見出し画像

フレーズボトル・バイバイ|楽しかったよ、またね!

7月15日が終わってしまった! Sentimental Periodを終えてしまった!

あまりにも通常営業のライブだった、最後のドラムソロ以外は。選曲や展開など、終始「ライブ終盤」のような雰囲気はあったものの、あの怒濤のノンストップ感は3人の通常営業でしかない。ただ、強いて言えば「別れ」「終わり」を扱う曲が多かった気はしている(さすがに意図的だろう)けれど、それも別に湿っぽくセンチメンタルに演奏されたわけではなく、聴いているこっちが勝手な解釈を加えてしまっただけで。

というか、このバンドはずっと「生き続けること」を歌い続けてきたんだなと、この夜改めて思った。生きていくうえでは別れも終わりもつきものだから、必然的にそうしたテーマが含まれる曲も多いのかなって。

1曲目に演奏された「フレーズボトル・バイバイ」は、最新アルバム『Ninth Peel』の最後の曲。アップテンポで〈忘れられない今日になった!〉と告げる楽しい曲だと思っていたよ。

フレーズボトル・バイバイ

UNISON SQUARE GARDEN
作詞・作曲:田淵智也 編曲:UNISON SQUARE GARDEN

貴雄さんのパワフルなカウントと、陽気なイントロで始まるこの曲は、だけど紛れもなく「別れ」を描いた歌。

この曲もまた、「生き続けること」を歌っていると思う。いろんなものを蹴散らすくらいのテンポで、それこそ傍若無人に走っていくような曲。道中では見知らぬ誰かから謎の解釈を投げつけられたり、誰かと比較されて憤ったり、一期一会を繰り返したりしながら、軽やかに「今」を駆け抜けていく。この日聴いたからこそ、なんだかUNISON SQUARE GARDENの生き様そのものを表した曲のように感じた。

本当の僕らはどこにいるんでしょう
問いかけはそれっぽいけど お前誰だよ

フレーズボトル・バイバイ/UNISON SQUARE GARDEN

この日までの約80日、自分を含め、ファンは本当にあれこれ言いたい放題だった。「1人抜けてもユニゾンだと言えるのか」「活動休止なんて解釈違い」「いや、フロント2人がいればそれはユニゾンなんじゃないか」などなど。そりゃ各々、思うところはたくさんあったはずだ。だって、大好きなバンドなんだから。

だけど当たり前に、この「何をもってUNISON SQUARE GARDENなのか」という根源的な問いは、我々が結論を出すべきことではない。ステージの上と下、明確に線を引く彼らのスタイルに照らせば、私たちファンは(共犯関係とはいえ)外野でしかないんだから。三者三様のコメントを出して以降、一つも言い訳しなかった彼らの、一度きりの反論がこのフレーズだったのかも?なんて思ったりもする。

〈かくかくしかじ で地球が回れば〉〈悲喜悲喜こもご も大切だけど〉は、裏打ちのリズムまでひっくるめて、語感が大好きなフレーズ。予定調和な四字熟語をぶった切って、事件は起きるし、“今”は進んでいく。慣用句や熟語をぶった切る使い方はユニゾンの曲でよく見るけれど、この四字熟語の使い方はけっこう発明だと思う。22年(このアルバムが出た当時は19年か?)もやっていれば“ユニゾンらしさ”が確立してくる一方、まだ「こんな言葉と音の使い方があるんだ」と楽しませてくれるんだから、いつになってもファンをやめられないわけだよね。

そんじゃ決まり
Peeka-peekaboo, baby, peeka-peekaboo
誰かが用意した答えはくだらないのさ

フレーズボトル・バイバイ/UNISON SQUARE GARDEN

この〈Peeka-peekaboo〉の歌い方、気持ちよくて大好きだ。〈boo〉の抜け方は、ここ何年かの斎藤さんの歌でいちばん好きかも。めちゃくちゃ洒落ていて、それでいて気取っていなくて。

歌の話でいえばこの日、7月15日のライブは2時間MCもなく、テンポゆるめの曲も少なく、休憩らしい休憩ってほとんどなかったはず。いったいどんな強靭な喉なんだろうか。喉にかぎった話ではなく、3人それぞれのフィジカルが常識外れなのでは? ということに、715で久しぶりにユニゾンを観たという友人から指摘されて気づいた。我々、通常営業に慣れすぎている。

「フレーズボトル・バイバイ」って、本来は別に泣ける曲ではない。けれど、Sentimental Periodっていうライブの文脈のなかではどうしても“別れ”の曲だということが際立っていて……。カウントを含めて、もうこの3人の音を聴くことはないんだなと思ったら、寂しくてしかたがなかった。

続く「アナザーワールド」「オリオンをなぞる」も、文脈やら思い入れやらが詰まっているわけでしょう? なのに、なんかその次にいきなり「カオスが極まる」が叩きつけられたり、中盤では突如「WINDOW開ける」が挟まったりしたから、情緒が迷子になったわけで。挙げ句、「センチメンタルピリオド」の次がなぜか「徹頭徹尾夜な夜なドライブ」。なんなの、その「夜な夜な」の立ち位置? 涙が引っ込むってこういうことですよ、のお手本みたいな感情の変遷を辿らされた。ほんと、変なバンドなんだよな。でもって、私は彼らのそういうところがたまらなく好きなんだ。

貴雄さんのカウントから始まって、ドラムソロと貴雄さんのMCで終わる。そんなSentimental Periodは、確かに「バンドとしての一区切り」だったけれど、それより何より「貴雄さんの晴れ舞台」だったのだと解釈している。どうしたって寂しいし、清々しい顔でステージを去る貴雄さんを引き止めたい気持ちでいっぱいだったけれど、そんなライブを経て改めて「ああこの3人、ユニゾンを閉じる気はないんだな」と思った夜だった。「UNISON SQUARE GARDENでした、またね!」と宣言してくれた貴雄さんが、誰よりもバンドの存続を願っているんだなって。

……なんてそれっぽいことを言っていますが(笑)、本当のところは結局分からない。だけど、それが音楽やロックバンドを愛するってことだよね。「お前誰だよ?」と言われても、こんなふうにあれこれ思い巡らしながら音楽を聴き続ける、それが楽しくてしょうがないんだ。

本当に、すさまじい3人だったよ。終わってみれば、寂しさよりも「楽しかった、ありがとう」という感謝がずっと勝ってしまっている。だから、この曲の最後の歌詞が、そのまま終演後のわたしの気持ち。

またいつか会えたらいいから hello 今夜も楽しかったね
忘れられない今日になった!

フレーズボトル・バイバイ/UNISON SQUARE GARDEN

いいなと思ったら応援しよう!