青空を大きく撮るなら、空を大きく入れるとは限らない|阪急今津線・武庫川の鉄道風景【2026.09.12】
久しぶりに、青空が広がりました。
ここ数日は雲の多い日が続いていました。
前日も一日を通して曇り空。
その中で、夕方になって東の空にほんの一筋だけ現れた夕焼けを撮りました。
それが翌日になると、久しぶりの青空です。
この日は撮影へ向かう前から、
「今日は青空を大きく撮りたい」
と思っていました。
そしてもう一つ。
風がなく、穏やかな天候でした。
これなら、もしかすると水面にも青空がきれいに映るかもしれない。
青空を大きく撮る。
そして、条件が良ければ水面に映った青空も撮る。
そんな「たたき台」を持って、いつもの武庫川へ向かいました。
思っていた以上に、水面が青かった
現地へ着いて目に入ったのは、久しぶりの青空です。
でも、それ以上に印象に残ったものがありました。
水面です。
風が穏やかだったこともあり、武庫川の水面には青空が映っていました。
しかも、思っていた以上に青色が濃い。
撮影へ向かう前に考えていた、
「青空を大きく撮りたい」
という気持ちは変わりません。
ただ、ここで一つ考えました。
青空を大きく撮るからといって、カメラを上へ向けて、空の面積を増やす必要はないのではないか。
目の前の水面にも、青空は広がっています。
だったら、
上ではなく、下へ青空を広げてみよう。
そう考えました。
青空と水面、二つの素材を重ねる
今回の写真を撮ったときの感覚を言葉にするなら、
青空という素材と、水面という素材を重ねた。
という感じです。
実際の青空があり、その下には青空を映した水面がある。
空と水面は別々のものですが、写真の中では同じ青色の世界としてつながっていきます。
その中を阪急電車が走る。
今回は、阪急電車を青い画面のアクセントとして配置しようと考えたというより、
青空と水面の中を列車が走る風景
として撮りたいと思いました。
結果的に、阪急電車のマルーン色が青の中で目立つ一枚になりました。
もっと広く撮ることもできた
水面の青色が印象的だったので、できるだけ広く画面に入れたいと思いました。
今回撮影した場所では、この画角が最も広く水面の青色を撮れる範囲でした。
もっと広くすること自体はできます。
でも、これ以上広げると川岸が写り込んできます。
そこで止めました。
これは単純に、
「川岸が邪魔だった」
ということではありません。
今回撮りたかったのは、武庫川という場所を説明する写真ではなかったからです。
久しぶりに広がった青空。
その青空が水面にまで広がっている。
そして、その中を阪急電車が走っていく。
この日に私が感じた風景を見せたかった。
そこへ川岸が入ると、少し違う写真になると感じました。
【空と鉄路のあいだ】というより、武庫川を写した一般的な風景写真へ近づいてしまう。
だから、川岸が入る直前で画角を止めました。
何でも消せばいいわけではない
ただ、これは、
「道路や川岸など、場所が分かるものは写真に入れない」
という意味ではありません。
時と場合によります。
例えば、以前に有楽町駅周辺で撮影したときは違いました。
あのときは、列車だけではなく、街の雰囲気そのものを写真に入れたいと思いました。
だから信号機も道路標識も画面に入れました。
それらも含めて、有楽町で見た風景だったからです。
今回の武庫川では川岸を入れない。
有楽町では信号機や道路標識を入れる。
一見すると逆のことをしています。
でも、私の中では判断基準は同じです。
今日、この写真で何を見せたいのか。
それを考える。
今回なら、久しぶりの青空と水面に広がった青です。
だから、それを弱くするものは画面から外しました。
撮影前の「たたき台」は変わっていなかった
前日の記事でも「たたき台」という話を書きました。
今回も撮影前には、
青空を大きく撮りたい。
風が穏やかだから、水面にも青空が映るかもしれない。
というたたき台がありました。
そして現地へ着いてみると、予想以上に条件が良かった。
水面の青空が思っていた以上に色濃く出ていました。
ここで面白いのは、
最初のたたき台を捨てたわけではない
ということです。
青空を大きく撮りたい。
その考えは最初から最後まで変わっていません。
変わったのは、
「どちらへ広げるか」
でした。
上へ広げるのではなく、下へ広げた。
水面に映った青空まで使って、青空を大きくした。
撮影前に考えていたことと、実際の写真はつながっています。
でも、完成写真そのものを撮影前から決めていたわけでもありません。
これが、私が最近感じている「完成予想図」と「たたき台」の違いなのかもしれません。
今日の【景色を読む】
撮影前に考えていた以上に、この日は天候に恵まれました。
久しぶりの青空。
穏やかな水面。
そして、水面に色濃く映った青空。
最初に考えていた、
「青空を大きく撮りたい」
というたたき台から、今回の一枚を作りました。
もし、
「青空を大きく撮る=空を画面いっぱいに入れる」
と決めていたら、違う写真になっていたと思います。
目の前を見れば、水面にも青空がありました。
だったら、その青空も使えばいい。
同じ素材でも、どこにあるかによって撮り方は変えられる。
そして、構図を決めるときには、何を入れるかだけでなく、
何を入れたところから、自分が見せたい風景ではなくなるのか。
そこを見ることも大切なのだと思います。
今回なら、それが川岸でした。
もっと広く撮れる。
でも、広く撮れるから広くするのではない。
今回見せたい青い世界が崩れる直前で止める。
写真を撮るとき、
「もっと入れよう」
と考えることはよくあります。
でも、
「ここから先は入れない」
という境界を探すことも、構図を作る一つの方法なのだと思います。
思っていたよりも天候が良く、水面には色濃い青空が広がりました。
撮影前に考えていたものより、少しだけ良い景色に出会えた日でした。
足元の水面にまで広がった、
久しぶりの青空。
皆さんは今日、
どんな風景が心に残りましたか。
また次の風景でお会いしましょう。
昨日の【空と鉄路のあいだ】
前日の9月11日は、一日を通して曇り空でした。
仕事を終えて、真っ暗になる前にいつもの武庫川へ。
水面に映る列車でも撮れればと思っていましたが、撮影場所へ近づいたとき、東の空に一筋の夕焼けを見つけました。
撮影場所に着くころには、そのオレンジ色もかなり薄くなっていました。
列車が来るまで残っているのか。
そう思いながら待った一本を撮影すると、夕焼けはすぐに消えていきました。
昨日の記事では、何度も同じ場所へ通ることで、自分の中に「撮り方のたたき台」が増えていくことについて書いています。
▼ 昨日の【空と鉄路のあいだ】はこちら
撮影情報
撮影日:2026年9月12日
撮影場所:武庫川 宝塚大橋 宝塚~宝塚南口
撮影路線:阪急今津線
写真撮影:土井廣三
カメラ:Canon EOS R6 Mark2
レンズ:Canon EF 28-300mm F3.5-5.6L IS USM
焦点距離:65mm
絞り:f8
シャッタースピード:1/1000
ISO:400
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【空と鉄路のあいだ】では、毎日の撮影で出会った風景と、その一枚になるまでに現場で何を見て、何を考えたのかを記録しています。
今回の記事を読んで、
いつもの景色を、いつもとは少し違う方向から見てみよう。
そう思っていただけたら嬉しいです。
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