一衣帯水のバレンタイン(約800字)|青ブラ文学部
七メートルの距離。
それは、二つの岸辺を隔てた、僕と彼女を分かつ、長く細い溝であった。
向こう側のホームの列の先頭に立つ彼女。その姿は、まるで、清流の傍に咲く鮮やかな花のように僕の瞳に映し出された。今日はついている。「バレンタインデー」も捨てたもんじゃない。
六時十二分の電車が来るまであと二分。そのわずかな時間を、僕は、彼女の姿を目に焼き付けることに費やした。
背の高さは僕より少し低い。多分、百六十五センチほどだろう。薄い茶色のコートは腰の位置で、きゅっとベルトが締められている。そのすらりとした姿は、彫刻のように洗練され、優美な曲線を描き出していた。コートの襟元からは、白いブラウスが覗き、清潔感と上品さを漂わせる。コートの下から伸びた細い脚はしなやかで美しい。黒い靴が、足元をより一層引き締めていた。
彼女の髪はきっちりとまとめられ、スッキリとした印象を与えている。長い髪が風になびく姿も美しいだろうが、彼女の凛とした佇まいには、この整えられた髪が、完全な調和を生み出していた。
そして眼鏡。それは、くたびれたサラリーマンがかけるような、細く安っぽい、くすんだ色の金属ではない。優しい厚みがあり、彼女の造形に合った、何とも言えない色合いと形。それは彼女をより知的で美しく品のある芸術作品へと昇華させていた。
今日も、彼女は、完璧だった。
たった数メートルの距離。しかし、僕はただ、見つめることしかできなかった。彼女の名前すら、まだ知らない。一衣帯水のようで、実際には、天涯地角のように、遠く、離れていた。
そうだ、バレンタインの後には、ホワイトデーがあるではないか。ずっと僕には関係ないと思っていた。だが、これは一年に一回の機会だ。ホワイトデーの日なら、突然チョコを渡してもおかしくない。
大学生の僕など、子ども同然だ。相手にされないだろう。それでも構わない。チョコでも何でもいい。とにかく、渡すのだ。
想いを込めて書いた手紙を忍ばせて。
(了)

大した落ちがなくてすみません。
最初に考えたのは、定年間近のおっさん⇒女子高生でした。
あぶないあぶない。
描写が苦手ですが、AIアシスタントに助けられました。
いいですね。これ。使いようです。
この投稿は、青ブラ文学部の企画「一衣帯水の地のバレンタイン」に参加させていただいたものです。
ありがとうございます🙇🏻
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