映画感想文「ルックバック」原作の世界観を大切に、実写ならではの雄大な秋田の風景と演者のパワーに圧倒される力作
アニメ版の方が好きだ。
しかし実写版としてはこれ以上ないほど、かなりの良い出来だと思う。
アニメと異なる素晴らしい点は、まずなんと言っても演者の素晴らしさ、である。
子役のふたりともにアニメ版とのイメージ通り、特に藤野を演じた七瀬ふうり。常に自信家満々で京本を従えているが、実は虚勢を張っており一皮剥けば繊細で気にしいという藤野のキャラクターを、非常に的確に演じている。子役とは思えぬ完成度の高さであった。
また、京本を演じた岡田六花も初々しさと方言がイメージ通りで再現性の高さに感心した。
そして、大人になってからのふたりもイメージ通り。こちらも藤本を演じた出口夏希がめちゃくちゃ良かった。子役と似ており繋ぎがスムーズだし、キャラクターの再現度が素晴らしかった。
二つ目に、秋田県にかほ市の四季折々の風景の息を呑む美しさ。真冬に吹雪く雪景色、桜がはらはら散る春、蝉しぐれの夏、紅葉が美しい秋。しみじみと見惚れる素晴らしさであり、惚れ惚れと画面に引き込まれる力強さに満ちていた。今度、ここに聖地巡礼しようと思ってすぐにググったくらいである。
原作やアニメ版に敬意を払いながらも異なる演出も見受けられ新鮮であった。
しかし、本当に藤本タツキ氏の原作の完成度の高さが凄い。アニメも実写もこれだけの映画に仕上がる原作のポテンシャルの高さを改めて噛み締めた。
人生には煌めく瞬間がたくさんある。そして残念ながら、どん底もある。でも、どんなことあっても人は生き続ける。そんな覚悟を感じる本作にまたしても勇気つけられた。
