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優しい子に育てたいなら、親がいちばん大切にしたいこと。

「人に優しくしなさい」

子どもには、何度も言ってきました。兄弟ゲンカをすれば、「そんな言い方されたら嫌だろ」と怒る。何かしてもらってもお礼を言わなければ、「ありがとうくらい言いなさい」と注意する。人の気持ちが分かる子になってほしい。本気でそう思っていました。

子どもには何度も「人に優しくしなさい」と言ってきた。


でも、そんなことを言っていた僕自身が、家ではどうだったか。正直、あまり褒められたものじゃなかったです。

「疲れてる」で終わらせていた

仕事から帰ると、「あ〜、疲れた」と言ってソファに座る。横を見ると、妻はまだバタバタ動いていて、子どもの話を聞いたり、洗濯物を片づけたり、夕飯の後片づけをしたりしていました。

見えてはいたけど「自分も疲れてる」で終わらせていた。


たぶん、当時の僕も見えてはいたんです。でも、「仕事してきたし」と思いながら、テレビをつけて、そのまま座り込んでいました。妻が食事を作っても、洗濯をしてくれても、それが生活の一部になっていたから、わざわざ感謝するようなことだとも思っていなかったんですよね。

子どもの学校のことを把握していても、「何かしてもらっている」という感覚はありませんでした。仕事をしているし、家に帰れば、たまには家事だってしていた。子どもと遊ぶことだってあった。だから、「俺だって、ちゃんとやってる」と、わりと本気で思っていました。

今こうして書くと、だいぶ都合がいいですよね。でも当時は、自分がそんなにおかしいとは思っていなかったんです。

子どもには言ってるくせに、妻にはできてない

子どもには、人に優しくなってほしかったし、相手の気持ちを考えて、ちゃんと感謝の気持ちも伝えてほしいと思っていました。だから、できていないと怒ったこともあります。

でも、一番身近な妻には、自分ができていませんでした。

「人に優しくしなさい」と言いながら、イライラしているときは妻に強い言い方をする。「ありがとうくらい言いなさい」と子どもに言いながら、妻が毎日やっていることは、かなり当たり前のように受け取っていました。

当時は、それを矛盾だとも思っていなかったんですよね。

子どもには親として教えることがある。夫婦には夫婦の事情がある。自分の中では、そんなふうに勝手に分けていたんだと思います。

でも、子どもからしたら、そんな事情は関係ない。

父親が「人に優しくしなさい」と言ったあと、母親にどんな態度を取っているのか。「ありがとうって言いなさい」と言った父親が、家でちゃんと「ありがとう」と言っているのか。

子どもは、そういうところを毎日見ていたんだと思います。

子どもは僕が言ったことより、
僕がどう接しているかを見ていた。


立派な父親でいたかった

ここまで考えると、少し嫌な答えにたどり着きます。

子どものために教えていたつもりでした。でも、子どもには「ちゃんとした父親」だと思われたかっただけなのかもしれません。子どもの前では優しい父親でいたい。でも、一番近くにいる妻には甘える。「家族なんだから、これくらい分かってくれるだろ」と、どこかで思っていました。

分かってくれると思っている相手ほど、雑に扱ってしまう。昔の自分を思い出すと、本当にそんなところがありました。

もちろん、今でもいつも妻に優しくできるわけではありません。疲れていれば口調が悪くなることもあるし、「なんで俺ばっかり」と思う日もあります。何十年も一緒にいれば、イライラしないなんて無理です。少なくとも、僕には無理です。笑

ただ、子どもに何かを言うとき、自分のことも少し見るようになりました。

「ありがとうって言いなさい」と言うなら、自分は今日、妻にありがとうと言っていただろうか。「人に優しくしなさい」と言うなら、一番近くにいる人に、自分はどんな態度を取っていただろうか。

子どもを変えようとしていた頃は、子どものことばかり見ていました。でも、子どもたちもそんな僕のことをずっと見ていたんです。

だから、子どもに何かを教える前に、自分の隣にいる人への態度を一度だけ見るようにしています。

一番近くにいる人に、今日はどう接していただろう。


「自分はちゃんとやってる」って思っている人ほど。……たぶん、一回見たほうがいいです。

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