A.リード/アルメニアンダンス・パートⅠ
 K.デイ/ダンシングファイア
 M.ラヴェル arr.大橋晃一/ボレロ ほか

【SNS】

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