楽しかった。でも、どこか儚かった。高校生編
高校生活は、本当に楽しかった。
バスケに打ち込んで、仲間と笑って、毎日を夢中で生きていた。
でも、私服で出かけるとき、好きな人と一緒にいるとき、
ふいに、小さな違和感が胸に浮かんだ。
楽しくて、嬉しくて、でもどこか、切なかった。
そんな高校時代のことを、思い出しながら書きました。
高校に入ったとき、最初に感じたのはほっとする気持ちだった。
女子校ならではの自由な空気のなか、
運動部の先輩たちには短髪でボーイッシュな人も多くて、
いろんな個性がそのまま受け入れられていた。
「ここならバスケに打ち込めそうだ」
そんな前向きなワクワクを感じながら、高校生活が始まった。
朝練、昼練、放課後、そして週末の練習試合。
生活のほとんどが、バスケで埋まっていた。
女子校という特有の空気のなかで、
自由に、自分らしく過ごせる場所も、少しずつ見つけていった。
最初は試合に出るために必死だったけど、
気づけば、チームで力を合わせて勝つことが、僕にとって一番の喜びになっていた。
いいプレーをしたい、
いいチームを作りたい、
その思いにまっすぐ向き合っていた。
毎日が必死だったから、
胸の奥に引っかかる小さな違和感も、深く考えずに流してしまっていた。
それでも、ふと立ち止まる瞬間に、
どうしようもなく「うまく言葉にできない自分」が顔を出すことがあった。
たとえば、体育祭で学ランを着たとき。
「絶対似合うよ」と言われ、少し照れながら袖を通した学ラン。
制服を着た自分よりもずっと自然に感じられて、
周りから「かっこいい」「似合ってる」と言われるたびに、
胸の奥がふわっとあたたかくなる感覚があった。
そんなふうに、素直に嬉しいと思える瞬間もあった。
好きな人もできた。
一緒にいる時間は楽しくて、嬉しくて、
自分のままでいられるような気がした。
でも、嬉しいと思えば思うほど、
どこかで小さなひっかかりも増えていった。
うまく言葉にはできなかったけれど、
たぶんあの頃から、
「なりたい自分」と「見えている自分」の間に、
少しずつズレを感じていたんだと思う。
放課後、一緒に帰ることが増えて、
部活がない日は、ふたりで遊びに出かけるようになっていた。
ふとした瞬間に、ドキドキしている自分に気づいた。
早く会いたい、もっと一緒にいたい、
そんな気持ちがどんどん膨らんでいった。
付き合おうとか、そんな言葉は交わさなかった。
でも、お互いに惹かれているのは、僕にも分かっていた。
ただ、それがどんな気持ちなのか、
彼女が僕をどんなふうに見ていたのか、
聞くのは怖かった。
壊れてしまう気がしたし、
僕自身も、自分をどう言葉にしたらいいのか分からなかった。
だから、ただそっと、
この関係が続くことだけを願っていた。
曖昧なまま続いた関係は、
言葉にできなかったぶん、
どこか儚くて、愛しかった。
でも同時に、
私服で出かけるときも、
好きな人と過ごす時間も、
どこか、普通とは違う目で見られている気がして、
無意識に、それを気にしてしまっていた。
そんな気持ちを抱えながらも、
バスケに打ち込み、仲間と笑って、
心から、この場所にいられることが嬉しかった。
高校生活は、
楽しかった。でも、どこか儚かった。
自分らしさに、答えはなかった。
なりたい自分も、あの頃はまだぼんやりしていた。
それでも、「これは違う」と感じた小さな違和感に耳をすませながら、
少しずつ、自分を見つけてきた。
そして今、迷っているあなたへ。
小さな違和感を、大切にしてほしい。
それが、あなたらしさにつながるかもしれないから。
