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物件を探す前に、まず「お店の軸」を決める。

美容師が独立を考え始めたとき、多くの人がまず最初にすることがあります。

それは、物件探しです。

「どのエリアでやろうかな」

「駅前がいいかな」

「家賃はいくらくらいだろう」

「人通りが多い場所の方がいいのかな」

もちろん、物件選びはとても大切です。

場所によって、お客様の来店しやすさも、家賃も、集客の方法も大きく変わります。

でも私は、独立を考えたときに最初にするべきことは、物件探しではないと思っています。

物件を探す前に、必ず決めてほしいことがあります。

それが、お店のコンセプトです。


コンセプトは、キャッチコピーではない

「コンセプト」と聞くと、キャッチコピーのようなものを思い浮かべる人もいるかもしれません。

「明るく楽しい美容室」

「気軽に通えるサロン」

「お客様に寄り添う美容室」

もちろん、こういった言葉が悪いわけではありません。

でも、それだけでは経営の判断基準にはなりません。

私が考えるコンセプトは、キャッチコピーではありません。

コンセプトとは、戦略です。

どんなお客様に来てほしいのか。

そのお客様は、どんな悩みを持っているのか。

自分のお店は、その人に何を価値として提供するのか。

そして、何をやって、何をやらないのか。

そこまで決めていくことが、コンセプトを作るということだと思っています。


頭の中だけで考えない

コンセプトを考えるとき、多くの人は頭の中でなんとなく想像していると思います。

「こんなお店にしたい」

「こんなお客様に来てほしい」

「こういう雰囲気が好き」

「こういうメニューをやりたい」

そういう理想は、きっと誰の中にもあります。

でも、頭の中だけで考えていると、考えがぐるぐる回るだけで、なかなか整理できません。

だから私は、まず紙に書き出すことが大切だと思っています。

A4の紙でも、ノートでも、何でも構いません。

思いつくことを、一度すべて書き出してみる。

きれいにまとめる必要はありません。

言葉になっていなくてもいい。

とにかく、頭の中にあるものを外に出してみる。

そうすると、不思議と同じような言葉や、何度も出てくる考えが見えてきます。

「あれ、これとこれは同じことを言っているな」

「自分は何度もこのことを考えているな」

そうやって重なって出てくるものの中に、自分が本当に作りたいお店の種があるのだと思います。

頭の中だけで考えず、一度紙に書き出してみる。

これだけでも、コンセプトはかなり見えやすくなります。


私が開業前に考えていたこと

私自身、開業前に強く思っていたことがあります。

それは、その他多数の美容室として埋もれたくないということでした。

美容室は本当にたくさんあります。

新しいお店ができても、

「あそこ改装してるな」

「何ができたんやろう」

「あ、美容室か」

で終わってしまうこともあります。

でも私は、そうではなく、

「あの建物、何やろう」

「少し変わった場所でやってはるな」

と、まず印象に残るお店にしたいと思っていました。

それは、ただ目立ちたかったわけではありません。

小さなお店だからこそ、覚えてもらう理由が必要だと思っていたからです。

人が少し気になって調べたくなる。

誰かに話したくなる。

そういう小さな違和感や印象は、小さな美容室にとって大きな力になります。

自分から大きな広告を出さなくても、

「あそこ、何のお店なんやろう」

と思ってもらえること自体が、最初の認知になるからです。


コンセプトがないと、物件選びも迷う

コンセプトが決まっていないまま物件を探すと、判断基準が曖昧になります。

「ここは家賃が安い」

「ここは人通りが多い」

「この物件は内装がきれい」

そういった条件だけで物件を見てしまいます。

でも、その物件が本当に自分の作りたいお店に合っているかどうかは、コンセプトがなければ判断できません。

例えば、落ち着いた時間を過ごしたい大人のお客様を中心にしたいのか。

仕事帰りに短時間で通いたいお客様を中心にしたいのか。

髪質や年齢による悩みをじっくり相談したいお客様に来てほしいのか。

それによって、選ぶべき場所も、内装も、メニューも、価格も変わります。

つまり、物件の良し悪しは、物件だけを見ても分かりません。

自分のお店のコンセプトに合っているかどうか。

そこを見ないと、本当の判断はできないのです。


コンセプトは、すべての判断につながる

コンセプトは、お店の雰囲気を表す言葉ではありません。

これから先、経営していく上での指針です。

価格を決めるとき。

メニューを作るとき。

内装を考えるとき。

ホームページを作るとき。

SNSで何を発信するかを考えるとき。

接客の仕方を決めるとき。

すべての判断に、コンセプトが関わってきます。

だから私は、コンセプトを「おしゃれな言葉」ではなく、経営の軸として考えています。


小さな美容室ほど、軸が必要になる

小さな美容室ほど、コンセプトは大切です。

大型店のように、たくさんのスタッフや多くのメニューで幅広いお客様に対応することは難しい。

だからこそ、自分たちが誰に何を届けるのかを、はっきりさせる必要があります。

「誰でも来てください」というお店は、一見間口が広いように見えます。

でも、誰に向けたお店なのかが分からないと、お客様から見ても選ぶ理由が弱くなります。

小さなお店は、大きなお店と同じ戦い方をしなくていい。

むしろ、自分たちらしい強みをはっきりさせることで、お客様に選ばれる理由を作ることができます。


まず決めるべきこと

独立前は、どうしても目に見えるものから考えたくなります。

物件。

内装。

ロゴ。

ホームページ。

SNS。

もちろん、それらも大事です。

でも、それらはすべてコンセプトがあって初めて意味を持ちます。

最初に決めるべきなのは、見た目ではありません。

場所でもありません。

自分は、どんなお客様に、どんな価値を届ける美容室を作りたいのか。

ここを決めることです。


まとめ

もし今、独立を考えているなら、物件情報を見る前に一度立ち止まってみてください。

「どこでやるか」より先に、

「誰に来てほしいのか」

「何を届けたいのか」

「どんなお店として選ばれたいのか」

そこを考えてみてください。

頭の中だけで考えず、一度紙に書き出してみる。

何度も出てくる言葉。

自然と重なる想い。

そこに、自分が本当に作りたいお店の輪郭があるはずです。

コンセプトが決まると、物件選びはただの物件探しではなくなります。

価格、メニュー、集客、接客、空間づくり。

すべての判断がつながっていきます。

だから私は、独立前に最初に決めるべきことは、物件ではなくコンセプトだと考えています。

コンセプトは、キャッチコピーではありません。

小さな美容室が長く続くための、最初の戦略です。

次回は、そのコンセプトをもとに、物件をどう選ぶべきかについて書いていきたいと思います。

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