ドイツサッカー少年記 ギムナジウム5年【その16】「来シーズンへの準備・移籍問題」
7)ギムナジウム5年 U12【その16】「来シーズンへの準備・移籍問題」
さて、これまでもこの年代の「移籍」については何度かテーマにしてきました。仲間の選手たちの移籍、一般的な移籍の過程、そして次男にも訪れた移籍のチャンスについてです。
今回のテーマも、また移籍についてです。実はここ1~2か月ほどの間に、大きな動きがありました。
以前書いたのは、ハノーファーの強豪クラブからスカウトされ、体験練習やテスト試合に参加したものの、残念ながらその時点では不合格となったという話でした。しかし、その後、次男自身がこれまでのプレイを振り返り、自分の課題を考えたり、さらに自分の強みを発揮できるよう精神的に強くなったりと、本人の中でも大きな変化がありました。
一方、現在所属しているクラブでも、来シーズンに向けていろいろな動きがありました。シーズン後半になると毎年のように、数名の選手の移籍や、「来シーズンのコーチは誰になるのか?」という問題が出てきます。
まず、現在のコーチの一人が4月に突然辞めてしまいました。
もう一人のサブコーチである若いコーチも、今シーズン限りでクラブを辞めることが決まっていました。大学進学に伴い、別のクラブへ移ることになったためです。選手たちからも慕われていたコーチだったので、彼が辞めるとわかると、選手や保護者の間では「来シーズンはいったいどうなるのだろう?」という声がもちろん出てきます。ところが5月に入ると、来シーズンの新しいコーチについて発表がありました。
現在、JSGとして編成されているチームの一つ下のカテゴリーであるU11(今シーズンはU12リーグでプレイしているチーム)のメインコーチ(Vコーチ)とサブコーチ(Mコーチ)2人が、そのまま来シーズンから次男のチームのコーチに就任することになったのです。
このコーチたちは、昨シーズンまで数年間、我がチームのライバルとして戦ってきたチームのコーチたちです。そのため、私たちも彼らコーチのことはよく知っています。また、現在のJSGのチームの半分ほどの選手たちは、昨シーズンまでこのコーチたちのもとでプレイしていました。
そのため、保護者としては特に問題もなく、「今年は来シーズンへの移行も比較的スムーズにいきそうだな」と思ったのです。
ところが、ここからまた問題が発生しました。
それは、新しいコーチたちが考えていた「来シーズンのチーム編成」です。
そもそも、現在の次男のチームは本来U12のカテゴリーですが、今シーズンは一つ上のU13リーグでプレイしていました。そして来シーズンは、本来のカテゴリーであるU13のリーグで、もう1年9人制でプレイすることになっています。
さらに、再来年のU14からは11人制になることを考慮し、今シーズンこのコーチたちが率いてきたU11の選手たちも合同で、新たなU13チームを編成するという計画だったのです。
つまり来シーズンは、すでにJSGとして2つのチームから編成されている現在のチームに、さらにU12(2015年生まれ)とU13(2014年生まれ)の選手を合わせた合同チームになるということです。
この話を聞いて、次男をはじめ、多くの2014年生まれの選手たちから否定的な声が聞かれるようになりました。
「2015年生まれの選手たちと一緒のチームでやりたくない」
というものです。
もちろん、2015年生まれの選手たちの中にもKreisauswahlでプレイしている選手は何人かいます。しかし、それでも1年の差は大きく、たまに合同で練習をしても、その違いは明らかでした。
次男たち2014年生まれの選手たちは、この1年間、一つ上のU13リーグでプレイし、その中で、これまで経験したことがないほどの敗戦も何度も経験しました。
だからこそ、「来シーズンこそは!」という気持ちが強くありました。
それなのに、2015年生まれの選手たちとの合同チームになれば、チーム全体の戦力は下がることになります。もちろん来シーズンは本来のカテゴリーであるU13リーグでプレイするとはいえ、チームの半分が一つ下のカテゴリーの選手となれば、U13リーグで1位を目指すことは、やはりかなり厳しくなります。それをわかっているからこそ、2014年生まれの選手たちは、このチーム編成に強く反対しました。
しかし、新しく就任するVコーチは、
「2014年生まれの選手たちは傲慢だ。2015年生まれの選手たちとまったく差はない」
という考えでした。
そして、彼らと話し合おうとするどころか、選手たちの意見にもほとんど耳を傾けませんでした。そんなコーチの態度に嫌気がさした選手たちは、次第に保護者へ訴えるようになりました。
私たちもVコーチに対して、もう一度チーム編成について話し合うようお願いしました。しかし、残念ながら保護者への対応も同じで、Vコーチの意思は変わりませんでした。
そうこうするうちに、次男をはじめ、数名の選手たちが移籍を考えるようになったのです。
そもそも、「チームとは誰のためのものなのか?」と考えたとき、これまでクラブ側の問題、コーチの交代やコーチ自身の目標、そして保護者からの要求など、結局、選手たちはずっと大人の事情に左右されながらサッカーを続けてきたのだということが思い浮かびました。そう考えると、今回初めて、選手たち自身が自分たちの考えや思いを私たちに伝えてきたのだと気づかされました。まるで、「このチームは僕たちのチームだ」と言われているような気がしたのです。
これまでずっと、そういった思いを抱えてきていたであろう彼らが、文句も言わずに我慢してきたこと。そして、今回ようやくその思いを伝えたにもかかわらず、コーチには結局聞き入れてもらえなかったことを考えると、「それなら、もうここが限界なのかな」と、私たちも考えるようになりました。
そして、移籍先の候補となるクラブについて、それぞれ体験練習へ参加するための手続きを進めることになりました。
まず、移籍候補先のコーチ陣と練習日について連絡を取り、体験練習の日程を決めます。その後、移籍候補先のクラブが正式に候補選手の体験練習への招待状を現在のクラブへ送ります。
その招待状を受け取った現在のクラブは、その旨を選手と保護者へ伝え、体験練習へ参加するかどうかを確認したうえで、移籍候補先へ返答するという流れになっています。
ところが、移籍候補先から招待状が送られていることを私たちはすでに知っていたにもかかわらず、コーチからも、我がクラブのジュニア責任者からも、私たちへの連絡がまったくありませんでした。
そのため、移籍候補先のコーチに再度確認し、もう一度招待状を送ってもらいました。
しかし、それでもなかなか体験練習への参加許可が下りません。
そこで、ジュニアの責任者に直接話を伺うことにしました。
すると、「5月に行われる移籍候補先との公式戦が終わったら、体験練習へ参加してもよい」との回答をいただきました。
そして、ようやく5月末になり、次男は移籍候補先のクラブで体験練習に参加することができたのです。
来シーズンに向けて、次男の移籍問題はまだまだ続きます。
次回は、この移籍候補先での体験練習の様子と、その後の展開について書きたいと思います。
