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英語のときは、日本語の10倍話す

英会話のレッスンや仕事での英語のやり取りで、
「一言二言で会話が終わってしまい、沈黙が気まずい」
「相手ばかりが喋っていて、自分は相づちしか打てていない」
と悩んでいませんか?

「たくさん話すと相手の時間を奪って迷惑なのでは・・・」
「くだらないことなら話さない方がマシなのでは・・・」
と心配になる方もいるかもしれません。

しかし、英語圏のコミュニケーションにおいて「長く話す」ことは決して迷惑ではなく、むしろポジティブに受け取られます。
今回は、私自身が留学や英語コーチングの現場で気づいた、
「英語で長く話すメリット」
と、その背景にある文化や教育の違いについてお伝えします。

自分の存在感がない!

私が一番最初にこのテーマについて考えたのは留学中でした。
語学学校や大学院にはさまざまな国からの留学生がいましたが、みんなとにかく話が長いんです。
私が「1」喋ると、相手は「8」や「10」くらい返してくる。
聞き取ろうと必死になって、こちらが黙っていると、さらに「50」でも「100」でも話し続けます。

大学院にいたすごくシャイで寡黙なモンゴル人の男性ですら、話を振られると「6」くらいは喋るんですよね。
そんな中にいると、自分の存在感がすごく薄く思えました。

英語コーチになってからも同じような現象を目にしました。
クライアントさんたちに、オンライン英会話の準備として事前に英文を10文くらい作って、しっかり覚えて臨んでもらっていた時期がありました。
しかし、実際の会話になると、あんなに頑張って用意した10文なのに、わずか30秒ほどで自分のターンが終わってしまうんです。
すると先生がその10倍くらいコメントを返してくれる。

生徒さん側からすると、だんだん、
「先生がたくさん喋ってくれるから楽だな」
と感じて、
Really?
とか、
How about you?
のような短い質問を返すだけになり、さらに先生ばかり話すという悪循環。

私は留学前の学生さんや大人の方に、IELTS(アイエルツ)をよく教えます。
IELTSのスピーキング試験では、
「好きなモニュメントについて2分間話してください」
「急がなければならなかった出来事について2分間話してください」
といった課題が出て、ほとんどの方が、最初は、
「こんなテーマで2分も話すことないよ~」
と困ってしまいます。

この、
「英語の人は話が長い」
というテーマは、ずっと私の中にありました。

長く話すというのは、単にダラダラ喋ればいいという意味ではありません。
中身があるのが大前提です。

と、言いたいところですが、今は一周回って、ダラダラ喋れることにも大きな価値があると考えるようになりました。

そもそもどうして話が長いの?

こちらが「1」話すと、相手が「10」話す、という構図になりやすいのは、なぜなのでしょうか?

日本語は単一民族・単一言語の環境で育っているので、背景や使う表現の感覚が共通しています。
「やばい」という一言でも良い意味か悪い意味かニュアンスで伝わるように、「空気を読む」文化です。
会話では、相手の様子を見ながら、情報を少しずつ「小出し」にしていきます。
つまり、こちらが「1」話したら、相手が「1」話す様子を見ながらその話題を続けるか決めていきます。

一方、英語はさまざまなバックグラウンドを持つ人が話す多民族言語です。「空気を読む」ことが難しいため、自分の頭の中にある映像や状況を、相手の頭の中にもできるだけ詳細に、誤解なく再現してもらうために言葉を重ねます。
つまり情報を「一気出し」するのが英語のスタイル。
そのため、自分も「10」話す、それに対してのコメントも「10」という、1人1人のターンが長くなりやすいのです。

例えば「お元気ですか?」と聞かれたとき、日本語なら、
「ぼちぼちです」
というくらいに短く答えてから、相手次第でその話題を続けるか決めるのではないでしょうか。

英語では、
「前回会ったのは3ヶ月前ですね。あの時は部署移動したばかりでしたが、今は随分慣れましたよ。仕事が終わるのは遅くないので、最近はみんなで飲みに行ったりしています。・・・(まだまだ続く)」
というように、具体的な情報を、聞かれなくても(おそらく止められるまで)、たくさん共有する傾向があります。

孔子式とソクラテス式

これは私の個人的な思いつきなのですが、教育背景の違いも影響しているのではないかと思います。

東洋的な「孔子式」の教育では、先生を敬い、与えられた知識を静かに受け取る、トップダウンの授業が基本です。
ひとりの生徒が自分ばかり話すのもよくないし、議論の方向性を邪魔する発言が、「空気読めよ」と思われることもあるでしょう。

しかし西洋的な「ソクラテス式」の教育では、議論や積極的な発言こそが「場への貢献」と考えられています。
先生と生徒が並びの立ち位置で、あえての反論(devil's advocate)なども交えながら、議論を活性化させることが良いこととされているのです。
沈黙よりも、何であれ自分の考えを示すことに価値があります。

なので、英語のミーティングで、
「〇〇さんと同じです。(以下〇〇さんの意見の繰り返し)」
とか、
「先週は夏休みだったので、特に報告はありません。
ちなみに旅行先は・・・(以下、仕事関係ない話)」
とか、日本人が、
「それ言う必要ある?」
と感じる話もかなり出てきますが、よっぽどではない限り、嫌な顔はされていないはずです。

このままだと、「1:10」になる

つまり、私たち日本人が、
「1」→「1」→「1」→・・・
というやりとりをしている間、英語では、
「10」→「10」→「10」→・・・
というやりとりがなされているのだと思います。

お互いが自然体だと、いつまでたっても英会話が、
日本人「1」→外国人「10」→日本人「1」→外国人「10」・・・
という配分になって、日本人の存在感が薄れるのは当然だと思い至るようになりました。

自分のターンで今までの10倍話す

なので、私からのおすすめは、「英会話の練習」のゴールを、
「会話が何往復続いた」
とか、
「会話全体が何分続いた」
にしないことです。

いくら相槌がうまくなっても(むしろ相槌がうまくなるからこそ)、1:10の構造から抜けることはできません。
とにかく、フリートークを練習したかったら、
「自分の番が来たら、相手に口を挟ませずに今までの10倍話す」
というのを目標にしてみてください。
具体的には、
「ひとつの質問に対して、最低1分は答える練習」
が非常に効果的です。

まずは、
How are you?(元気ですか)
Where are you from?(ご出身は?)
What do you do?(お仕事は?)
というような基本的な質問に、長々答える練習をしてみてください。

そうは言っても何を長々と話せばいいの?
という方がほとんどだと思いますので、今後の記事では、具体的に話を膨らませるコツもお伝えします。

10:10のコミュニケーションができるようになると、自分自身がしっかりと相手の輪に入れてコミュニケーションを取れている実感が湧き、英会話が何倍も楽しくなりますよ。

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