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⑥移住ブームは30年前にもあった

今回は少し視点を変えて、
「移住は昔からあるものなのか?」
というテーマで書いてみたいと思います。


移住という言葉は新しい

「移住」という言葉は、ここ15年ほどの間に急に広まった印象があります。

地方創生やテレワークといった流れの中で、
新しい生き方の選択として語られることも多くなりました。

けれど実は、都市を離れて別の地域で暮らすという動きは、
今に始まったものではありません。

時代ごとに名前を変えながら、これまでも繰り返し現れてきた暮らし方です。


1990年代の「セカンドライフ」

1990年代前後には

・セカンドライフ
・第二の余生

という言葉がよく使われていました。

当時の時代背景は、今とは少し違います。

日本は円高で経済的にも余裕があり、
バブル期の豊かな空気が社会に広がっていました。

高度成長期を猛烈に働いてきた世代を中心に、
「これからの人生をどう生きるか」という問いが
広く意識され始めた時代でもあったように思います。

その中で、

・別荘やセカンドハウス
・リゾートマンション
・ペンション経営

など、都市を離れて暮らすライフスタイルに感心が集まりました。
資産形成含めてリゾート地に土地を持つこと、暮らすことが
当時の一つのトレンドでもありました。

これまでとは違う生活を送りたい=生き方を幸せを模索する
今でいう「移住」の最初の波だったのかもしれません。


国が進めようとした海外移住計画

あまり知られていませんが、
当時は政府が海外移住を促す構想もありました。

1986年に提案された

シルバーコロンビア計画

というものです。
これは、主に定年退職後の日本人を対象に、
海外でゆとりのある老後生活を送ってもらおうという構想でした。

当時は円高で日本人の経済力も強く、
オーストラリアなどが移住先として注目されていました。
大手新聞の一面で取り上げられるほど、
当時は大きな話題にもなりました。

しかしこの計画は、

・海外から「老人輸出ではないか」という批判
・日本人コミュニティによる現地文化との摩擦への懸念
・その後のバブル崩壊

などの影響もあり、実際の政策としては広がらず、
構想段階で終わることになります。
今では少し信じられない話ですが、
国が海外移住を後押ししようとしていた時代もあったのです。

その後、時代の変化とともに

・長期海外ステイ
・海外生活
・インターネットの普及による国境を越えた働き方

などへと広がり、
現在ではノマドワーカーのような働き方にもつながっているように思います。


国内でも続いてきた「都市から離れる暮らし」

海外移住の構想が語られていた同じ時期、
国内でも都市を離れて自然の中で暮らしたいと考える人たちは一定数いました。

いま私たちが「移住」と呼んでいる暮らし方は、
こうした流れともつながっています。
たとえば当時のリゾートマンションは、
今でいう二拠点居住の原点のような存在だったのかもしれません。

時代背景や経済状況は今とは違いますが、

「自分らしい暮らしがしたい」
「ゆっくり暮らしたい」
「自分にとって幸せだと感じる生活を見つけたい」

という気持ちは、
昔も今も大きく変わっていないように思います。

バブル期には「24時間働けますか」という言葉が象徴するような働き方があり、現在はDX時代のスピードの中で忙しさがあります。

時代は違っても、
人が暮らし方を見直そうとする気持ちは、
案外変わらないのかもしれません。

ただ、今と当時で大きく違う背景もあります。

それは

・少子化
・高齢化
・人口減少
・過疎化

が進む中で、
地方の活性化のために国が予算を使い、
地方移住を政策として後押しする時代になっていることです。

そしてもうひとつ、大きな変化があります。
インターネットの普及によって、地方での暮らし方そのものが多様化していることです。

ITがなかった時代は、
田舎暮らし=実家を継ぐ/農業/観光業
といった限られた選択肢が主流でした。

しかし現在は、場所にとらわれない働き方が広がり、
どの世代にとっても生活の糧を得る手段が増えています。
その意味では、今は「移住しやすい時代」になったとも言えます。


私の家族の移住

私の両親も、まさに時代の流れの中で移住しました。
1990年代、早期退職をして
長野県のスキーリゾート近くの地域へ移住したのです。

いまの言葉で言えば、
FIRE型の移住
に近かったのかもしれません。

振り返ると、その地域には
当時なりのFIREのような形で移住してきた方が、
何人もいらっしゃいました。

両親に伴い、私自身もその地域で数年間、
村での暮らしを経験しました。
そして両親はその後、
13年ほど暮らしたあと都市近郊へ戻ることになります。


今も昔も変わらないこと

移住相談の現場で感じるのは、
今も昔も、実はあまり変わっていない
ということです。

移住してその土地で長く暮らす人もいます。
一方で、数年後に都市へ戻る人もいます。
別の地域へ移る人もいます。

これは特別なことではなく、
むしろ自然な流れのようにも感じます。
暮らしは、人生の時間とともに変化していくからです。


移住は特別な出来事ではない

移住は、人生の大きな決断だとよく言われます。
けれど長い時間の中で見ると、

暮らし方を少し変えてみる

という選択のひとつなのかもしれません。
そしてその選択は、時代が変わっても何度も現れてきました。
移住は、現代に突然生まれた新しい生き方ではなく、
社会の流れの中で繰り返されてきた暮らし方の一つ。

言い換えるなら、

ライフデザインの一つの形

なのだと思います。


次の記事では、

「住は成功か失敗かで語れるものなのか」

というテーマについて、
相談の現場で見てきた実例をもとに整理してみたいと思います。

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