見出し画像

転倒と慈悲

「キャハハ!」

疾走する、美しき獣。
スカートをはためかせ、走る走る。
ポニーテールが左右に揺れている。

遊歩道、木漏れ日の中

「長女ちゃん、コケるよ。歩こう」

ベビーカーを押しながら小走りで追う。

ベシャッ

コケた。

全身で地面に突っ伏した。

まさに五体投地。

あーあー...

歩み寄り、ベビーカーを止めて、
座り込む長女ちゃんを覗き込む。

こら、次女ちゃん。
「めっ。」
笑うのはやめなさい。
指さすんじゃありません。


長女ちゃんは、
決まりの悪そうな顔をしている。

「だから言ったのに」は、喉元で飲み込んだ。

「怪我、してない?」

体を探る。

どうやら、怪我はなさそうだ。

それでも黙り込んで、目を合わせない長女ちゃん。

仕方ないな。

抱き上げた。
重たい。
大きくなったな。

「痛かったね」

途端、

堰を切ったように大声で泣き出した。

まったく。可愛いね。

仕方ない、家まで抱えてやるか。

いいなと思ったら応援しよう!