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野田幹子さん 「淡い季節のサングラス」に見る"ボーカルの声が一番輝く音程の見極め方" 【夏ソング②】

※全文無料です

皆さんこんにちは!音楽ライターのSHU-TO.です!

今回は
まだ本格的な解説ブログ等が世に放たれていない夏ソングを解説するシリーズ
の第2弾として、
野田幹子さんの「淡い季節のサングラス」を解説していきます!

野田幹子 「淡い季節のサングラス」
アルバム「Rose C'est La Vie」収録
作詞 : 戸沢暢美
作曲/編曲 : 崩場将夫

それでは早速本編に移ります!

■「淡い季節のサングラス」の凄さ

①トラックについて

この曲のトラックは、「淡い季節」の雰囲気を表現するために、主に2種類のシンセの音色を主軸に制作されています。

その2種類の音色とは、
・グロッケン
・ブラス

です。
グロッケンは季節の「煌めき」を、ブラスは季節の「暖かさ」を表現しているように感じます。

また、トラックの土台を支えているのは何と言ってもリズム隊です。

リズム隊が奏でるリフの基本リズムパターンは、それぞれ
・ベース…♪タッタッ タータッタッタ
・ドラム…♪タッタッ タカタカタン
となっており、いずれも8分音符、付点8分音符、16分音符を組み合わせたシンコペーションが効果的に用いられているリズムパターンです。

この曲におけるリズム隊の役割は基本的に「このリズムパターンを繰り返すこと」なので、楽曲が「リズムのノリが食い込んでいる&躍動感が強調されたサウンド」になるのですが、そこにアグレッシブなパーカッションが加わることによって、躍動感マシマシに仕上がっています。

このように、リズム隊+パーカッションの頑張りが、複雑な動きが多いシティポップ/フュージョン調のトラックを形成しています。夏や淡い季節を表現するにはシティポップ調の曲調がベストなのかもしれません。

また、この曲は和音楽器(コードを奏でる楽器)エレピを採用しており、シティポップ/フュージョン調の楽曲には珍しくギターの音が入っていません。そのため、サウンドにおけるファンキーな要素はパーカッションが担っていると言えます。

②コードについて

先述の通り、コードを奏でる楽器が鍵盤である以上、(ギターは構成音が6音までのコードしか鳴らせないですが)構成音が7音以上のコードが鳴らし放題なので、オシャレなコードを使い放題でもあります。

7割くらいのコードが7thコードな上に、要所要所で「コードとコードを繋ぐコード」としてディミニッシュコード(不協和音の強いコード)を用いたり、サスフォーコード(不思議でスッキリした響きのコード)を用いていたりします。

そもそも、キーがE♭という明るいキーなので、明るいキーでオシャレなコードを鳴らすと、かなり「淡い季節」の雰囲気が出ます。

③メロディについて

この曲の最大の凄さはサビのメロディにあります。

Aメロ〜Bメロまでは低めのメロディを歌うのですが、サビになると1音目からhiA#という高音が登場します。

しかも、サビの頭が「♪サン〜(hiA#)グラス〜(mid2D#)」という「下がり調子かつ結構離れた音程に移動するメロディ」であるため、野田さんは1音目のhiA#をフラット気味に歌唱しています。

高音をフラット気味に歌唱することで歌声に揺らぎが出るので、サウンドに浮遊感が生まれます。このテクニックは、m.c.A・TさんやDAPUMPの楽曲によく登場します。

↑この「You are making Love & Dream」という曲の「♪痛い〜」のところも同じテクニックが用いられています。

続く、「♪はずしたら〜」というロングトーンも凄まじいです。このロングトーンはサビ頭の「♪サン〜」と同じhiA#ですが、このロングトーンにおける野田さんの歌声は「伸び」「倍音」ともに隙のない仕上がりです。

恐らくは、作曲された崩場さんが野田さんの歌声を聴いて、
野田さんの歌声が一番輝く音程はhiA#のロングトーンだろう。
と考察し、このメロディを生み出したのだと考えられます。

ここまで比類なきクオリティのサビのメロディを作曲された崩場さんの手腕には圧倒されます…。


■作曲者と編曲者が同一人物であるからこその作り込み

「淡い季節のサングラス」の完成度が高い理由としては、作曲者と編曲者が同一人物であるため、その分作りこんでいるからであると考えられます。

崩場さんも
「浮遊感のある下がり調子メロディとシンコペーションを効果的に用いた躍動感のあるトラックを組み合わせたら、淡い季節の煌めきを表現出来るだろう」
と考えて、この曲を制作されたのだと思います。

今の音楽シーンはコライト制作というスタイルが一般化していることもあり、
「楽曲のクオリティのために編曲は編曲に強い音楽クリエイターに任せるべき!」
という考えもありますが、1人の音楽クリエイターの作り込みによって、こういった高い完成度の楽曲が生まれることもあるので、個人的には「1人の音楽クリエイターが作曲も編曲も兼ねる楽曲」も大好きです!


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