「夜店から」お題で書きはじめるnote企画
「夜店から漂うこの匂いってなんかそそるよね」
ぷぅ〜んと、醤油の焼ける香ばしいあの夜店独特の匂いが漂っている。
「ウチの親は、金魚すくいやスマートボールなんかのゲームはさせてくれたけど、あの紅白の幕で仕切られた美味しそうな匂いのする中には、不潔やからアカン!って、見てもアカンって、私、ずっと不満を持ってた」
結婚してまだ子供もいない新婚だったころ、夜店見物で歩きながら夫にそう話したら、その匂いのもとの紅白の幕の中で赤い毛せんを敷き詰めたテーブル席へと連れて入ってくれた。
頼んだのは、サザエやイカの焼いたん、焼きそばとか。私はコーラ、夫は生ビールをグビグビ旨そうに一気飲みしてヒヤヒヤさせられたものだった。
が、なんか、背徳感が拭いきれない。
家に帰っても、もう怒る人はいないんだと脳裏をかすめ、急に悲しくもあり、大人になったような気もしたのだった。
