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それはいつだって旅の始まり~宇野常寛『チーム・オルタナティブの冒険』を読んで~


「逆シャア友の会知ってるか?ガノタなら読むべきだぜ?」
これは広島のとある料理屋での友達のセリフである。伝説の同人誌を紹介し出した友達の話を、ふんふんと、日本酒を煽りながら聞き入っていた。野郎3人で美味い酒と飯を求めて広島旅行をしてた時のことで、酒の席でガンダムや富野由悠季の話が出るのはいつものことなのだが、その日は間違いなく、これからのガノタバナシを変えていく新しい風が吹いた。

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詳細は省くが、この本はもともと同人誌として発売され、プレミアがつくまでになっていたもので、それが商業誌として復刻したものだ。
喋ることが本当に多くなってしまうので、要点だけ言うと、もしあの時友達がコレを薦めてくれなかったら、僕は宇野常寛に興味を持つことはもしかしたらなかったのかもしれない。

「誰か逆シャア友の会について喋ってる人いないのかな。」と軽い気持ちで検索してみたら、宇野さんのnoteがヒットした。その時は「宇野さんって落合陽一の『デジタルネイチャー』出版に携わったplanetsの人か。」くらいの認識で、少し前に観た『100分de名著 100分de石ノ森章太郎』にて、仮面ライダー愛を熱く語っていた姿もよく覚えていた。

さて、そんな宇野さんのnotoを読んで、僕より上の世代の、逆シャアや富野由悠季に対しての熱量の高さに改めて驚かされた。宇野さん自身も、伝説の同人誌を先輩から紹介され、夢中で読み耽ったと記事内で書かれている。そして、逆シャア友の会を読むことが無ければ、『母性のディストピア』を書くこともできなかったとも語っている。

母性のディストピア https://amzn.asia/d/bWaQD05

宇野さんから見た富野由悠季や宮崎駿、押井守について論じた作品ということで、すぐに書店に駆け込んでハヤカワの棚にダッシュした。この時点で、「なんかめちゃくちゃ面白いことが書いてある気がする。」と胸を高鳴らせていたのだ。
『母性のディストピア』もとても面白い作品だったのだが、コレについてはまた別の機会に喋りたいと思う。
そして2023年の冬、宇野さんが自身初の小説を執筆したという。それが『チーム・オルタナティブの冒険』である。

チーム・オルタナティブの冒険 https://amzn.asia/d/2z3H0py

あらすじについては、おそらく多くの方が書いていると思うし、キャラ愛もたくさん語られているだろうと思う。僕にとって特に興味深かったのは、日常から非日常へ突入する際の滑らかさだ。



※ここから先は物語の内容に触れます。





主人公の理生は、チープな表現をするなら思春期の陰キャで、好きな仲間の溜まり場である部室に突然由紀子を含めた女子達が乱入してきて、どうにも仲間と女子達の打ち解けていく様子が面白くないというところがこの物語の序盤である。そして、ひょんな事からその女子達のうちの一人である井上のことが気になり始め、“お互い気になってる”くらいの関係になっていく。
ここまで読んで「まさか、このまま青春の1ページみたいな、一夏の淡い思い出を見させられて終わるんじゃなかろうな?」と疑いが湧いてくるのだが、その疑いは突然吹き飛び、中盤以降はジェットコースターのように物語のスピードが上がってくる。

いい意味で、コレは仮面ライダーオタクにしか書けないなというのが第一印象だった。
理生はチーム・オルタナティブの正体を突き止めようとしたところ、突然敵に襲われて、先に由紀子が変身して見せて、そして自分も適性を見出され変身する。僕が馴染み深い仮面ライダーは主に平成シリーズからで、好きなのはクウガから555、1番好きなのは龍騎である。
「事件を好奇心で追ってみたら、いつのまにか怪人やモンスターに襲われて、ヒロインに変身を促され、闘いに巻き込まれていく。」なんて展開は、「あっ、オレこれ知ってる!」と思わざるを得ない。

しかし、今回一連の展開を文章で読んでみて、展開に引っかかりや疑問を持たずにストーリーを受け入れられたことに気付かされた。
仮面ライダーシリーズでは馴染み深い展開なのかもしれないが、視聴者や読者を没入させる手法としての完成度が高いことは嫌でもわかるし、はたまた今回その手法を小説初執筆でありながら、文章としておこしてしまう宇野さんには脱帽である。

さて、ここまでツラツラと感想を述べてきたが、まとめると僕が言いたいのはこう言うことである。

「変身って、いいよね…」

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