シロクマ文芸部 「波の音」〜またそこまできたのか〜
波の音を聞きながら、私は荒れ果てた大地を歩いていた。
赤褐色の海から上がって八時間。あちこちで火山が噴き、空はまだ灰色だ。
「また人類が文明を壊したのか……」
遠くから叫び声が聞こえた。
「助けてくれー!」
駆け寄ると、一匹の魚が浅瀬でもがいていた。
「お前にはまだ陸は早い。せめてヒレが足になってからだな」
「じゃあ、なんであんたは歩けるんだ?」
「私はルカ。生命のやり直し係さ」
魚は目を輝かせた。
「なら俺も手伝う!」
それから気の遠くなる年月が流れた。
魚は海を浄化し、私は陸を整えた。やがて青い海と緑の森が戻る。
「今度こそうまくいったな」
「呼吸もしやすいぜ」
魚と岸辺で笑い合った、わずか数分後だった。
「助けてくれー!」
振り向くと、魚が漁網にかかっていた。
沖には漁船が浮かんでいる。
「もうそこまで進化したのか……」
私はため息をついた。
