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⑦成功か失敗かで語れない理由

移住に関する情報には、よくこんな言葉が出てきます。

「移住してよかった」
「移住は失敗だった」

移住の話は、クリック数を上げるために関心を呼ぶタイトルがつけられることもあり、成功か失敗かという形で語られることがとても多いように感じます。

けれど、移住相談の現場でさまざまなケースを見てきて思うのは、移住は失敗か成功の二極で語れるものだけではないということです。

むしろ時間が経つほど、その評価は変わっていくことが多いのです。


なぜ人は移住を成功・失敗で考えてしまうのか

移住の情報は、どうしても極端な形で紹介されがちです。

理想的な田舎暮らし。
自然のリズムに寄り添った生活。
ゆっくりとした時間の流れ。
不便ではなく、丁寧に生きる暮らし。

一方で

田舎の人間関係の難しさ。
仕事や収入の現実。
生活の不便さからくる負担。

成功か失敗か。
そのどちらかで語られる傾向があります。
けれど実際の暮らしは、そんなに単純ではありません。
生活は一年で終わるものではなく、何年も続く時間の中で変化していきます。

そしてその変化の中で、移住の意味も少しずつ変わっていくことが多いと言っても過言ではありません。


ライフステージで移住の意味は変わる

移住を考えるとき、多くの人は「いま」の条件で判断します。

いまの仕事。
いまの体力。
いまの家族構成。

けれど、生活はその先も続きます。
30代での移住と、60代での移住では、前提がまったく違います。
同じ地域でも、感じ方は大きく変わります。

教育環境。
体力と健康。
医療環境。
仕事と暮らし。
将来のお金。
人との関わり。

10年経てば、生活の条件は自然に変わっていきます。
都会でも田舎でもそれは同じです。
地方移住では、数年暮らしたあとに別の地域へ移る人や、都市近郊へ戻る人もいます。

実際、自治体の移住支援データでも、地方へ移住したあと数年で再び別の地域へ移るケースが一定数あることが報告されています。

移住は「成功か失敗か」という単純な結果ではなく、ライフステージによって変化していく暮らし方とも言えます。


変化する暮らし

【実例1】30代で移住 → 40代で再移住

例えば、子育てをきっかけに山間地域へ移住されたご家族がいました。

自然の近くで子どもを育てたいという思いがあり、その地域でお子さんが中学を卒業するまでは特に困ったこともなく暮らされました。

子どもたちは自然の中でのびのびと成長し、その時間はとても大切なものだったと話されています。

けれど高校進学とともに生活に変化が必要になりました。
地元には高校が一つしかなく、お子さんの希望する高校が都市部にあり無事に合格したのです。

通学は現実的ではない距離でした。
そこで学校の近くに部屋を借り、お母様は月曜日から金曜日までお子さんと過ごし、週末に移住先へ戻る生活を選ばれました。

私とはその段階で「家を貸したい」という相談を受けたことがきっかけで関わることになりました。

お子さんの生活に合わせて、地元でのパートも辞めました。
生活も収入も変わります。
そして大学受験を前に、家族は都市近郊へ移る決断をされました。

「地域の人たちにも仲のいい人がたくさんいて、本当に悩みました。
でも家族の人生の段階が変わった結果なんです。
移住はとても良い経験でしたし、これからもご縁は続きます。」

その後も週末には地元の飲食店を手伝いに通われていました。
離れた場所から地域に関わりサポートする「関係人口」へとステージが変わりました。


移住は人生の途中の選択

【実例2】40代 都市生活 → 二拠点居住 → 完全移住→?

別の方のケースです。
コロナ禍をきっかけに、リモートワークが可能になり地方での暮らしへ大きく舵を切った方がいました。

ただ、いきなり完全移住は選びませんでした。
まずは都市に仕事の拠点を残したまま、週末だけ地方で過ごす二拠点生活から始めたのです。

以前から通っていた地域で中古別荘を探し、時間をかけてリフォームしました。豪雪地帯だったため、最初の年は寒さ対策と設備の修繕だけを優先しました。家は最初からすべて完成させませんでした。

生活しながら必要なものを少しずつ整えていったのです。
その後、移住先で独立して起業し、仕事が安定したころ都市の住まいを手放しました。

現在は完全移住という形で落ち着いています。
仕事の合間にゲレンデへ行き、仕事を通して大好きな地元へ納税で貢献、そして地域の人たちとの交流にも関わりながら充実した生活を送られています。それでも「一生いるかどうかはわからないけどね」と俯瞰しておられます。


移住してその土地で長く暮らす人もいます。
数年後に別の地域へ移る人もいます。
都市と地方を行き来する暮らしを選ぶ人もいます。
どれも、その人の人生の中では自然な選択です。


まとめ

移住は成功か失敗かという二つの言葉だけで語れるものではありません。
人生のある時期に、どんな暮らしを選ぶか。
その結果、数年後に暮らし方が変わることもあります。

それは失敗ではなく、
人生の段階が変わった結果なのかもしれません。

今から移住を検討する方も、すでに移住されている方も
成功か失敗か、という二極から一度、距離を置いてみませんか。


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