ドイツサッカー少年記 特別編【その2】「東京世界陸上・スポーツ文化」
特別編【その2】「東京世界陸上2025・スポーツ文化」
前回は自分の陸上競技歴について書きましたが、今回は東京で絶賛開催中であった「世界陸上」を通して感じた、陸上競技やスポーツ文化について触れてみたいと思います。
ドイツでは今、陸上競技はマイナースポーツのような立ち位置ですが、歴史的に見るととても盛んでかつては強豪国でもありました。もちろん、世界で活躍する選手のレベルは今でも日本より高いですが、競技人口はかなり少ないのが現状です。ただしヨーロッパ全体では、陸上はいまだに人気スポーツ。以前ベルリンのオリンピックスタジアムで開催されたヨーロッパ選手権を観戦しましたが、その盛大さはまるで世界選手権やオリンピックのようでした。
ドイツ選手権も同様で、観戦文化そのものが日本とは大きく異なります。こんな雰囲気の中で競技できたら、選手たちにとって本当に楽しいだろうな、と感じます。
サッカーはもちろん、地元Kreisliga4部リーグのような小さな試合でも観客が集まり、盛り上がります。Herren(男子)の試合は毎週日曜日に各地で行われ、クラブのホーム試合なら気軽に観戦でき、売店で軽食を買って食べながら楽しむこともできます。観客の声援も活気があり、バスケット、ハンドボール、ホッケーなど他のスポーツでも同じ。プロでもアマチュアでも、選手も観客も心から楽しんでいるのが印象的です。スポーツが「楽しむもの」として根付いているのだと感じます。
今年の夏休みには、ドイツのNRWで「World University Games」が開催され、Bochumのスタジアムで陸上競技が行われました。そこには関東学生陸上競技連盟からの視察団の一員として大学時代の同期が来ており、せっかくの機会なので会って一緒に観戦しました。他にも当時の先輩後輩が日本代表選手のコーチとして来ていて、懐かしい再会の場となりました。
その同期に「視察を通して気づいたことは?」と尋ねると、
彼は「スタジアムの雰囲気がまったく違う。オリンピックでもないのにすごい歓声だね。日本の大会では観客が静かすぎるかも。」と答えていました。
確かに隣では次男と三男が立ち上がって跳ねたり大声で応援したりしていて、私は思わず「日本だったらお行儀悪いと思われちゃうね」と苦笑い。でも彼は「子どもたちが楽しんで応援するのは素晴らしいこと」と言ってくれました。日本人はスポーツ観戦でも少し真面目すぎるのかもしれません。
次男はスタンドからドイツ選手に「Drucke Daum!(がんばれ!)」と声をかけ、選手も手を挙げて応えてくれる場面もありました。日本代表選手団にも拙い日本語で話しかけて、バッジをいただいたり。サッカーが大好きな次男と三男ですが、どんなスポーツでも、どんな大会でも毎回楽しんで観戦してくれます。母親としては、自分の思春期時代に「スポーツ=つらいもの」と感じていたからこそ、彼らが「スポーツ=楽しいもの」と受け止めてくれているのが本当に嬉しいです。
そして先週までまさに開催中であった世界陸上。ドイツまで視察に来たあの同期の彼は、連日朝から晩まで競技場で活動していたようです。他の同期、先輩後輩たちもコーチや審判、スタッフとして大会を支えています。彼らのような裏方の頑張りが大会を盛り上げているのに、なかなかスポットが当たらないのが現実。でも、一人でも多くの観客が「また観たい」「自分もやってみたい」と思えるなら、それが何よりの成果だと思います。そして今回の東京世界陸上の会場は大盛り上がりだったようですね!(視察の思いが反映されたかな!?)
ちなみに2021年の東京オリンピックで、スウェーデンの棒高跳び選手デュプランティスを観て夢中になった次男は、庭でバドミントンのネットとほうきを使って“自己流棒高跳び”をして遊んでいました。小学校で使わなくなった体育館のマットももらってきて、見た目だけはそれっぽく。私も棒高跳びの経験はないのですが、陸上経験者として「なんちゃって指導」をして一緒に楽しみました。
このように、やったことのない競技でも観て感動して真似してみたり遊んでみたりする――そこからスポーツの面白さを知ることができます。そんなエンターテインメントを届けてくれる選手や大会関係者の方々に感謝しつつ、私も自分のできる範囲でスポーツを盛り上げていけたらと思います。
