【創作百合】従順な死神【掌編小説】
「お迎えのお時間です」
白桔梗をあしらった黒い着物を纏った少女が玄関に立っている。その姿を見るや仕事鞄を蹴飛ばして部屋の奥から女性が駆け寄る。
「死神ちゃーん、会いたかったよ!いつぶり?」
「三か月ぶりです。ほら行きますよ」
「待って!あと半年生きさせて」
「またですか」
「好きな映画の最終章が秋に公開されるの!それ観るまで死ねない。一生のお願い!あと半年!!」
「前回も似たような事言って三か月延命しましたよね?」
「頼むよ〜」
女性は死神に手を合わしたあと、にこりと笑い耳元に口を近づけ甘く囁いた。
「またイイことしてあげるからさ」
「な!?」
日本人形の様に真っ白だった死神の顔が紅潮した。
「お・ね・が・い♡」
ハァ〜と大きな溜息をひとつ落とす。
「今回だけですよ」
「やったー!死神ちゃん大好き♡」
「また閻魔様に叱られる……」
「じゃあ、ベッド行こうか」
死神の腰に女性の手がやさしく添えられる。
「……お邪魔します」

