漫画『THE BAND』2巻に見つけた"ミケランジェロ"との共鳴
発売されたばかりの『THE BAND』第2巻。
その中で描かれた一つのシーンに、私は思わずページを閉じてニヤリとした。なぜなら、それがあまりにもミケランジェロの有名な言葉と共鳴していたからだ。
※以下、ネタバレを含みます。
「曲はもうできている」──THE BANDの言葉
第2巻のワンシーン。
噴水、街の鳩、制服姿の少女、そして走る少年。
そして主人公の友平は、清々しい笑顔でこういう。
もう曲はできてる…
どっかの世界に存在してて…
世に出ることを待ってる
それを空気中から取り出せれば…
なるべくそのままの姿で再現できれば……


この「曲はすでにある」という感覚。
ミュージシャン(というかまだ卵のような存在)の創作を描いた物語だからこそ響く一節だが、私はすぐにルネサンスの巨匠ミケランジェロの言葉を思い出した。
ミケランジェロの言葉とのシンクロ
ミケランジェロは、彫刻についてこう語ったと伝えられている。
「優れた彫刻は、すでに石の中にある。私はただ、それを取り出すだけだ。」
この思想は、ウォルター・ペイターの『ルネサンス』などでも引用されてきた有名なフレーズである。ミケランジェロ本人の著作物として彼の言葉が残っているわけではなく、また翻訳や伝聞によって少しずつ脚色されている言葉でもある。
ワークスアプリケーションズ創業者の牧野正幸氏の著書では以下のように書かれている。

ミケランジェロにとって創作とは、ゼロから何かを「作る」のではなく、すでにそこに存在しているものを「見つけて解放する」行為だった。
音楽も彫刻も「発掘」だ
『THE BAND』の主人公が語る「曲は空気中に存在していて、ただ取り出すだけ」という感覚は、まさにミケランジェロの創作哲学と同じ構造といえる。おそらくこれはハロルド作石氏によるミケランジェロのオマージュだろう。
THE BAND(友平):
•曲はもうできてる
•どこかに存在してる
•空気中から取り出す
ミケランジェロ:
•彫像はもうできてる
•石の中に存在してる
•石から取り出す
どちらも創作を「発掘」にたとえている。
創造ではなく発見、見出す作業。
この一致が示すもの
『THE BAND』のこの一節は、音楽をやっていない人にとっても、「創作とは何か?」という問いを突きつけてくれたように思う。(私は作曲をするが、さすがにこの境地に至ったことはない)
最後に
『THE BAND』第2巻のこの一節は、まだ発売されたばかりで、多くの人が「ミケランジェロとのつながり」に気づいていないかもしれない。
しかし、この共鳴は偶然ではなく、創作の本質に迫る必然といえるだろう。
そしてまだ読んだことのない人は、是非手にとって見てほしい。ページの向こう側に「まだ見ぬ曲」や「まだ掘り出されていない像」が見えてくるはずだ。

